2013年6月23日日曜日

六本木ライブデモンストレーション2013

前回投稿が2012年11月。久し振り。 先日久し振りのCTO(慢性完全閉塞病変)治療を行いましたが、「久し振り」ゆえに思うようなアプローチができませんでした。主な理由は「CTOとの接点が足りない」こと、と感じました。 手技向上維持するためには、多くの症例を頻回に経験することが最重要です。そうでなくともライブ等で”疑似”経験することも有用と思っています。当施設はいわゆる”カテ施設”ではありませんし、治療方針決定はガイドラインに近い(標準的)のでCTOの数も多くはありません。つまり、経験数がすくない。また、個人的に最近CTO club等学会やライブにもなかなか参加できず、"疑似”経験も少なめ。 これを是正すべく、昨日は心臓カテーテル治療の六本木ライブデモンストレーション2013に参加しました。心臓血管研究所付属病院からの中継です。心臓血管研究所の先生方は、このような教育的機会を多数開催しており、有り難いです。苦労も多いかと思いますが、カテーテル治療向上に役立っていることでしょう。今後も続けて頂きたいですね。 さて、ライブ内容としてはほぼ全例CTO症例でした。そのため、自分の目的に合致したプログラムで、特に個人的に苦手な順行性アプローチ症例中心でしたので、学ぶところは多々ありました。あまり細かく書いても、マニア過ぎますので書きません。 ただ、ライブ症例や、プレゼンに出てきた症例など、「標準的な治療方針としてはバイパス手術が妥当」、と思われるものが少なくありませんでした。それを、当たり前のようにPCIで治療すること、その点にあまり議論が及ばないこと、に大変な違和感を感じました。これは今に始まったことではなく、カテライブや学会ではいつも感じる事です。 その中で、今回更に衝撃を受けた言葉があります。とあるセッションの座長が 「最近の若い医師は(冠動脈多枝病変の患者に対し)教科書通りバイパス手術の話をしてしまう。残念だ。」 というような趣旨のことを話されました。即ち、「冠動脈多枝病変患者でも、バイパス手術の話などせずに、どんどんPCIで治療しようじゃないか!」ということです(苦笑)。 勿論教科書・ガイドラインが全てではないし、個々の病態や患者背景、環境などを考慮したうえで最終的な治療方針を決めることになりますので、多枝病変をPCIすることは当然有り得ます。しかしながら、限られた情報の中であれ、より良好な成績が期待でき得るバイパス手術の選択肢を提示することは、インターベンショナリスト、循環器内科医の「義務」と思っています。日本を代表するようなインターベンションの先生が、座長が、公の場で、このような発言をすることが、大変残念に感じられました。せっかくのライブデモンストレーションの価値も下げてしまうような、そんな発言と思いました。

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