2009年12月30日水曜日

省エネダクト



なんでしょ、これ。
北国では定番だそうで。東京では見かけたことはありません。

その名も”省エネダクト”(笑)。
一端を温風ヒーターの前に置き、もう一方をこたつの中に入れます。こたつの電源を入れなくてもこたつの中はめちゃめちゃ暖かくなります。部屋も暖かいし、こたつも暖かい。シンプルだけれど、優れものです!地球に優しいエコ製品です。

血栓性血小板減少性紫斑病-溶血性尿毒症症候群

心不全で入院させた患者さんが血栓性血小板減少性紫斑病/溶血性尿毒症症候群(TTP-HUS)でした。左室機能は低下しており心不全は心不全ですが、それにしては他のデータが乱れ過ぎだな、と思っていましたが自分としてはそんな鑑別診断は全く頭にありませんでした。視野が広く頭の柔らかい後期研修医がいち早く鑑別診断に挙げてくれました。有り難いです。疑ったら血漿交換を開始せよとされています。血漿交換をしていなかった時代の死亡率は90%だったそうで。血漿交換をすれば死亡率12-14%ほどに下がります。
瀰漫性の血小板血栓や心臓組織(冠動脈、心筋、刺激伝導系)の出血で心筋梗塞、心不全などを併発することがあり、不整脈、突然死の原因となります。心病変の併発の頻度は明らかにはなっていませんが、TTP-HUSの重要な予後規定因子の一つだそうで。勉強になります。

2009年12月27日日曜日

リフレッシュ

昔はよく秩父宮ラグビー場にラグビー観戦に出かけましたが、最近はめったに行くことはなくなりました。
当直明けで寝不足でしたが、たまにはリフレッシュを、ということで久しぶりに大学ラグビーを見に、ぶらりと秩父宮ラグビー場にお出かけ。大学選手権2回戦2試合ですが、結構好カードということで珍しく超満員です。




慶応対法政。慶応が勝ちましたが、慶応の前に出るタックルが陰をひそめているのが気になりました。待って、タックルしています。かつてのような地獄の山中湖合宿で鍛えないと魂のタックルは身に付かないのかな。これでは社会人相手になるとボロ負けでしょう。
早稲田対帝京。予想に反して早稲田が負けました。残念。帝京の外人パワーに屈しました。帝京は昔の大東文化みたいだった。


まあ、ラグビー以前に、日光を浴びながら、緑の芝と青い空を目の当りにするだけで大変気持ちが良かったです。

immediateとは

AHA ACLSメガコードケースB:頻拍(VT)ーカルジオバージョン(頻拍→VF/無脈性VT→PEA)の話。
不安定なVT患者に対し、酸素投与、静脈路確保、心電図モニターを正確に装着。不安定な症状や兆候は頻拍によるものと認識し、不安定な頻拍であるとチームメンバーに伝える。そしてただちに同期下カルジオバージョンを実施する。

チェックリスト通りですと、こういった流れに成ります。
さて、上記、不安定な頻拍であるとチームメンバーに伝えたのち、まずアミオダロンを投与し、早々に無効と判断し同期下カルジオバージョンを実施した受講生(循環器医)がいました。インストラクターとしてはどのように判断すべきなのでしょうか。

不安定頻拍に抗不整脈薬を投与することは、ACLSでは推奨されておらず是正すべき点であることは異論がないことでしょうが、実技試験という観点においてこの点自体はremediationにする理由になるのでしょうか。インストラクターマニュアルのスキルテストの章には"受講者はACLSコースにない手順や手技の実行を避けるべきである”と記載がありますので、この点を勘案しremediationにすべき、なのでしょうか。

実技試験の明確な基準としてチェックリストの存在があります。チェックリスト的にこの受講生がremediationになる理由は、アミオダロンを投与したこと自体ではなく、"ただちにカルジオバージョンを実施する”の項目にチェックが入らない、ということになります。"ただちに(immediate)"に反するわけです。それでは、"ただちに(immediate)"とはどの程度まで許容されるのでしょうか。

