2011年11月3日木曜日

VT ?




HR150程のQRS幅の狭い頻拍に、アデホス(ATP)5mg を急速投与したところ、装着していた心電図モニター画面全体がこんな波形となり、HR280くらいのデジタル表示になりました。

アデホスでVTになっちゃった???

と一瞬思ってしまうような現象でしたが、何の事はない、心房粗動の心室伝導が低下したことで、鋸歯状波が明瞭となっただけでした。心電図モニターが鋸をR波として認識し、誤カウントしたようでした。おどかすなよー(笑)。





結局は、すぐに元の心房粗動2:1に戻りましたが、何が起ころうとも対処できるように、アデホスを使用するときは除細動器をそばに置いておく事が基本です。

2011年10月31日月曜日

しつこく、手の位置

前回10/23の記事に関し、同じような経験を複数しているという方から御連絡を頂きました。都内の某救命センター。VF,MI,CPAで救命センター搬入され、自己心拍再開、PCIもうまくいったが、その後急速に貧血が進行し、ショックに陥ったそうです。結論としては、肝損傷→腹腔内出血。恐らくは胸骨圧迫によるもの。どのような機序で、肝損傷に至ったか明らかではありませんが、そんな可能性を少しでも減らすべく、正しい手の位置を守ることは、やはり、大切そう。

2011年9月14日水曜日

院外心肺停止に対するアドレナリンの効果

Effect of adrenaline on survival in out-of-hospital cardiac arrest: A randomised double-blind placebo-controlled trial.
(Resuscitation. 2011 Sep;82(9):1138-43. Epub 2011 Jul 2.)


背景:心肺蘇生においてアドレナリンは長年標準的に使用されているが、生存率改善を示した臨床試験はほとんどない。この研究の目的は、院外心肺停止患者に対し、アドレナリン投与することで生存退院率が向上するか否かを調べることである。
方法:院外心肺停止患者におけるアドレナリンの二重盲検無作為プラセボ対照試験。ALSのガイドラインに従い、傷病者にアドレナリン1mgまたはプラセボ(生理食塩水)を無作為に投与しCPRを行った。一次アウトカムは生存退院、二次アウトカムは病院前自己心拍再開(ROSC)と良好な神経学的予後(CPC1-2)。
結果:研究期間中の4103人の心肺停止の内、601人を無作為に2群にわけた。不十分なデータ例をのぞいた534人が解析対照。プラセボ群262 人、アドレナリン群272人。年齢、性別、バイスタンダーCPRの有無など、両群の患者背景はよく合致していた。ROSCはプラセボ群22人(8.4%)、アドレナリン群64人(23.5%) (OR=3.4;95% CI2.0-5.6)。生存退院はプラセボ群5人(1.9%)、アドレナリン群11人(4.0%) (OR=2.2; 95% CI0.7-6.3)。うち、アドレナリン群2人以外全員はCPCスコア1-2と良好であった。
結論:心肺停止患者に対するアドレナリン投与は、自己心拍再開率を改善させたが、生存退院率改善については統計学的有意差はなかった。



アドレナリンには確たるエビデンスはないものの、心肺蘇生においては標準的薬剤とされており、こんなRCT、よくぞ倫理的に許容されたものです。しかしながら、どうやら倫理的問題を提起する意見もあったようで、予定通りに研究を進めることができず、nも予定よりだいぶ減ってしまったようです。RCTとは言え、限界も色々とあるようですが、それでも、もう少しnが多ければ生存退院率に有意差が出た可能性があり、惜しい気がします。もう二度とこんな研究はできないことでしょう。

2011年7月18日月曜日

あきらめないこと

なでしこJAPAN、ワールドカップ優勝おめでとうございます。

試合をご覧になっていた方は誰もが思っていたと思います、実力の差は歴然。USAの攻撃はスピード、技術、パワー、いずれもJAPANより遥かに上です。

USAチーム、USAサポーターは、まさか負けるとは思わなかったでしょう。
試合を観ていたJAPANサポーターの多くも、正直なところ、(勝ってほしいとは思いつつも)まさか勝つとは思わなかったのではないでしょうか。

天皇杯で、Jリーグチームと高校チームが戦っている感じ(笑)。

でも、泥臭く、頑張りました。あきらめないこと、本当に大事と思いました。

2度リードされながらも、あきらめずに追いつきました。その執念、粘りは、世界一の価値があります。

当たり前ではありますが大事な大事なことを、朝早くから再認識させてもらいました。


もう1つ。
最後のPK戦の前のJAPANチームの円陣のなかで、佐々木監督が抜けるような笑顔をしていたのが印象的でした。勝利のポイントの一つだったかもしれません。

2011年7月17日日曜日

実践

一昨日、昨日と、連日CPRをしつつPCPSを挿入する機会がありました。自分はPCPSを挿入する側であったのでいわゆるCPRには直接関与しませんでしたが、他の方々の懸命なるCPRを横目で見つつ手技を行いました。

以前に比し、" High Quality CPR" "High Quality Compressions"を意識していることは明らかでした。さすが救命センターの面々です。現場も進歩しています。

強く、速く、絶え間なく、のcompressionでした。

ただ、フルリコイルの実践は、この3点より難しそうです。実際の傷病者のリコイルは、マネキンのリコイルと異なり、より確認しずらそうですが、とにかく意識し続けることがまずは大事だと思いました。

手の位置も、いい加減になりがち。"胸骨"圧迫 の意識をもっと持つことが重要と感じました。

参考

もう一つ。いずれの患者も気管挿管しましたが、やっぱり過換気になりがちでした。"過換気を避ける”ことは現場では最も難しいスキルの一つです。油断するとすぐに速くなる(苦笑)。常に、”過換気を避ける”ことも意識していないと実践が難しいと再認識しました。
ちょっと前の文献ですが、こんなものもあります。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17130392

呼吸確認脈拍確認

心肺停止の判断において、頚動脈の脈拍確認は、医療従事者でさえ難しい技術であることは以前から言われていることです。ですから、一般市民には推奨されていません。医療従事者は一応試みますが、時間をかけてはいけません。

AHAのBLS for HCPでは、意識の確認+呼吸をざっと確認→EMS立ち上げ・AED要請→脈拍確認 の流れ。
JRCは、意識の確認→EMS立ち上げ・AED要請→呼吸の確認+脈拍確認 。

JRCガイドラインの記載では、「市民救助者は心停止確認のために脈拍の触知を行うべきでない。医療従事者であってもCPR に熟練していない救助者は同様の対応でよい。一方、熟練救助者は患者の呼吸を観察しながら、同時に頸動脈の脈拍を確認してもよい。」 となっており、呼吸確認と脈拍確認を同時にやりなさい、とは書いてありません。

昨日のICLSコースでは、同時にやるように指導する方針になっていました。ちなみに、呼吸の確認は「見て聞いて感じて」でした。
実際に受講生が同時に行っている姿を拝見すると、ほぼ全受講生、脈拍確認がかなりおざなりになっていました。脈拍確認だけでも難しいスキルなのに、呼吸を見て聞いて感じながら同時に脈拍確認することは相当に難易度が高いと感じました。超熟練救助者限定スキルです(笑)。

AHAの流れのほうが、自然だし、技術的に習得しやすいかなという印象を抱きました。

見て、聞いて、感じて

昨日はICLSに参加しました。
普段はAHAコースに関与しているので、AHAガイドラインに目を通すことが多いです。昨日はICLSですから、JRCのガイドラインをちょいとみる機会がありました。以前公開されていたドラフト版では、医療従事者の呼吸の確認は、” 呼吸の確認時に気道確保を行い、「見て、聞いて、感じて」呼吸の観察を行う ”となっていました。ところが、最近公開された確定版では、” 呼吸の確認時に気道確保を行う。” の記載のみで、「見て、聞いて、感じて、、、、」の記載は削除されていました。おお、消えてる(笑)。

AHAは、”「見て、聞いて、感じて」を削除”を明確に打ち出していて、やることは好ましくない、、的なニュアンス。JRCは、ひっそりと記載が消えている(笑)。やっても良いけど、やらなくても良いよ、、、的感じ。微妙にニュアンスが異なります。

