2009年11月9日月曜日

QRS幅の広い頻拍

高齢女性が呼吸苦、食欲不振を主訴に救急受診。血圧110/70、PR150程と頻脈。SpO290%強。心電図をとったら急患室は騒然となったそうな(苦笑)。


うーん、確かに。QRS幅の広い頻拍。ドキッとします。”わからねばVTと考えよ”。
その通りです。非循環器医やコメディカルの方なら、循環器医に直ぐに相談しましょう。
相談しつつ情報収集。こんなとき役立つのは?そう、過去の心電図ですね。

今回も、有りましたー!1年前の心電図(喜)。


洞調律ですが、今回の頻拍時のものと極性は同じです、どの誘導もQRSの向きが同じです。頻拍時のRR間隔は不整ですから、これは元来の左脚ブロック+頻拍性心房細動の可能性が高そうです。非循環器医がここまで読む必要はないですが、QRS幅の広い頻拍であっても明らかなるRR間隔不整であればVTではない可能性が疑われるわけです。
このケース、ジゴキシン、ヘルベッサー静脈内投与により、こんなになりました。P波は確認できず、RR間隔は絶対不整、明らかに心房細動です。


結局、頻拍性心房細動により心不全に陥ったという病態だったようです。
心室応答コントロールで病態は改善傾向を示しました。

心不全症状を有する頻拍ですと、ACLS的には不安定頻拍と考えることになるでしょう。とすると、cardioversionが第一選択になります。非循環器医のみで対処せざるをえない状況においては、その方針も悪くないです。でも可能な限り循環器医にコンサルトすることがやっぱりより安全です。

循環器医はより専門的な判断で、上記の対処になります。しかしながら安易に非循環器医が真似をしないほうがいい、ということは常に研修医にはお伝えしています。

2 件のコメント:

  1. 貴重な体験談ありがとうございます。

    確かに専門医に相談は重要ですよね。やはりプロは違います!!

    そしてそれをまねするのは危険だと、、、、これも研修医に伝えます!!

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  2. Kim先生、有り難うございます。
    私も循環器以外のことはすぐに相談してしまいます(笑)。

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