モニター心電図を装着し、不安定頻拍と判断し、

①即座に同期下カルジオバージョンを実施
②1分悩んで同期下カルジオバージョンを実施
③3分悩んで同期下カルジオバージョンを実施
④5分悩んで同期下カルジオバージョンを実施
⑤身体所見をとってから同期下カルジオバージョンを実施
⑥12誘導心電図を記録してから同期下カルジオバージョンを実施
⑦アミオダロンを投与してから同期下カルジオバージョンを実施

ある辞書には、「immediate:即時の、すぐの、じかに接している、すぐ隣の」などと記載されています。モニター心電図を装着し、不安定頻拍と判断したら、他の行為は挟まず、同期下カルジオバージョンを実施するということと解釈できるでしょうか。
①は勿論良いとして、②ー④あたりの時間の境はよくわかりません。他の行為をはさんでいないので、一応immediate?
⑦はダメだとしても、それでは⑤や⑥は? もし⑤⑥が許容されるなら、では⑦は絶対ダメ?

なんか、書いていて、ばかばかしくなってきました(笑)。
実技試験といっても、結局は受講生が十分理解し、今後の臨床に活かせるように促せればよいわけですから、あやふやなところがあればremediationとして、再度確認し十分理解頂いた上で、再試験で仕上げればそれでハッピーです。
しかし、期限切れ受講生のACLS-Rの実技試験は再試験のチャンスはないので、かなり判断に悩むことがあります。

ACLS-Rの気道管理

AHA ACLS-Rの呼吸停止の管理(気道管理)のセッションの話。
ACLS-Rは基本的には復習、確認の機会ですから、1時間かけてDVD流して気道管理を過ごすのは冗長過ぎる、、、との意見が少なくありません。DVDを使用しないで30分で行う"短縮セッション”を行う場合もあります。勿論AHAの許可を得ています。

気道の管理はACLSアプローチの"A"と"B"を占めるものだけに日常臨床の中で携わる機会は少なくありません。しかしながら、その割には意外と等閑にされている面があると感じています。心肺蘇生術の際も、胸骨圧迫の質は良くなってきていますが、気道管理の質はまだ不十分と感じることも少なくないです。CPRの質を検証したある論文(Arch Intern Med.2006;166:2375)によると、救急部門勤務の良くトレーニングされたスタッフでさえも、過換気の呼吸管理が多かったとのことです。

また、異論はあるでしょうが、Hands Only CPRの出現も見方によっては気道管理軽視を助長するものと考えてもよいかもしれません。

ということで、ACLS-Rにおいても、基本を改めて見直すという意味で1時間かけて気道管理の知識、技術を復習する方針が、自分としては好きです。
また、BLSインストラクターにも是非どんどんACLS、ACLS-Rの気道管理には参加頂きたいので、早く慣れてもらいたいという観点からも、DVDに沿って同一プログラムで行う方がベターかと思っています。

2009年12月23日水曜日

EDGEクイックコンボRTS小児用

小児用パッドの話で、ついでにもう一つ。
メドトロニック社製の「EDGEクイックコンボRTS小児用」という小児用パッドがあるそうです。



この電極は単に表面積が小さいだけで、減衰器が入っておらず、除細動器が出力したエネルギーはそのまま傷病者に伝わります。従ってこの電極を使えば成人であっても通常エネルギー量の通電が可能です。しかし、電極面積が小さいため電流の集中が起こりやすく、熱傷の危険性が高くなります。
メドトロニックの担当の方に教えて頂きました。

AED小児用パッド

AHA BLS for HCPでのAED、小児用パッドの話です。
プロバイダマニュアルには、"8歳以上の傷病者に小児用ショックエネルギー量を与えないように注意しなければならない”とか、”8歳以上の傷病者には必ず成人用パッドを使用する”などと記載されています。