「見て、聞いて、感じて」を行うか、行わないかで、予後か変わるというエビデンスはないわけですから、どちらが正しいか誤りか、ということではありません。

大事なことは、死線期呼吸を見逃さないこと、時間をかけずに、次なるステップに進むことです。

2011年7月6日水曜日

リコイルと冠灌流

前記事の続き。

リコイルの重要性にも触れています。

胸骨圧迫により押した胸壁がリコイルするときに胸腔内圧が下がり、大動脈に拍出されていた血液が胸腔外→胸腔内→心臓まで戻り、冠動脈の灌流を得ることも言及しています。リコイルは、静脈還流を促すだけではありません。
冠血流は、リコイル時にのみ得られると言っています。リコイル、大事です。

この図もお気に入りです。無断掲載ですが。


心臓マッサージと胸骨圧迫

"心臓マッサージ" ? "胸骨圧迫" ?  どっち?といった話題は以前も出ました。

今更(笑)ですが、AHA ECC公式日本語サイトの右上から入れる、"CPR 50周年記念シンポジウム動画配信"には分かり易い情報があります。まだ見ていない方は、一度ご覧下さい。

胸骨圧迫は直接心臓を圧迫して心拍出を得ている、というよりは、胸腔内圧を上げることにより心拍出を得ている、という話です。
心肺停止となると、循環系(血管内)全体の圧は10mmHg程になります。胸骨圧迫すると胸腔内圧が75mmHgだけ上がり 胸腔内の血管全てにこの圧がかかり、10+75=85mmHgに上がり、これにより大動脈へ血液が拍出されます。静脈系は、静脈弁により血液が拍出されません。

この解説に使われている、下記の図、結構お気に入りです。





つまり、胸腔内の圧の変化がchest compressionの効果の機序であり、決して心臓をマッサージしているわけではないのです。
従って、"心臓マッサージ" はやはり不適切と考えるのが妥当でしょう。胸骨圧迫でよろしいと思います。

自分の関わるコースでは極力"心臓マッサージ" "心マ”は使用を控えるように言っています。
かといって、いちいち"胸骨圧迫"っていうのもちょい長くて、いいずらい。ついつい"compression"と言ってしまうことが多いのが現状。

換気回数

先日のBLSコース。時々、出る話題ですが、
BLSインストラクターとして、少しドキッとする質問。

呼吸停止患者(非心停止)へのBVMでの換気は、5-6秒に1回(10-12回/分)です。
心肺停止患者に高度な気道確保を挿入した場合の換気は、6-8秒に1回(8-10回/分)です。


では、呼吸停止患者(非心停止)に高度な気道確保を挿入した場合の換気回数は?

ぱっと、答えられるBLSインストラクターはほとんどいませんでした。

たしかに、BLSのマニュアル類には記載はなさそう。

ACLS provider Manualには明記されています。





ということで、5-6秒に1回(10-12回/分)でした。

2011年6月14日火曜日

High Quality Compression

6週間連続で週末使って(苦笑)G2010に関わり、感じた事。
High Quality Compressionは全ての医療従事者に必須のスキルです。
地震大国日本の国民一人一人にとって震災対策が必須であることと通じるものがあるような気がします。

皆出来ると思っているけれど、殆どの人が出来ないHigh Quality Compression。
必要性は分かっている(つもり)だけれど、いざという時に出来ないHigh Quality Compression。

国家試験や専門医の実技試験に出てもよいくらいです。
これが出来ないと医療従事者でいられない世の中が将来的にやってくるような気がしてしまいます。

High Quality Compressionのためには、それなりの体力が必要です。
命を救うためのcompressionのためには、身体を鍛えなければいけません。ということで、医療従事者は必ず腕立て100回/日しなくてはいけない、、時代がくるかもしれません(笑)。 →参考記事
朝のカンファレンスで、医局員全員で腕立てとか(笑)。

High Quality CPRを教える立場にいる人に最も必要なもの、それは、それが本当に必要である!という  " 熱意 ! 情熱 ! "

今のところの結論です。

2011年6月8日水曜日

AED充電中の胸骨圧迫

G2010 AHA ACLSのDVDでのAED。(ショック適応のアナウンス後の)充電中も胸骨圧迫を行っています。絶え間ない胸骨圧迫への意識が強いようです。
当ブログでもこの辺のことはかつて話題になりました。http://jblog20090211.blogspot.com/2009/02/aed.html
読み返してみて、思い出す事も多々あり、勉強になります。何事も反復です。
今時のAEDの充電時の解析継続の有無はどうなっているのかな?ご存知の方、御教授を。

2011年5月27日金曜日

気分不良の心電図

さて、この心電図、なんでしょう?
中年男性、気分不良を訴えています。







完全房室ブロック、心室補充調律はHR20か、それ以下。この心電図の波はP波です。QRS波は全く出ていません。こんな12誘導心電図はなかなか珍しいですよね。心静止(asystole)の定義は混沌としていますが、AHA G2010ガイドライン(S735)には、「asystole(ventricular asystoleと表現したほうがベター)は心房の電気的活動の有無に関わらず、心室の電気的活動が同定できないもの」と記載されています。この記載からすると、これは心静止の12誘導心電図ということになりますね。。。。
しかし、一応意識はありますので、すべきことは、超症候性超徐脈の処置です。アトロピンは無効でした。同時にTCP作動、すぐさま経静脈ペーシング挿入しました。G2010でちょっとランクアップしたカテコールアミンは使わなかったなー。

2011年5月18日水曜日

胸骨圧迫による意識回復

震災の影響で各種学会が中止となり、調子に乗って、AHAコースの予定を入れています。
先々週末はAHA BLS for HCP、BLS-R for HCP、先週末はAHA ACLS provider course。インストスタッフ不足で、激務だったたけにまだ疲れが抜けません(笑)。今週末はICLSとAHA BLS G2010のマテリアルを使用してのテストコース。来週末はAHA ACLS-R。自分としてはちょっとoverworkです(笑)。

一方で、本来の業務でも最近はCPRが連日のように行われています(汗)。
昨日のCPR。
受診が遅れたために、早期再灌流なされなかったSTEMI患者。入院数日後の昨日、大部屋で突然VF(ECGモニター装着していた)。ナースステーションのモニタでVF確認。私が患者のもとに駆けつけた時には看護師が既に胸骨圧迫していました。患者は意識あり、会話ができました。VFなのに意識がある??
看護師がAEDを装着しようとしましたが、私は「意識ある人に通常はAEDつけないよ」と言ってしまいました。手動式除細動器の装着を考慮しましたが、すぐには使えなかったので結局AEDをつけました。モニター付AEDだったのでモニター観察したかったからです。波形を確認すると、やっぱりVFで、ショック適応と解析され、ショックしました(AED操作時に、胸骨圧迫を止めると患者は意識消失しました)。すぐに胸骨圧迫再開、間もなく意識回復しモニターも洞調律を確認できました。自己心拍再開しました。



結局、VFで卒倒しましたが、看護師が素早く胸骨圧迫。胸骨圧迫中は意識回復しますが、胸骨圧迫を止めると意識消失。VFはその間ずっと継続していたわけです。看護師の胸骨圧迫が素晴らしかったわけですね(笑)。余計なことを言ってしまいました。失礼失礼。

この看護師、AHA BLS/ACLS providerです。

2011年5月6日金曜日

2005→2010




ちょっと寒いみたいです(笑)。


2011年4月30日土曜日

原子炉時限爆弾



原子炉時限爆弾 広瀬隆 ダイヤモンド社

地震大国の日本の地に、安全性が全く保証されていない原発が乱立している危険性を説いている本です。東日本大震災のおよそ半年前の2010年8月に出版されています。

正に、今回の福島原発事故が、この本の危惧する事態そのものです。この本を読むと、今回の福島原発事故は”原発産業がもたらす暗黒時代”のほんのプロローグで、今後更なる深刻な事態が続発することは間違いない、、、という思いを抱かざるを得ません。

再処理、増殖炉、プルサーマル、、、さらに危険な状況に進みつつある原発産業。

「電力会社が、自分が何をしているかさえ、誰も分からないまま、全体が集団的な無責任体制のまま、無自覚に暴走してしまっている。」

筆者の心配が,今回の福島原発の東電のずさんな対応にも垣間みれます。

筆者の心の叫び、それでいて冷静かつ客観的分析、そして今にでも自分の身に降りかかってきてもおかしくない現実味に、引き込まれます。まだ未読の方は、御一読をお勧めします。

