2009年8月3日月曜日

cardioversion後の火傷

cardioversion或いは除細動後に生じうる合併症のひとつに皮膚の火傷があります。20-25%の頻度で中等度以上の火傷が生じ得るとの報告もあります(Resuscitation. 2004;61:281-8.)。心尖部よりも胸骨側が多く、パドルの中央より縁が火傷しやすいようです。残存する痛みについては総通電エネルギー量や通電回数と相関します。

パッドやパドルの不適切な手技や位置が主因です。上記の原文は読んでいないのでどのような予防措置がとられているか分からないのですが、待機的症例群が対象であり、これが緊急症例であったらもっと火傷頻度があがることが想像できます。この文献では、両方のパドルに均等に力をかけ、またエッジが浮かないようにすること、低エネルギーから開始すること等を対策として推奨しています。

他の文献では、予防的にイブプロフェンクリームを塗布することで痛みや炎症を減らすとの報告があります(Resuscitation. 2005;65:173-8.)。ステロイドクリームの予防的塗布の効果は今ひとつだったようです(Resuscitation. 2005;65:179-84.)。火傷のリスクは二相性除細動器を使用することで減少します(Resuscitation. 2006;71:293-300.)。

我々の施設ではパドル使用時には、以前はジェルを塗布していましたが、現在はジェルパッド(正式名称ではないかもしれません。ジェル状のシートのようなものです)を使用しています。ジェルよりは使い勝手が良いです。AHA推奨のように、パドルでなく、パッドを使用することが最もスムースな手技となりますし、このような火傷の合併症も減らすような気がします。

蛇足ですが、超音波検査の時に使用するようなエコージェルは伝導性が悪く使用してはいけません。


参考:Up To Date

2 件のコメント:

  1. エコーのジェルについては、様々な本に書かれていますよね。と言う事は、、、やる人が多いんでしょうか??私の病院もジェルパッド使っています。
    確かに、ジェルパッド使うならば、パッドを使う方が良さそうです。

    それから、エコーのジェルは、超音波が皮膚で反射しないよう、音響インピーダンスをあわせるものであり、電気は伝えません(きっと)。たぶん除細動用のパッドでは超音波検査も出来ないです。一応超音波専門医なので、、、、

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  2. 慌てて除細動する際にジェルが見当たらず、そばにあったエコージェルを使いたくなることってあるような気がします(笑)。
    超音波専門医先生のお言葉には説得力があります。有り難うございます!

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