コース中「なぜ成人に小児用パッドを使用してはいけないのか?」という質問がありました。

あまり深く考えていませんでしたが、なぜなんでしょうね。

BLSプロバイダーマニュアルには、"低エネルギー量のショックでは効果がない可能性があるから”と記載されています。小児用パッドを使用することで、一般的には放電されるエネルギー量は1/3-1/4程に減るとのことです(メドトロニックのLIFEPAKは1/4になるそうで、即ち200Jなら50J、360Jなら90Jです。フィリップスのFR2も50Jになるそうです)。
成人にAEDを使用する際に小児用パッドを装着するデメリットは、
・VFに対し二相性50Jの通電では除細動されない可能性がある(無駄なショック)
・不成功に終わるかもしれないショックの為に、胸骨圧迫を暫く中断することになる
・何らかの原因でAEDが誤解析し非VF波形に対しショックが行われる場合、低エネルギーの非同期下ショックとなり、かえってVFを誘発する場合があり得る

こんな感じでしょうか。これらの理由で一応は納得できるかと思います。

ところで、VFは50J程の低エネルギー通電(体外式)でどの程度除細動されるのでしょうか、されないのでしょうか。二相性10J程のcardioversion(勿論体外式)で洞調律に復するVTは経験がありますが、VFに対しての低エネルギー通電は経験がありません。体格等で大きく左右されるでしょうが。どなたかご存知の方は教えてください。

稀な状況でしょうが、成人の心肺停止傷病者に対しAEDを装着しようとしたところ小児用パッドしかなく、おまけに成人用パッド入手のメドが立たない場合どうしましょう。自分ならやむなく小児用パッドを装着し解析させ、必要ならショックを行うと思います。運が良ければ50JでVFが除細動されるかもしれません。されなければ、成人用パッド到着までひたすらCPRです。BLSコースでは口が裂けても言えません(笑)。

2009年12月22日火曜日

5秒以上10秒以内

AHA BLS for HCPでの話。呼吸の確認や脈の確認は、ご存知のように5秒以上10秒以内で行うことが推奨されています。
ある受講生が、練習中毎回「1,2,3,4,5」と数えてほぼ5秒で確認していました。当然、5秒ピッタリということはなく、5秒を超えることもあるし、5秒に満たないこともあります。実技試験のチェック項目には"5秒以上10秒以内"という目安がありますから、安心してこれをクリアするために「もう少しだけ余裕をもって5秒以上かけて(例えば7-8秒)確認してはいかがですか?」とインストラクターがその受講生に助言しました。すると、「もし心停止であった場合、少しでも早く胸骨圧迫したほうが良いですから、確認もなるべく短いほうが良いと思うんです。」とのお答え。
なるほど。いいこと言いますね。
それなら、日本のガイドラインのように呼吸と脈を同時にチェックしたほうが、時間の節約になりますね。
自分としては、医療のプロでも脈拍触知が難しいことは良く知られていますので、呼吸と脈拍を同時にチェックするなんて、難易度が更に上がるよなー、やっぱり別に行った方が良いのでは? という"判断の精度"に重きを置いた観点で見ていました。
従って、上記受講生の意見は自分にとっては、少し新鮮でした。究極は呼吸も脈もチェックしないhandsonlyということになりますね。

ただ、実際の現場では、脈拍触知するか否か、5秒以内に判断することは通常あり得ないように思います。脈がないであろうマネキン相手では5秒で脈なしと判断しうるでしょうが、通常なら脈があるであろう人間相手ではまさか脈が無いなんて、、という感じで、もっともっと頚動脈を探ることでしょう。10秒を超えることも多々有るでしょう。だからこその”10秒以内”なのでしょうが。
ということで、BLSコースで、"10秒以内"は重要と思いますが、"5秒以上"にこだわるのはナンセンスなような気がします、臨床現場とはやや乖離があるような気もします。