頻拍・頻脈

先の、「徐脈ですが、徐拍ではない」 の記事に "徐拍”は一般的でないと、書きましたが、"頻拍”はよく使いますね。
頻拍、頻脈、混同して使ってしまいますが、正確には異なるものなのでしょう。
例えば、脈なし心室頻拍 (pulseless VT)は、「頻脈ではない(脈なし)が、頻拍である」、、という解釈でよいのかな。
頻拍性心房細動の場合は、心拍数と脈拍数が大きく異なることが多いですね。

徐脈ですが、徐拍ではない

中年男性。自宅血圧計で、脈拍が30台/分と遅いので心配、、、とのことで救急外来を受診されました。脈が遅い、というだけで、それ以外の自覚症状はありません。
研修医の先生が対応してくれまして、バイタルサインは安定、自覚、他覚症状ともに問題ありません。心電図を記録して、当直の私まで連絡をくれました。

「ご自宅では30台/分の徐脈のようでしたが、今は60台/分に戻っています。PVCsが出ています」





なるほど。洞調律ですが、PVCs(心室性期外収縮)の二段脈となっています。正常洞調律とPVCs合わせて、心拍数60台/分となっているようです。ただ、末梢動脈を触知してみると、正常洞調律時はしっかり触知するものの、PVCsの時はごく微弱か、殆ど触知できません。
つまり、自宅でも洞調律+PVCsの二段脈で心拍数はおおよそ60台/分だったものの、自宅血圧計ではPVCs時の脈拍をカウントできずに、30台/分と表示してしまったものと推測されます。
病歴と諸検査よりPVCsの原因となる、急を要する疾患はなさそうで、無症候性"徐脈"、無症候性PVCsであり、とりあえず経過観察で帰宅としました。
徐脈ですが、徐拍ではない、とでも言うのでしょうか。"徐拍”という表現はあまり一般的ではないですね。。。
まあ、心拍数は必ずしも脈拍数と同じではないということです。

このような二段脈で、PVCsの拍動が極めて弱く、めまいなどの徐脈症状を呈することもあるそうです。私は遭遇したことはないですが、先日不整脈専門家先生が言っていました。

2011年4月29日金曜日

手の位置

新年度になり、循環器科スタッフが1人減ってしまい、業務増。その影響がボディーブローのように効いてきています(苦笑)。やれやれ。他の病院に比べれば医師の数はかなり多い方ですから贅沢は言えませんが。。


ということで、久し振りの更新。
先日あらためて感じた事。(以前にも同じような記事を書いた気がしますが、現場は改善されていないということでしょう。。。)
肺塞栓症による、院外心停止、PEA症例。救急隊の目の前でPEAになったようで、すぐさまCPRが開始されています。搬送中、当院搬送後、合わせておよそ40分弱のCPRが施行され、自己心拍再開しています。CTにて肺塞栓の診断が付き、血栓溶解療法を行いたいところでしたが、胸骨圧迫によると思われる肺の損傷で気管からの出血が著明。結局、血栓溶解療法の施行は見合わせ、抗凝固療法のみで対処となりました。

正しく胸骨圧迫しても、肋骨骨折や臓器損傷が生じてしまう可能性は勿論あります。しかしながら、多くのケースでは、手の位置が胸骨からずれて肋骨を押してしまうことが大きく関与している印象を持っています。G2010になり、少なくとも5cm、少なくとも100回/分、強く速く押しますから、正しい手の位置を強く意識していないと余計に肋骨骨折、臓器損傷を来しやすくなります。

BLSコースで、正しい手の位置を意識すべく、胸骨が確認できる骨の図(G2005 Supplemental materials P86)をコースで提示したことがたびたびありましたが、G2010BLS for HCPs student manualにはマニュアルの本文にこんな図が載っています。より印象的ですし、指導もし易くなると思います。




肺塞栓のマネージメントには、種々議論があります。血栓溶解、PCPS、IVC filter、、、。
Circulationに、statementが出ました。参考までに。

Management of Massive and Submassive Pulmonary Embolism, Iliofemoral Deep Vein Thrombosis, and Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension: A Scientific Statement From the American Heart Association

2011年4月17日日曜日

BLSとACLSとスタッフと

久し振りの更新です。最近忙しいです! 鬱病になるかと思いました! が、にっこり笑顔を作ったら治りました(笑)。

当施設では数年前からAHA BLS for HCPは毎月定期開催していました。AHA ACLSは数ヶ月に一度の不定期開催としていましたが、ここ数ヶ月は頑張って、毎月ACLSコースを開催していました。

その影響か、以前よりも心肺蘇生教育に興味を示すスタッフが増えてきました。
ACLSコース受講を経て、その後ACLSコースにスタッフ参加し、更にBLSにも興味を抱き、BLSインストラクターを目指すひとが増えてきました。

BLSより、ACLSのほうが興味を引き易いのでしょう。手動式除細動器や、点滴、薬剤、、などちょっとかっこよく?見えますし。
その、ACLSの中で、BLSの重要性を強調することで、更にBLSへの理解が深まるのでしょう。
G2010暫定コースになり、明らかにG2005時代よりもHigh Quality CPRを強調するコースになっています。高度なACLSであっても、絶対的に重要なBLS。これを理解してくれているのだと思います。


当コースの受講生の多くは看護師、医師初めとする院内医療従事者。リアルな状況設定を意識したACLSコースを経験することにより、自分たちの職場環境の中でのBLSの重要性を認識するのだと思います。

BLSが重要であるという熱い思いを一人でも多くの人に伝え、motivationを高めることができれば、もっともっと心肺蘇生教育に携わろうという人が増えると思います。現場も変わると思います。



ただ、見方を変えれば、BLSコースだけでは、BLSが重要であるという熱い思いを伝え切れていない、とも解釈できます。このへんが今後の課題です。

2011年3月27日日曜日

速い胸骨圧迫

今週のACLSコースでの話。
ある受講生がパワフルかつ激速の胸骨圧迫をしていました。
30回をおよそ11秒! 163回/分ほどに相当します。
しかし、観察する限り、しっかり深く押せているし、完全にリコイルもしているように見えます。
速すぎると、空打ちになりそうだし、、、、という思いがある反面、それを納得させる理論的根拠も希薄な気がします。AHAの言う、質の高い胸骨圧迫に矛盾はしません。
ERCでは、120回/分は越えないこと、6cmは越えないこと、との記載がありますが。

過剰に?速い胸骨圧迫のデメリットの理論的根拠をご存知の方、是非ご教授ください。

コース開催

震災に関わる問題はありましたが、今週末ACLSコースを開催致しました。節電等含め被災者の方々への支援の姿勢を保ちつつ、通常の生活を再開、継続していくことが更なる支援につながり得ると考えました。
大変な時期にも関わらず、22人の方々に受講頂きました。半数以上が循環器医というこってりコース(笑)。ACLSインストラクター5人、BLSインストラクター4人参加。
全員合格し、めでたくACLSプロバイダーとなりました。質の高いCPR、チームワーク、、、良きパフォーマンスが展開されていました。アンケート結果もほぼ完璧で、受講生の満足度も高かったようです。
この時期の開催なだけに、様々な苦労がありましたが、報われる思いでした。開催してよかったです。

節電で、暖房入れなかったので、講義中寒かったのが、受講生にはつらかったかもしれません。でも皆様御理解してくださっていたようです。

2011年3月21日月曜日

節電メモ

節電すべきか」という疑問に対する回答(地域別)
http://norihara.livedoor.biz/archives/51670820.html

続・「節電すべきか」という疑問に対する回答(東北電力、東京電力地域以外)
http://norihara.livedoor.biz/archives/51673468.html

本当に必要なのは「ピーク時」の節電
http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/2011/03/post-d9f7.html

東京電力の計画停電を考える
http://ameblo.jp/kazue-fujiwara/entry-10835236187.html

今こそサマータイム導入を!
http://ameblo.jp/kazue-fujiwara/entry-10836173672.html#main

2011年3月20日日曜日

Twitter

今回の震災で、個人的には遅ればせながらtwitterの重要性を実感できた。


 ツイッターはそもそもアウトプットではなく、インプットメディアである。


なるほど。Twitterを理解しきれていない方、一読を。

メモ2

原発関連

大前研一解説
http://genshi.seesaa.net/article/191498566.html

アメリカは、東日本大地震をどう受け止めたか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2285


破局は避けられるか――福島原発事故の真相 ジャーナリスト 広瀬隆
http://diamond.jp/articles/-/11514

2011年3月18日金曜日

頑張れ日本

「被災地の現状は、非現実的であり、ニュースで流れている情報よりも厳しいとしか言いようがありません。現地活動では心が折れました。しかし、東京からもできることが、それぞれに必ずあります。今、自分にできることを継続していく次第です。」

