2009年7月12日日曜日

電気的除細動の際、1インチ(2.5cm)離す理由

Current2009春号に掲載されていた、ネックレスなどの金属製アクセサリーを付けている人へAEDを使用する場合の記事。「金属製アクセサリーは傷病者にも救助者にもショックの危険をもたらさないため、こうしたアクセサリーの着用は特殊な状況(注:AEDを使用してはならない状況、または使用前に新たな措置を要する状況)に含まれない」「傷病者の胸部から金属製アクセサリーを外す必要があるというエビデンスは存在しません。植え込み型医療機器と同じように、傷病者の胸部にパッドを貼る時は金属製アクセサリーの上に直接貼らず、2.5cm以上離れたところに貼る必要があります」とあります。

ペースメーカー(含ICD)が植え込みされている患者に電気的除細動を行う場合、パッド(パドル)はデバイスから1インチ(2.5cm)以上離すことが推奨されています。ペースメーカーの上にパッド(パドル)を置くと心臓に達するエネルギーが著しく低下するため、またペースメーカー本体にも負担がかかるため、好ましくないことは納得できます。ペースメーカー本体の上にパッド(パドル)を置かなくとも、あまりに近いと同様にペースメーカー本体に負担がかかることも理解できます。また、本体のみならずペースメーカーから出ているペースメーカーリードに近い所にパッド(パドル)を置くと、リードに沿って電流が流れ易くなり、ペースメーカー本体に負担がかかり易く、同時に心臓へ達するエネルギーも低下してしまう可能性もあります。1インチという数値自体は根拠はなく、覚え易いからということのような気もしますが、いずれにしても、1インチ(2.5cm)離すとリード経由のものも含め、ペースメーカー本体への負担が軽減し、かつ心臓への至適エネルギーが達し易いと考えます(理想はもっと離した方が良い(参考:ペースメーカー(ICD)植え込み患者への除細動パッド貼布位置))
それでは、なぜ金属アクセサリーから1インチ(2.5cm)離すことが推奨されるのでしょうか。
金属アクセサリーはペースメーカーのように精密機器ではないし、もちろんリードもくっついていないし。。。。。
アクセサリーにパドルが触れたまま放電すると火花が散ったり、火傷したりする可能性があるから、離しましょうということでしょうか。触れていなければ大丈夫でしょうが、念のため1インチくらい離しておきましょうということ? とすると、”植え込み型医療機器(ペースメーカー)と同じように”とかかれていますが、ペースメーカーの1インチ(2.5cm)とは微妙に意味合いが違うのでしょうか。

【まとめ】
・ペースメーカーから2.5cm離す:①ペースメーカーへの負担を減らす(離せば離すほど負担は減る) ②リードによるエネルギー低下を軽減する可能性

・金属アクセサリーから2.5cm離す:パッド(パドル)との接触による火花や火傷を予防する(少しでも離れていれば問題ない?)


相変わらず、どうでもいい話ですが(笑)、間違っているようなら教えて下さい。

2 件のコメント:

  1. 貴重な話題ありがとうございます。

    今は何でも根拠が必要です。何で2cmではダメなのか?と言われた場合に説明できないと!!

    その意味で非常に参考になりました。ありがとうございました。

    これからもこう言ったマニアックな(^.^)話題をお願いいたします。

    私も負けないようなマニアックなものを書きます!!

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  2. こんな細かい話に良いreactionをしていただき、有難うございます(笑)。がんばります。

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