2009年12月20日日曜日

ACLS リソーステキスト

ACLS Resource Textの日本語訳テキストがいよいよ発売になるみたいですね(http://eccjapanheart.org/pdf/091208_ACLS_rt.pdf)。
有用な情報が日本語で得られることは本当にありがたいことです。日本ACLS協会と日本循環器学会に御尽力頂いたようですが、循環器学会はEPコース開催の予定は全くありませんし、ACLS EPコースを推進している日本ACLS協会が、より積極的と推測します。
協会の現状のEPコースなら、1日で30000円になるし、ACLS用マネキンの準備は不要で、必要経費は安く済むし、協会にとっては儲けが多くて、おいしいコースでしょう。EPコースを受講すれば基本的にはACLS更新にもなりますし、ACLS更新コースを開催するより、受講生にとってもオイシイかも(笑)。幅広い、新たなことが学べる機会としては大変素晴らしいですが、EPコース受講してのACLS更新はかなり問題がありますので、複雑ですー。

パンクブーブー

最近通常業務も多忙で、おまけに土日は自施設でAHA BLS、ACLS-R、BLS-Rを開催しました。更に、金曜深夜というか土曜日未明に緊急カテがあり、ほぼ一睡もせず土日のコースに突入しましたので、疲労度は大きなものでした。おまけに日曜日早朝も緊急カテでした。それでも、皆様のご協力で全てのコースが無事に終了致しました。今年最後の自施設開催のAHAコースでした。有り難うございました。来年も宜しくお願い致します!
ということで、今夜はほっと一息ついています。M−1グランプリなどという、低俗テレビ番組がついていたので、ついついみてしまいましたが、”パンクブーブー”は最高に面白かったです。腹がよじれて、涙が出ました(笑)。どんな分野でも一等賞は、凄いです。

よかった。

最近、忙しくてブログ更新もままなりません。
院外VF、難治性VFで、救急隊AED、当院の二相性除細動器含め、計16回の電気的除細動を施し、ようやく自己心拍再開し入院中だったSTEMI患者が、今週末独歩退院しました。全く後遺症はありません。皆一生懸命胸骨圧迫を継続していたことが功を奏したと思います。よかったよかった。
深呼吸すると胸が少し痛いと言っていまして、ひびくらい入っているのかもしれませんが、そのくらいは大目に見てもらいましょう(苦笑)。

2009年12月17日木曜日

恐怖のベプリコール

心房細動を有する高齢男性。心不全の既往あり。リズムコントロール目的にこれまでいくつかの抗不整脈薬が処方されたようですが、無効で、最近ベプリコールが処方開始されました。その2週間後、繰り返す失神を主訴に救急受診されました。著明なQT延長、Torsades de pointes(TdP)による失神でした。



ベプリコール(ベプリジル)は持続性心房細動に適応が認可されています。しかし副作用としてQT延長によるTdPの出現が少なくありません。心房細動への投与にて約1%の頻度で出現するとされますが、基礎心疾患や心不全を有する場合は5%にも及ぶとのデータもあります。しかも、不整脈専門家が慎重に用量調節や心電図チェックをしていても、そのくらい生じるということですから、非専門家が不用意に処方すると、恐らくもっと高率に出現するものと推測します。抗不整脈薬による心房細動のリズムコントロール(洞調律に戻すこと)は生命予後改善のエビデンスはありません。生命予後の改善が明らかでない治療で、致死的不整脈が出現するというのはやはり問題です。よほどの専門家以外はベプリコール処方を避けた方が無難なような気がします。