DMATの一員として被災地で救援活動をしてきた我々の仲間の言葉。
彼は逞しくて、心が折れるなんてことはないように見える人ですが。本当に現場は厳しいようです。
ひとりひとりが出来る事を、少しでもよいので、やらねばなりません。

こちらのブログにも大切なことが書かれています。


「今のこの瞬間に
一瞬先の心配をしながら
苦しんでいる皆がいること
今日、明日をとても不安に感じながら
避難している皆さんの事を想って
今は、皆で慎ましく
冷静に過ごしてほしい。

被災地で行われている
救助活動、救命活動、支援活動
その活動を支える行動をしてほしい。」


勝間和代さんも、3D運動を提唱しています。

「できる人が、できることを、できる限り」

こんな思いを常に頭に入れて一日一日過ごそうと思います。

2011年3月13日日曜日

Japan Earthquake: before and after

http://www.abc.net.au/news/events/japan-quake-2011/beforeafter.htm

生活への影響

震災のお見舞いを申し上げます。

次から次へと惨状が明らかとなり、何か貢献できることはないかと、思うばかりです。
節電や、DMAT初めとする人材派遣、様々な医療情報提供、医療相談サイト立ち上げなど、皆さん少しでも出来る事を、、という気持ちで動いております。


幸い、東京の地は軽度の余震のみで、一見落ち着いていおり、日常に戻りつつあるようですが。。。。

しかし、スーパーに行ってみると、、、、

カップラーメン売り場、、、売り切れ。。。




パン売り場、、、売り切れ。。。。



牛乳売り場、、、、売り切れ。。。。。





皆様、次に備えているようです。
牛乳などは、早くも供給不足になっているのかもしれません。

直接被災されなかった方にも、徐々に生活に影響が出てくることが予測されます。
人ごとと思わず、皆で協力し合いましょう。。。

2011年3月12日土曜日

東日本大震災

先ずは震災のお見舞いを申し上げます.

すごい事になってしまいました。

個人的には、土日のACLSコースが中止になった程度の事で済んでいますが、テレビで流れる映像を見て愕然としています。

東京も、まだ余震を時々感じます。

東北方面の知人とも連絡はつきません。

大地震そのものも恐ろしいですが、続発した大津波はもっと恐ろしいです。

そして、更に続発する火災、そしてそしてもっともっと恐ろしい放射能漏れ。。。。心配です。


以下の、こんな情報もあるようです。一応頭に入れておいてください。




Fw:気をつけて!!

千葉、首都圏の方へ。千葉の製油所、製鉄所の火災の影響で千葉、首都圏では、科学薬品の含まれた雨が降ることが予想されます。 傘やレインコートの使用をお願いします!

とりあえず広めて!
雨にあたらないようにしてね!

気をつけてください。



→チェーンメール、、、って情報もありますね。

まああらゆる情報は偏っている可能性がありますので、最終的には御自身で御判断ってことで。

2011年3月9日水曜日

キューピー3分クッキング

キューピー3分クッキングならぬ、救急3分トレーニング(笑)。

全文無料なので、英語が得意な方は読んでみて下さい。
私はまだよく読んでいません(笑)。
アブストラクトの粗訳のみ以下参考に。

一般市民向け胸骨圧迫のみの心肺蘇生法の超簡易教育ビデオと簡易教育ビデオの効果
(Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2011;4:220-226.)

背景
バイスタンダーCPRは院外心肺停止の生存率を改善させるが、施行されないことが多い。我々は2つの仮説を立てた。(1)胸骨圧迫のみのCPRの超短時間のビデオを鑑賞した人は、院外心肺停止シナリオのシミュレーションにおいて、未トレーニングの人よりCPRを試みるようになり、(2)CPRのスキルもより良くなる。

方法と結果
本研究は前向き試験で、最近CPRのトレーニングをしていない336人の成人を無作為に4群に割り付けた。
(1) コントロール(トレーニングなし)(n=51)
(2) 60秒ビデオトレーニング (実習なし) (n=95)
(3) 5分ビデオトレーニング(実習なし) (n=99)
(4) 8分ビデオトレーニング(実習あり) (n=91)

全ての被験者が、CPRマネキンとレールダルPCスキルレポーティングソフトウエアを使用して、成人院外心肺停止シナリオにおいて、CPRの施行能力を評価された。トレーニングした被験者の半数が無作為にすぐに評価され、もう半数が2ヶ月遅れて評価された。
コントロールの12人 (23.5%) はCPRを試みることさえしなかった。全トレーニング群では2人のみ (0.7%; P=0.01) であった。全トレーニング群はコントロール群より、胸骨圧迫の速さが速く(推奨の100/分に近い)(P<0.001)、胸骨圧迫の深さも深かった(>38mm) (P<0.0001)。

結論
胸骨圧迫のみのCPRの超短時間のビデオを見た一般市民は、トレーニングしていない市民よりCPRを試みるようになり、CPRスキルにも優れる。



60秒に比すれば、5分、8分ビデオのほうが成績はよいですが、60秒でも見ないよりはよっぽど良いようで。
シンプルなHands Only CPRだからこそ、かな。
TVのCMに流したりするだけでもよいかもしれませんね。

2011年3月7日月曜日

倉敷ライブ

先週末は、当初予定していなかったが急遽倉敷へ。

第20回倉敷PCIライブデモンストレーションコース



倉敷中央病院は、大変教育的なライブを毎年開催しています。健康上の理由から光藤先生はコースディレクターから退き、門田先生が重責を引き継ぎました。しかし、、蓋を開けてみれば、まだまだ光藤先生の独壇場(笑)。スーパーテクニックを披露しまくっていました。
だれがどう見ても、CABGでしょ、、、というcomplex症例も、淡々と、丁寧な手技で、奇麗に仕上げていました。
常に、ペースを保ち、平穏(を装う?)な様相は、他のオペレーターと一線を画します。結構好きです。


個人的には、珍しく体調不良。。。。先週末の新潟ICLSインフルエンザ(疑)事件の余波か。。。?

金曜夜なのに、ライブ終了しだいそそくさホテルへ。

しばし寝た後、やっぱりとふらふら郷土料理やへ。

大好物、乙島シャコ。



タコのたまご?



先週末の新潟ICLS参加時に、魚市場でみかけた ”タコのたまご”と同一か。饅頭みたいな外観だったが。。。

ビール、地酒も呑んだが、やはり本調子でなく、ホテルへ帰宅。夜中もうなされた(汗)。

一晩に、ペットボトル500mlx5本飲んだ。たまたま持参したロキソニン錠剤飲みまくり。

翌朝、ずいぶんまし。



気持ちよい朝日。




気持ちよい青空。倉敷の町並み。


不謹慎とも思われたが、せっかくの倉敷、人里離れた二階席の隅の席で、光藤テクをこっそり堪能しました。ごめんなさい。

頑張れ日本

「アップル vs グーグル」(ソフトバンク新書)小川浩・林信行を読み、IT社会のトップに君臨する2社の凄さを実感し、足下にも及ばない日本企業に愕然とする。久しぶりに読んだ勝間和代著作「高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人」(小学館101新書)で言う、「ストリートスマート」(いわゆる頭の良い人、状況判断に長けている、自立心旺盛)、「アカデミックスマート」(成績重視の優等生)。さしずめ先の2社はストリートスマートっぽい。日本のそれはアカデミックスマートの傾向が強い。前原大臣まで辞任の日本政界、これもアカデミックスマート色が強い。京都大学入試の携帯カンニング事件。カンニングする学生、された大学、それを報道するマスコミ。みんな、ストリートスマートとはかけ離れているように思う。

何が悪いのか。

日本の教育?

日本全体が沈んでいく気がした週末でした。

体調悪かったせいで、考え方もネガティブなのかな?

