2013年6月26日水曜日

目的を忘れない

もうひとつ六本木ライブネタ。90歳弱の超高齢者、LAD CTOの他、LCXとHLにも病変あり。狭心症症状が増悪傾向、薬物抵抗性とのことで(当然CABGは年齢からムリ)やむなくPCIとなった症例。PCI適応自体は超高齢とはいえ、症状を取ってあげたいし、仕方の無いところです。。主に3つの病変がありますが、どの病変が最も狭心症症状を来しているかは不明です。PCIの目的は、症状を軽減してあげること。 その治療を、CTOから治療を開始することに異論はありません。しかしながら、石灰化と蛇行で思いのほかLAD CTOの治療に苦労しました。術者のCTO MasterのT先生でも、2時間経ってもワイヤー通過しません。ワイヤーは7本使用。 感じたことは、PCI中は「このPCIの目的」を常に忘れてはいけない、ということです。CTOが難渋するなら、他の狭窄病変のみ治療する方針もありでしょう。恐らく、経過からは、元々CTOがあり、それに加え、高度狭窄病変が新規に進行し、症状が強くなった、、可能性のほうが高いようにも思いました。従って、それら狭窄病変を治療すれば、少なくとも、悪化前の状態には戻せるし、QOLも回復することが期待できます。PCIをしていると、いつしか、その病変(今回の場合はLAD CTO)を治療すること、或はガイドワイヤーを通す事、、、が目的にすり替わってしまうことがあります。常に、元来の目的を意識し続けることが大事と感じました。 これは、PCIに限らないですね。人生もそう(笑)。 このライブ症例は、さすがCTO MasterのT先生、苦労の末ガイドワイヤーを通過させ、LADの血行再建に成功しました。さすが名人です。ライブだから、CTO Masterが術者だから、長い時間かけ、多くのデバイスを使い、手技を続けた、とも考えられます。ライブを見ていた聴衆も、自分を含め、T先生が、どのような技術でこの難関を超えるのか、見たかったし、期待もしていました。結果が良くて、良かったですが、結果論です。実臨床でこのような展開になれば、一般的には、CTO治療は断念する可能性が高いと思います。 ライブは、非常によい教育の機会でありますが、その一方で、”ショー”である面があることも否めません。患者さんにデメリットが生じないように留意することが必要です。そんな感想を抱いた症例でした。

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