2009年12月13日日曜日

Kamakura Live Demonstration 2009 終了

盛りだくさんのKamakura Live Demonstration2009が終了しました。wire perforationや、ガイドカテによる冠動脈解離、RITAへのガイドカテdeep engageによる広範な解離、ガイドカテによる冠血流低下による血行動態悪化、などなど大小含め合併症も散見され、インタベンション治療の良いところのみならずリスクも改めて学ぶことができました。
齊藤滋先生の技術の高さは誰もが認めるところで、存分にその凄さを発揮していましたが、周囲のコメディカルや助手に対して怒りを露にしている姿が頻回に目につきました。天才的な、高度かつスピーディーな手技をサポートしていくのは大変なことと思います。朝から晩まで、3日で50例近くのインターベンションを行う肉体的精神的ストレスも想像を絶するものでしょう。確かに気が利かなそうなスタッフも居ました(苦笑)。それでも、世界のスーパードクター齊藤ですから、どんな場面でもゆとりを持って大らかな態度を保っていて頂きたいと思ってしまいます。カテもteam dynamicsが大事と感じました。

2009年12月12日土曜日

Kamakura Live Demonstration 2009


昨日は末梢、KNIC、本日はPCI。Kamakura Live Demonstrationに参加しています。湘南鎌倉病院ほどの大病院でも人手不足なのか、EVTのオペレーターは少々物足りなく、おまけにコメンテーターも経験豊富な方が乏しい時間帯もあり、正直学ぶことは少ないEVTライブでした。インターベンションの適応も???の症例も少なくなく、欲求不満の残る内容です。JESのほうが学術的、教育的には遥かに勝っていると感じました。
本日のPCIについては、バーチャル2F PCIは結構衝撃でした。良い面も感じましたが、悪い面も露呈され、勉強になりました。
Kamakura Liveは、"slender"を強調し始めた頃から少々eccentricな世界に進んでいるようで、明日の臨床に役立つライブ、、という感じではなくなってしまったような気がします。充実感では、先日の仙台新東京ライブのほうが遥かに勝っている印象です。といいつつも、明日も朝から参加する予定です(笑)!

2009年12月11日金曜日

最終波形確認

マニュアル式除細動器で、非心停止の頻拍にcardioversionを施行する際、”ショックします”、”みんな離れて”のいわゆる安全確認をした後、放電寸前に最終波形を心電図モニターで確認することを自分としては推奨しています。安全確認をしている間に自然に洞調律に復する可能性があり得るため、不要なショックを避けることを目的に必要な行為と思っているからです。また、非心停止ですし放電を焦る必要はありません。
一方で、心室細動に対する電気的除細動の時は、上記ケース程は特別言及はしません。1秒でも早い放電が望ましいと思っているし、安全確認をしている間に心室細動が自然に洞調律に復する可能性はほぼゼロに近いと思っているからです。
しかしながら、Up To Dateには、「心室細動は稀ではあるが自然に除細動しうる」と記載があります。うーん。やっぱり除細動の時も最終波形は確認したほうが良いのかな?
心室細動が自然に除細動される可能性はどの程度のものなんでしょうか。「稀、、」とは、どの程度のものなのかな?御経験のある方はコメントください。

2009年12月10日木曜日

アミオダロンの除細動閾値への影響

すっかり忘れていました。11月21日の不安定頻拍性心房細動に関する話。不安定頻拍にcardioversion施行するも再発するためアミオダロンを投与したところ、かえってcaridoversionできなくなってしまった、という展開でした。
後日K大学の不整脈専門家K先生とそのケースのお話をする機会がありました。K先生の御経験では、不安定頻拍性心房細動を呈しているケースに対しアミオダロンを静注することで洞調律に復し、難を逃れることが少なくないとのこと。しかしながら、アミオダロンを投与することで除細動閾値を上げてしまうことはやはりあり得るので、電気的除細動閾値を下げる目的ならニフェカラントの方がよいでしょう、とおっしゃっていました。
11月21日のケースで、アミオダロンを投与しても洞調律に戻らず、かつ電気的除細動も無効であり、依然不安定の状態が続いているなら、ニフェカラントを使用し除細動閾値を下げた上で電気的除細動を施行する手もあったのでは?と貴重な意見を頂きました。プロフェッショナルの世界の話です。非不整脈専門医は真似しないほうが無難かも(笑)。非循環器医は真似してはいけません(笑)。
アミオダロンの除細動閾値上昇作用はICDで使用される比較的小エネルギーのレベルのことであり、体外式の除細動のレベルではあまり影響の無い程度のもの(8/23)、と聞いたこともあるのですが、本当のところはどうなんでしょう。
今回のケース以外にも、以前VTにアミオダロンを投与しかえってcardioversionできなくなったケースがありました。たった2回だけですが、臨床現場での経験はimpressiveです。経験的には、体外式の除細動でも影響がありそう、、、と思ってしまいます。