私?私もどちらかというとアカデミックスマート(苦笑)。

おっと、成績優秀じゃないから、アカデミックスマートにも及ばない(苦笑)。

2011年3月1日火曜日

アトロピン

G2010ではnon shockable rhythm(PEA/asystole)へのアトロピンのルーチン投与は推奨されなくなりました。
CJにそれに関連する論文が掲載されました。やはりアトロピンの有効性は否定的な結果でした。

Circ J 2011; 75: 580 –588

英語が苦手な方は以下を参考にして下さい。


背景
G2005ではnon shockable rhythm(PEA/asystole)にアトロピンの投与が推奨されていたが、臨床的なデータは十分ではない。

方法と結果
SOS-KANTO研究のnon shockable rhythmを呈した成人患者7448人において、アトロピンの効果を検証した。主要評価項目は心停止30日後の神経学的予後良好。Asystole6419人において、アドレナリン+アトロピン投与群(n=1378)は、アドレナリン単剤投与群(n=5048)に比し有意に自己心拍再開率が高かった(調整オッズ比1.6(95%CI 1.4-1.7,P<0.0001)。しかし、30日後の神経学的予後良好においては2群間で有意差はなかった(調整オッズ比0.6 (95%CI 0.2-1.7,P=0.37)。PEA1029人において、自己心拍再開、30日後の神経学的予後良好については共に2群間で有意差はなく、アドレナリン+アトロピン投与群は、アドレナリン単剤投与群有意に30日後の生存率が有意に低かった(調整オッズ比0.4(95%CI 0.2-0.9, P=0.016)。

結論
non shockable rhythmによる院外心停止患者へのアトロピン投与は、長期神経学的予後改善には寄与しない。アトロピンはPEAを呈する成人には有用でない。

心停止後の低体温療法

G2010時代となり、自己心拍再開後の管理が重要視されています。特に、低体温療法、(適応あれば)早期CAG、PCIが重要です。
先の集中治療学会でもシンポジウムが開催され、今月中旬のJ-ReSSでは勿論、日本循環器学会でも取り上げられるでしょう。
最近のCirculationにも、低体温療法に関連する論文が出ていました(Circulation. 2011;123:877-886)。
VF/VTには有効だけど、PEA/Asystoleにはやっぱり有効じゃない、、ことが示唆される論文です。

英語読めるひとはこちら。
苦手な方は、下記を参考に。

心停止後の低体温療法はショック適応リズムと非適応リズムの双方に有効か?

背景
ショック適応リズム(VT/VF)による心停止から蘇生した患者に対する軽度低体温療法の有効性は確立されているが、ショック非適応リズム(PEA/Asystole)患者への導入には議論が残るところである。そこで我々は大規模コホートにより、初期心臓リズムと退院時神経学的転帰により低体温療法の予後への関与を評価した。

方法と結果
2000年1月から2009年12月の間、蘇生に成功した1145人の連続院外心肺停止患者を前向きに収集。軽度低体温療法と退院時神経学的予後良好(CPC1 or 2)の関連をロジスティック回帰分析にて定量化。軽度低体温療法はVF/VT708人中457人(65%)に導入され、PEA/Asystole437人中261人(60%)に導入された。全体としては、1145人中342人(30%)が退院時神経学的予後良好(CPC1-2)であり、VF/VTでは274/708人(39%)、PEA/Asystoleでは68/437人(16%) (P<0.001)であった。調整後、VF/VT患者では、軽度低体温療法は神経学的予後良好のオッズ増加と関連していた(調整オッズ比1.90;95%信頼区間1.18-3.06)。一方、PEA/Asystole患者では、神経学的予後良好と有意な相関は認めなかった(調整オッズ比0.71;95%信頼区間0.37-1.36)。

結論
心停止患者のこの大規模コホートでは、低体温療法は、VF/VT患者の退院時予後改善に関連した独立した因子であった。これとは対照的に、ショック非適応リズム患者の良好な予後とは関連していなかった。PEA/Asystole患者への有効性の欠如を明らかにするためには更なる研究が必要である。

2011年2月28日月曜日

教訓

知人が、タクシーでゲロを吐きました。

タクシーの運ちゃん曰く、いくら奇麗にしても匂いが残るし、商売にならない。  ごもっとも。

その間の業務の推定収入と、クリーニング代で、3-5万円を支払うのが相場だそうな。  へー。

まあ、気持ちは分かります。ゲロ、臭いもんね。

個人タクシーでした。尚更、商売あがったり。

警察も関与しましたが、警察も相場はそんなものですよーと教えてくれました。  そうなんだ。

ゲロ範囲も広くなく、更に一所懸命掃除して、ほぼ問題ない(と思われる)状態にしましたが、結局相場以下ではありますが、金銭お支払いし、全て決着。世の中、金です。

帰りのタクシー。個人タクシーでなく、某タクシー会社のタクシー。運ちゃんに聞いてみた。

タクシー会社所属のタクシーでは、車内で吐いても決して客に金銭を要求することはない、想定内のことだし、とのこと。へー。


本日の教訓。

飲み会後のタクシーは、個人タクシーでなく、タクシー会社のタクシーに乗りましょう。






タクシー業界にはゲロ保険って、ないのかな?
あって然るべきかなと思うけど。

2011年2月26日土曜日

勉強不足

除細動の際の、充電中の胸骨圧迫の話。

今更、AHA ACLS G2005プロバイダーマニュアル英語版を見ています(苦笑)。

P43

Chest compressions should ideally be interrupted only for ventilation (unless an advanced airway is placed), rhythm checks, and actual shock delivery.

日本語版の訳は以下の通り。

胸骨圧迫の中断は, 換気( 高度な気道確保器具が留置されている場合を除< ) , 心リズムチェックおよび実際のショック施行のときだけというのが理想的である。


"actual shock delivery"は、"通電する瞬間"というニュアンスと解釈できると思います。即ち、通電する瞬間のみ胸骨圧迫を中断するのが理想であり、充電中も(通電ぎりぎりまで)胸骨圧迫できたら最高だぜ、ということでしょう。

”実際のショック施行"と和訳されていますが、このニュアンスが伝わりにくいように思うのは私だけでしょうか。

G2005から、AHAは充電中の胸骨圧迫を(推奨はしないまでも)”理想”と表現していたんですね。今さらこんな明確な記載にきづいた自分は勉強不足きわまりない(笑)。

5サイクル

G2010になって、”少なくとも100回/分”の胸骨圧迫で、より速くなりました。”5サイクル”はG2005時代より時間的に当然短くなります。
AHAのBLSやACLSのアルゴリズムの図からは、”5サイクル"の記載が見当たらなくなり、"2分"の記載ばかり。もはや、"5サイクル"の概念がなくなったのかな?と思ったら、2010ハンドブックP3、P13、P78にはまだ"5サイクル"の記載がのこっていました。"about 2 minutes"の記載も残っていました。HandbookもスキャンしてPDF化していますから、文字検索ができます。つまらない検索にも役立ちます(笑)。

2011年2月19日土曜日

気分転換。

ちょっと気分を変えてみました。

2011年2月17日木曜日

ATPと喘息




また来た、安定したQRS幅の広い頻拍症。高齢男性。

粗動波らしきものが見えるような気もするし、変行伝導+心房粗動2:1伝導を強く疑いました。

まあ、でもVTも完全には否定できない。。。



みなさん、どうしましょう。





G2010頻拍アルゴリズムに沿って、ATPを考慮します。

心房粗動なら、ATP投与により、心室応答が低下し、鋸歯状波が明瞭に見えるようになります。
心室頻拍なら、多くの場合、ATP投与しても頻拍は不変です。


簡単に問診すると、気管支喘息の既往あり。吸入ステロイド等使用中。うーん。


しかし、大きな発作は30年出ていないとのことでATP使用可能と判断しました。



ATP10mg急速静注。心電図は全く変化なし。頑固だなあ。


ATP20mg急速静注。。。。。あれ、あれれ?? 


患者さんはみるみる息苦しそうな様相を呈し、咳き込み、喘鳴著明 !!