2009年12月9日水曜日

EMalliance Blog

日本の救急医療は崩壊状態と言われて久しいですが、しかしながらそんな救急医療を変えようと志の高い若者集団がいます。北米型ER(救急医療)に興味のある方々です。本当に勉強熱心で感心してしまいます。

”夢と、若さと、情熱で日本の救急医療を変える!EMalliance Blog"

HPが立ち上がったばかりのようですが、今後が楽しみです。

2009年12月8日火曜日

STEMI?

中年女性が突然卒倒。目撃あるも、バイスタンダーCPRなし。救急隊現着時心静止。当院搬入後アドレナリン投与後心拍再開。12誘導心電図ではST上昇あり。



心エコーでは左室心尖部の壁運動低下所見あり。
STEMIを疑い、緊急CAG施行するも、冠動脈に有意狭窄なし。左室造影ではいわゆるタコツボ様。
頭部CTを撮影したところ、派手なくも膜下出血でした。くも膜下出血による心肺停止、タコツボ型心筋症併発、という病態だった可能性が高そうです。心肺停止に至ったくも膜下出血ですから、もともと厳しい病状であったわけですが、CAGの時にヘパリンを使っており、更に追い打ちをかけてしまった可能性があります。
しかしながら、緊急CAGを施行した判断は決して責められるものではありませんし、やむを得ないとも思います。

このようなケースでは、卒倒の状況、その時の随伴症状の有無、救急隊現着時の心電図所見、自己心拍の戻り具合、心エコー所見、心電図所見等の情報を慎重に吟味し、頭部CTを優先するかCAGを優先するか判断する必要がありそうです。

2009年12月6日日曜日

つぶやき

久しぶりに興奮するK-1でした。バダハリの勇気とスピードは凄かった。アリスターのパワーは凄いが、それに加えバダハリのハイキックを受けても倒れない逞しさも恐るべしです。強さは本物です。またバダハリとの戦いが見たいです。セームシュルトもやっぱり規格外。
寝不足で眠かったのに、K-1みたら覚めちゃった。

2009年12月5日土曜日

食事

糖尿病研究の第一人者J大学のK先生の講演をお聞きする機会がありました。講演の中で糖質制限に関しての御意見もありました。「糖尿病患者の食事における糖質の至適割合に関してはまだcontroversialである。しかしながら極端な糖質制限が望ましいと主張している人がいるが、これは誤りである。脂質中心のエネルギー摂取は、見かけ上の血糖値は下がるが、心血管イベントを抑制することにはつながらない。誤った食生活を行い、余計に悪化してJ大学を受診される患者も少なくない、、、」といった趣旨のコメントを研究データ等を示しつつ述べられていました。
やはり、糖質ゼロの食事(10/29,10/30)は学術的には疑問視されているようです。

糖尿病ではなくとも、過食、運動不足等により多くの人が知らないうちにIGT(耐糖能障害)に陥っています。IGTになると、動脈硬化が促進され、DMに匹敵するほどの割合で心血管イベントを生じてきます。40歳代のACSは良く目の当たりにしますし、30歳代のACSも珍しくありません。そのような人はIGTやDMを有していることが多いです。人ごとではありません。早いうちからの生活習慣是正が極めて重要です。腹が出てきた人、少し血圧が高めの人、少しコレステロールや中性脂肪が高めの人、などは要注意であり、、”少し”であっても、危険な兆候のようです。そのような人は75gOGTTを施行して、IGTの有無をチェックするとよいと思われます。IGT+上記の軽度異常は、相乗的に動脈硬化を促進させます。要はメタボリックシンドロームですね。。。
糖質の至適割合に関してはまだcontroversialとのことで、心血管イベント予防のための"バランスの良い食事”とは何が理想かわかりませんが、IGTの方には、日本食 + αGI が良いとK先生は言っていました。

自分は、食事においては糖質は少なめを心がけていますが、相変わらずビールや日本酒は飲んだくれで、これにより程よい糖質摂取となり、結局バランス良くなっていると思っています(苦笑)。1日1食生活はまだ続いており、元の体重から4-6kg減を維持しています。

2009年12月4日金曜日

難しいけれど

中年男性が、日中胸痛に加え両肩、両腕のだるさが出現し、病院受診も考慮したようですが、マッサージ屋に行ったそうです。幸い症状は自然消失しましたが、同日夜間症状が再発し当院緊急受診となりました。結局急性冠症候群で、PCIを施行し、事なきを得ました。
先日も急性大動脈解離の患者が背部痛を訴え、整体に行ってマッサージをしてもらっていたというエピソードがありました。胸や背部、肩などの痛みで、整形外科を受診した急性大動脈解離や急性冠症候群の方も稀ではありません。
整形外科医、按摩マッサージ指圧師、柔道整復師、整体師など背部や肩、腕の症状を訴える方を目の当たりにする機会の多い方は、急性冠症候群や急性大動脈解離などの致死的心血管疾患を頭の片隅に入れておくことは大変重要と改めて感じた次第です。肩や背中の不調を訴える方は星の数ほどいらっしゃいますので、頻度は稀でしょうが、、、。

2009年12月2日水曜日

死戦期呼吸?死線期呼吸?

あるMLで、agonal respirationは「死戦期呼吸」か、「死線期呼吸」か、が話題になりました。以前、Kim先生のブログでも話が出ていました。
自分としては、AHAの日本語版マニュアルに記載されているように、当然のように「死戦期呼吸」と思っていました。
”死と戦う”死線期か?”死の線上”の死線期か? 考えてみれば、どちらでもいいような気がしてきます。
新潟のある先生によると、消防関係では圧倒的に「死線期呼吸」が使われているとのこと。

「死戦期呼吸」をGoogleで検索すると、1160000件ヒットします。
「死線期呼吸」をGoogleで検索すると、20700件ヒットと上記より遥かに少なく、おまけに、”もしかして:死戦期呼吸”といったコメントも現れます。
同様にYahooでは、「死戦期呼吸」731000件、一方「死線期呼吸」は13000件と少なく ”死戦期呼吸ではありませんか?” のコメントも出ます。
世の中においては、AHAのプロバイダーマニュアル日本語版に記載されているとおり、「死戦期呼吸」が主流のようです。
学術的には不明確な面はありそうで、学会レベルでの用語統一が望ましいとは思います。

難治VF

中年男性、院外CPA、難治性VF患者に遭遇しました。救急隊のAED無効で、当院搬入後も二相性200Jの除細動を繰り返しましたが無効、質の高いBLSしつつ、気管挿管、アドレナリン、アミオダロン、リドカイン、メイロン等使用しましたが難治。PCPSをプライミングして、挿入寸前に自己心拍再開しました。
緊急CAGでは右冠動脈閉塞、左前下行枝90%の2枝病変でした。右冠動脈にPCIを施行しました。PCI中冷却輸液やアイスノンで冷却しましたが、先日の「RhinoChillデバイス」があれば良いかもしれないなあ、、と思いました。
冠動脈から吸引した憎き血栓です。