激しい喘息発作を生じてしまいました。がーん(汗)。


酸素投与し、気管支拡張薬吸入、ネオフィリン静注、ステロイド静注、、、、患者さんも冷や汗かいていましたが、こちらも冷や汗。。。

なんとか10数分後には喘息発作は軽減、落ち着きました。よかった。

肝心の頻拍発作は、、、

ATP投与直後、喘鳴著明となり激しくもだえて、記録していた心電図はノイズ著明で判別不能となってしまいましたが、モニター心電図でノイズの向こうに心室応答低下したことで明確になった鋸歯状波を、複数の人が確かに目撃。

やっぱり心房粗動でした。喘息治療もあり頻拍は絶好調に継続、、、すいません、、、。

その後心室応答コントロールをヘルベッサーで行いました。反応悪く、かなり頑固な頻拍でしたが、何とか病状改善に向かいました。





ACLS プロバイダーマニュアルには、「アデノシンは気管支攣縮を引き起こすおそれがあり、反応性気道疾患を有する患者への投与を避ける。」と記載されています。

喘息患者といっても程度は様々です。

個人的には、本当にアクティブな病勢の喘息患者や、重症な発作の既往のある患者でしたら投与はもちろん避けていましたが、そうでなければ投与してしまうことは少なくありませんでした。これまで喘息の著明な発作を誘発しまった経験はありませんでした。ちょっとぴゅーぴゅーいうくらいはありましたが。

今回もATP使用の必要性が、喘息誘発リスクを上回ると判断しての使用でしたが、判断がやや甘かったようです。
このような事態にも陥りうるとして学びが多い一件でした。喘息既往を有する患者さんにはやっぱりATP投与は慎重に考えましょう。


今回のケース、ATP使用しなければどうしていたか。

安定した幅の広い頻拍。心房粗動を最も疑うが、心室頻拍(VT)も完全には否定できない。VTの可能性も否定できないので、ジルチアゼム(ヘルベッサー)やベラパミル(ワソラン)はちょい使いづらい。β遮断薬も使いづらいし、そもそも喘息あるためダメです。
問診からは発症時期不明でしたので、リズムコントロールは塞栓症のリスクも否定できず避けたいところでした。G2010頻拍アルゴリズムのプロカインアミド、アミオダロンもちょい使いづらいし、電気的カルディオバージョンもやりづらい。
おまけに左室機能も中等度低下していました。

対処が難しい症例ですね。まさにExpert consultationです。

consultationされた循環器医は、12誘導心電図一枚から心房粗動と確信し、ジルチアゼムで心室応答コントロールが妥当なところでしょうか。経食道心エコーで左房血栓チェックして、カルディオバージョンもありでしょう。

QRS幅の広い頻拍へのATP投与

先日の安定したQRS幅の広い頻拍へのATP投与。

V1誘導です。





T波の頂点が2峰性になっています。心室→心房への逆行性伝導によるP波と思われます。

これが、ATP投与すると、房室(室房)伝導が断たれ、逆行性Pが無くなり、洞性Pが出現し、房室解離を呈します。
2拍目、7拍目のQRS直後のふくらみが洞性P波と推測されます。
QRS波自体は不変です。






興味深いですねー。

波形提供してくれたE先生に感謝感謝。

2011年2月16日水曜日

訂正

2010Handbook の Electrical Cardioversion Algorithm

やっぱり充電中も胸骨圧迫ですね。すいません。記事訂正しました。

ACLSコース翌日

週末ACLSコースを受講して頂いた受講生からメールあり。

ACLSコース受講翌日、救急外来にこんな患者さんが来ましたー! って。



キター!  The ACLS !(笑)。The G2010 ! (笑)   横向き波形すいません。

若年男性。単形性、QRS幅の広い頻拍。バイタル安定。

安定した頻拍。 ACLS providerの皆様、どうします?

以前の非発作時12誘導心電図と比し、軸は同じそうです。

変行伝導を伴ったPSVT?、右室流出路付近からのVT (RVOTVT)?、、、。難しいです。





いずれにしてもG2005なら、Expert consultation。

G2010的には、、、、、、、、、、Expert consultationも勿論良いですが、ATP考慮の選択肢があります。

その受講生、G2010に準じて、ATP投与したそうです。

10mg、20mg、20mg。 (AHA的には6mg,12mg,12mgだけど。)

頻拍波形は微動だにしなかったそうです。

ATP20mgを正しく投与して、変化なしなら、それは、VTである可能性がかなり高いです。

ACLS providerなら、次は抗不整脈薬を考慮、即ち、Procaineamideあるいは、Amiodaroneの選択肢はありますが、個人的には、同期下電気的カルディオバージョンが最も安全かと思います。勿論、expert consultationしてくださいね。



ここからは、大人の世界です(笑)。


expert consultation後の不整脈専門家の対処。

不整脈専門家でもPSVTか、VTか、確たる鑑別はつかなかったそうです。

PSVT、RVOTVT、いずれの可能性を考えて、ワソランIV。無効。(子供はまねしないように(笑))

ATP30mg、40mg IV。無効。(子供はまねしないように(笑))

次は、インデラルIV。(子供はまねしないように(笑)) これで止まったそうです。

でもその後再発し、アミオダロンIV。無効。

セデーションしたら止まったそうな。

VT stormの時のセデーションは極めて有効なことが多々あります。

結論は、RVOTVT。

早々にablationしたそうです。


ATP投与した時に、QRSは不変だったが、retrograde P (II誘導等で見えるQRSの後ろの上向きの波)が消失して、房室解離を呈したそうです。これもVTを示唆する有力な所見ですね。

いろいろ勉強になります。 専門家の対処、すごいです。

繰り返しになりますが、このような症例、非循環器医なら、ATP投与せずexpert consultationが最も安全でしょう。
ATP投与もありですが、無効なら、expert consultation、或いは、電気的カルディオバージョンをお勧め致します。

2011年2月15日火曜日

ACLS G2010 暫定コース

AHA ACLS G2010暫定コースの話。

点滴や薬、挿管、、、みんな大事ですが、命を救う最も重要なものは質の高いCPRとVFに対する早期除細動。

その最重要な手技の質を上げるべく、これまでのコース以上に強調しました。

例えば、G2005から言われていた、最後の胸骨圧迫から除細動までの時間を極力短く、5秒以内にする こと。

実際はコース中に達成できていないことが多かったように思います。

今回は、これを達成すべく各インストが頑張ってくれました。

受講生の意識も上がり、充電中も胸骨圧迫を行う場面も普通に見られるようになりました。

それは危険、、、という意見も当然あります。今回のミーティングでもそのような主張をするインストラクターもいらっしゃいました。大事な意見と思います。
しかし、練習を繰り返すことで、許容範囲内のリスクで十分に施行可能と思いました。
今回のコースの最後のメガコードでは、各stationでかなり高率に5秒以内のショックを安全に達成できていました。


AHAガイドラインでは、充電中の胸骨圧迫は特に推奨してはいないと思います。ハンドブックにはそれらしきことは書かれていますが。

ERCのガイドラインでは、充電中の胸骨圧迫を推奨しています。

• Much greater emphasis on minimising the duration of the preshock and post-shock pauses; the continuation of compressions
during charging of the defibrillator is recommended.
• Emphasis on resumption of chest compressions following defibrillation;in combination with continuation of compressions
during defibrillator charging, the delivery of defibrillation should be achievable with an interruption in chest compressions of no more than 5 s.

それに伴う救助者の危険は大変小さく、手袋をしているとより安全。焦点は、ショック前のポーズを最小限にするために迅速な安全確認をすることにある。

• The safety of the rescuer remains paramount, but there is recognition in these guidelines that the risk of harm to a rescuer from a defibrillator is very small, particularly if the rescuer is wearing gloves. The focus is now on a rapid safety check to minimise the pre-shock pause.

感動

かん‐どう【感動】
[名](スル)ある物事に深い感銘を受けて強く心を動かされること。「深い―を覚える」「名曲に―する」


先日のBLS for HCP

受講生(循環器医)のアンケート。看護師インストラクターへの言葉。

「 丁寧な対応で感動しました。ありがとうございました 」


” 感動 "とまで言わせられるインストラクターはなかなかいません。素晴らしいです。

感動させるインストラクション。それを生み出すものは、なんでしょう。 

本当に質の高いBLSが必要なんだ!!!!!!!!という、熱意かな。

G2010 胸骨圧迫

AHA BLS for HCP G2010暫定コースで感じたこと。

胸骨圧迫の重要性が更に強調され、強く!速く!少なくとも100回/分、少なくとも5cm! と強調しまくると、確かに、強く、速くなります。しかし、140-150回/分程の猛スピード胸骨圧迫が散見されるようになりました(苦笑)。さすがにリコイルが甘くなります。リコイルの評価は結構難しいのですが、30回の圧迫を終了し、人工呼吸に移行すべく手を胸壁から完全に離した瞬間に、今までのリコイルが完全だったか、不完全だったか、が分かり易いと思います。注目の瞬間です。

強く速くと同じように、完全なるリコイル!も強調せねばいけないことを痛感しました。完全なリコイルを意識し、実践すれば、自ずとスピードは下がってきます。完全なリコイルを達成できる範囲で速く! という感じで、概ね110-120/分くらいに落ち着く人が多そうです。

ただし、マネキンでの話です。リコイルの特性はマネキンと実際の人間では異なります。最適なスピードは110-120/分くらい、、とは言い切れません。
実際の人間で、完全にリコイルかつ速い胸骨圧迫がどの程度のスピードになるか。単に人間といっても個人個人で当然異なってくるでしょう。体格や年齢、骨のしなやかさ、、、、。また、同じ人間でも経過中に肋骨が折れたりすると、リコイルの特性は変わってきます。

CoSTRでは上限は不明としていますが、ERCやARCは胸骨圧迫の速さの上限を120回/分と一応言及しています。確かに、そんな印象をもちますし、反対はしませんが、120という数字が一人歩きして、最善のテンポは120/分と誤った認識をもつようになったりすると、あまりよろしくないとも思っています。

常に、完全なリコイルを意識しつつの強く(少なくとも5cm)、速く(少なくとも100回/分)の胸骨圧迫。最適な速さは傷病者によって異なると思います。
そんなことをうまく伝えられればよいなと思いました。

ちなみに、ERCは胸骨圧迫の深さの上限も6cmとしています。5cmとか、6cmとか、測れないよなあ。

2011年2月14日月曜日

ほっと一息。

先週末の3連休は、金はBLS-R、BLS、土日はACLSの計3コース開催でした。

総受講生数約60人。多くの方が受講してくれました。

当施設初のG2010暫定コースのこともあり、参加インスト、スタッフも多く、盛況なコースとなりました。

それぞれの立場の方が、それぞれの学びを得て、それぞれに充実した時間を過ごしました。本当に良い3日間だったと思います。

そんな場をセッティングできて、自分としても本当に嬉しく思いました。苦労が報われます。

御参加頂いた方々、御協力頂いた方々、本当に有り難うございました。

4日連続で飲み会してしまったのが、反省点です。いつもお酒が反省点(笑)。

でも飲み会も充実してました。熱き思い熱き語りあり、熱き出会いあり、寝げろあり、携帯紛失あり、電車寝過ごしあり、、、(笑)。

まあ、半分以上覚えていませんが(笑)。

G2010暫定コースの内容に関しては、また改めて記事にしようかと思います。結論は、結構良い! という感じでした。

今日は早く寝ます。

2011年2月8日火曜日

2010Handbook の Electrical Cardioversion Algorithm

今週末は自施設でのAHA ACLS G2010暫定コースを予定しています。遅ればせながら(笑)、先日2010Handbook of Emergency Cadiovascular Care for HCPを購入し、更に遅ればせながら(笑)、パラパラと見ております。へえ。ちょっときづいたこと。

P13 Electrical Cardioversion Algorithm。

除細動の時のパドルの押しつけが、"about 15-25pounds" になっています。約6.8-11kgということですね。ACLS resource Text P41には" at least 25 pounds"と記載されています。
まあ、6.8kgも、11kgも、感覚的によくわからんからどうでもよいかもしれませんが(笑)、なぜ変わったんでしょう。なにか、推奨が変わる根拠でもあったのかな? 12kgで押し付けて肋骨が折れたとか(笑)。

もう1点。同ページ。

パドルもしくはパッドを付けて、充電ボタンを押し、充電完了した(fully charged) とき、安全確認の言葉を発します。「3つ数えてショックします、、、皆さん離れて、、」などと言う訳ですが、注目すべきは、" Chest compressions should continue until this anouncement."という記載。
フル充電後安全確認の言葉を発するまでは胸骨圧迫継続すべき、、、つまり充電中は胸骨圧迫せよ、、と解釈できます。2005まではこんな記載はなかったように思います(10秒以上充電がかかる旧式除細動器の時の対応の記載はありましたが)。。うん、うん、納得です。最終胸骨圧迫から通電まで5秒以内を目指さないといけませんものね。コースでも、現場でも、これが達成できていることは大変少ないですものね。
個人的には、やっぱりこの方法がよいと思っています。

2/16再訂正しました。やっぱり充電中も胸骨圧迫ですね。

2011年2月5日土曜日

窒息と院内AED

心不全で入院中の高齢者。病状は改善傾向で退院間近。大部屋。ADLはベッドサイドへの移動がやっとできるか、できないか、くらいの方。食事はベッドをギャッジアップして自分で食べます。
ある日の夕食中。同室の他患者への用事で看護師が訪室すると、向かいのベッドでぐったりと斜めにもたれかかっている患者を発見。ベッドのテーブルには夕食があり、口の周りや、ベッドサイドには食べ物が付着、散乱していたとのこと。
反応に呼びかけなく、看護師は緊急ナースコールボタンで緊急要請。
看護師は、一見して窒息と思ったとのこと。頚動脈は触知
したとのことで、ベッドを平らにして、口腔内を除いたところ食物があったのでそれをかきだした。心電図モニター(ベッドサイドではなく、ナースステーションで見れる)がもともと装着されていた方で、ナースステーションでモニターを確認した他看護師、研修医らがやってきて、「徐脈傾向」との情報。早々に持参されたAEDを装着。AEDのモニター(モニター付きAED)で更に徐脈傾向になっており、相変わらず反応はなく、そして再度脈拍触知を試みたところ触れなさそう、ということで、その時点でCPR開始。AEDの解析が始まると、当然胸骨圧迫中断。ショック適応なし。CPR再開。その後、ACLS、気管挿管等も施行し自己心拍再開はしました。

看護師・研修医の皆さん、懸命な心肺蘇生行為をしてくれました。迅速な対処で感謝です。
しかし、何事も振り返りが重要です。

重症心疾患を有する高齢者ですので色々な可能性があり、病態を断定することは難しいですが、仮に窒息とした場合。後から見直してみると、窒息で意識消失しているのであれば、視認できる口腔内食物を書き出した後(たとえ脈拍触知できていても)すぐさま胸骨圧迫開始となるのでしょう。
初めに脈拍触知はできたそうですが(この判断も難しいですよね)、どこかの段階でPEAに移行したと思われます。この移行の判断は大変難しいと思われます。だからこそ、窒息で意識消失した場合は(異物排出の期待とともに)いつでも移行しうる心停止に備え胸骨圧迫を開始することが望ましい、ということが良く理解できます。
心肺停止と判断していない段階からAEDを装着してしまうことは推奨できることではありません。心電図波形を見たかったそうです。心停止の判断は心電図モニターではなく、身体所見による、ということは皆、頭では分かっているはずですが、とっさの危機的現場では発揮できないことが良く有ります。
ナースステーションで確認した心電図波形はVT,VFでなく、かつ臨床状況として窒息が疑わしい。このような患者が、仮に心停止であってもAEDを装着することは、胸骨圧迫中断の助長につながります。可能ならばマニュアル式除細動器の装着がベターです。まさにこの文献に示されていることにつながりそうです
AEDの使用を考慮したときに、良く病態を考えて装着するか否かを判断せよ、、、と看護師には指導することは難しいでしょう(苦笑)。院内AEDの使い方についてはなかなか一筋縄にはいきません。

まあ、後からならなんとでも言えます。すいません。
難しい問題はあるものの、このような経験が成長の糧になります。

2011年2月4日金曜日

週刊現代

週刊現代、オヤジ系の週刊誌ですが(笑)、2/12号に、今ノリノリの慈恵医大病院の特集記事。手術数日本一の病院だそうです。





血管外科大木隆生教授、脳神経外科村山雄一教授など、若きリーダーらの活躍ぶりが書かれています。確かにかっこいい。
新しいデバイスの開発などクリエイティブな面でも2人は共通しています。
そんな記事の何気ない言葉。
村山教授が、手術に見学に来た学生に向けた言葉。

「手術を覚えるのではなく、これよりもっといい方法はないかと考えながら見て」

これ大事なことです。
与えられたもの、今行われていること、常識と思われていること、、、これが当たり前、これが正しい、これが最高と思ってはいけない。
もっとよいものは無いか。常に、現状に満足しない姿勢を貫くことで、クリエイティブな姿勢が養われてゆくのでしょう。


心肺蘇生法もそう。今のガイドラインが最高というわけではない。もっと良い方法はないか、よいアルゴリズムはないか。
心肺蘇生教育もそう。AHAが最高というわけではない。
AHAコースではレッスンマップに従うけれど、もっと良い方法は。もっとよいシステムは。

子供の教育も。
先生の言う事を何も考えずに素直に聞く子供。良い子ですね。
しかし、それは本当か?、先生が常に正しいとは限らない、、、と常に疑いを持つ事も大事です。
そのような子供は、延びる子でしょう。

私は、、、何の疑問も持たずに素直に生きてきましたから、平々凡々になってしまいました(笑)。

2011年2月2日水曜日

Galaxy Tab

自分で書籍を裁断しScanしてPDF化した、いわゆる自炊書籍は500冊は軽く越えています、たぶん。
ScanSnapも裁断機も、自宅と職場に各々1台ずつありますから(笑)!

自炊書籍含めたPDF類は、これまではMacBook Airや、自宅ではMacBook Proで読んでいましたが、もっと気軽に読みたい、出先でバッテリーも気にせず気軽に読めると便利と思っていて、良き電子書籍リーダーを模索していました。iPhoneは愛用していますが、書籍を読むには小さすぎます。iPadも大変魅力的で購入も考えましたが、サイズ的に大きいのはよいですが、その分ちょい重い。。。。
そんな中、先日、ほぼ衝動買いに近い形で、Galaxy Tabを購入してしまいました!





Docomoのpocket WiFiとセット販売で9000円くらいでしたから、まあまあお得。それまで愛用していたEMobileのUSB型データカードは解約しました。Docomoの策略にはまり(笑)、さらばEMobile !
さて、Galaxy Tab、結構良いですね。大きさは、iPhoneとiPadの中間くらい。片手で持って操作可能。コートのポケットにもぎりぎり入るくらいの大きさ。画面はiPhoneよりは遥かに大きくて、遥かに見易い。
大きすぎず、小さすぎず、絶妙のバランスかなと思います。画面の操作性はiPhoneのスムースさには及ばないものの、それに近いくらいの質は保てています。ストレスは殆どありません。Samsungなかなかやります。日本メーカーを越えているかも。
まだまだ使い込んでいないですが、今のところまずまずの使い心地です。500冊以上の自炊書籍がポケットの中です(笑)。


唯一困っていることは、自炊のPDFファイルによっては、うまく読めないものがあること。これは困る。。。。読んでいたらエラーが出てしまう。


ご機嫌に読もうとすると、、




A system error was encountered...なるメッセージ。。。。




肝心の(笑)ACLSプロバイダーマニュアルやBLSプロバイダーマニュアルを開いていると、頻繁にエラーがでて読めなくなります。原因は、よくわかりません。ズームアップするとエラーになり易い。ファイルのサイズによるのかな??だれか情報あれば教えて下さい。PDF Viewerを色々試してみて、克服できるとよいと思っていますが。今のところベターなViewerは、普通のAdobe Readerですが、エラーは出てしまいます。

2011年1月23日日曜日

BLS for HCP G2010暫定コース

はじめて、BLS for HCPのG2010暫定コース(更新コース、通常コース)にお邪魔しました。所用あり、通常コースの途中で退席しましたが、拝見した限りは試行錯誤しながらも、順調な運営でした。

DVD操作、進行を担当する者にとって、DVDのABC部分の扱いが一つのポイントでしょうか。ABCを流さず飛ばしたり、早送りしたりとスムースにできればよいですが、なかなか器用なDVD操作が皆にできるわけではありません。ABCをそのまま流しつつ、言葉で補足するのが自然でしょうか。決まった方法はありませんが、受講生の混乱を招かないよう気遣う対応が必要と思いました。

(ITCの内規で)ABCのassessmentのPWWを飛ばしたら、その後の実習で脈拍触知の方法がおろそかになりがちな現象が生じました。ABCのPWWをやらせるのもおかしなもんだし、どうすればよいのかな。CABの実習でしょうか。いずれにせよ、脈拍触知方法のやり方を指導する時間は作るべきかもしれません。

インストとして、一番戸惑う部分ははやり、初めの呼吸確認でしょうか。
briefly checks for no breathing.....とありながら、5-10秒かける点。

「ざっと、5秒かけて確認しましょう!」  矛盾してる感じ(笑)言ってて恥ずかしく感じるのは自分だけ?(笑)

Instructor Networkのonline BLS updatesでは、脈拍確認の時に同時に呼吸も確認すべき、、、なる言葉もあったから、尚更、初めの呼吸のcheckは”briefly”で良いような気がします。
G2005では反応確認で、反応なければすぐに救急通報AEDでしたが、G2010では、素直にやれば、反応確認に続き呼吸確認をしますから、G2005のときより5秒程救急通報が遅れます。この遅れが、違和感ありありでした(笑)。
チェックリストには順番が指定(HCP:反応→呼吸→通報(HS:反応→通報→呼吸))されていますが、ぶっちゃけどうでもよいでしょう。そこにサイエンスはありません。反応の確認は当然一番先にするとして、呼吸確認、救急システム立ち上げ+AED要請はどちらが先でもよいでしょうし、ついでに言うなら、脈拍確認を含めたこの3つの順番もどうでもよいのでは。重要なことは、迅速にcompressionを開始することでしょう。
G2010の正式マテリアルでは、受講生もインストラクターも、違和感なく、自然に受け入れられるような形になるとよいなと思いました。

近々当施設でもBLS for HCP、ACLSの2010暫定コース開催予定です。多いに参考になりました。有り難うございました。

タバコ嫌い

先日院内開催のICLSに参加しました。コースそのものはparamedicalの面々が活発に活躍して、滞りなく終了致しました。その後インストラクターの懇親会がいつものように開催されました。自分は、緊急カテで呼ばれてしまい、最後の30分くらいのみしか参加できませんでしたが、いつも以上に相当に激しい飲み会だったようで。。。。それはそれで問題ですが、個人的に、気になった事はタバコです。貸し切りの飲み屋に入った瞬間、タバコの煙充満。いつもそうですが。。。結構な人数の方が喫煙しておりました。
タバコは吸っているひとは自身の健康を害することは自己責任でやむを得ないとして、しかしながら、自身のみならず、周囲に迷惑をかけることが大問題です。

あるデータによると、受動喫煙により虚血性心疾患や脳梗塞リスクは30%増え、その他呼吸器疾患等も当然増えます。家庭の受動喫煙で全死亡リスクが34%増加したとのデータもあります。受動喫煙は環境基準を2万倍上回る重大な環境汚染問題と考えられます。
受動喫煙による命の危険を測る指標として、微小粉塵濃度(PM2.5)というものがあるそうです。空気力学的直径が2.5umまでの粉塵濃度(PM2.5)が10ug/m3増加すると全死亡が24時間で1%(急性影響)、年間で6%(慢性影響)増加するとのこと。
商業施設内PM2.5の図です。



自由喫煙の居酒屋は、700ug/m3とのこと。"緊急事態”を越えている感じです。。。ががーん。


命を救うための心肺蘇生教育活動をしているはずなのに、周りの命に悪影響を与えている可能性。寂しくなります。
禁煙してほしいなあ。
自分の周囲のAHAインストラクターにはそんな人はいません。

参考、出典:禁煙学 改訂2版 日本禁煙学会編

2011年1月1日土曜日

2011



明けましておめでとうございます。
おかげさまで、正月はのんびり過ごさせて頂いています。
それも、今なお、病棟で格闘している初期後期研修医先生方のお陰でございます。

なんとか恩返ししたいと常々思っています。乞うご期待(笑)!

ブログも、ペースダウンしつつ、地味に継続できています。
皆様のお陰でございます。感謝、感謝、感謝の気持ちで一杯です。
今年も宜しくお願い致します。

個人的には、、、、



やっぱ、原酒だよね。
飲み過ぎだよね。
やっぱり。
へへ。
おやすみ(笑)




へっへっへっへっへっへっへっへっへ。ぐう。