2015年2月14日土曜日

ROSCについて議論の場があったので、健忘録。

めちゃくちゃ久しぶりです笑。

とある場で、CPR後の自己心拍再開(ROSC)に関しての議論がありました。一言でいうと、頚動脈触知=ROSCでよいのか?という話。
その際のこと一部を、健忘録としてここに残しておきます。



ROSCは、「あり」「なし」と表現するが、実は連続したスペクトラム

頸動脈触知できれば、最も虚血に脆弱である「脳」への灌流は最低限確保できたと考えます。脈拍触知したらROSCと判断し胸骨圧迫は中止します。しかし、頸動脈触知=全身の灌流が十分、というわけでは決してありません。「ROSC」にも幅があります。「脳」への灌流がギリギリの「ROSC」もあれば、脳を含めた全身臓器の灌流が十分な「ROSC」もあります。「ROSC」は、「あり」「なし」ではなく、連続したスペクトラムです。ROSCしても、十分でない場合は、脳を含めた全身の灌流をさらに至適レベルまで改善させ(ABCの是正)、心停止の再発予防と臓器保護を施す、これがROSC後の管理の主たる意義です。


ROSCの評価方法について


ROSCの判断を「簡便さ」と「至適循環評価の精度」という切り口で分類してみました。上図ご参照ください(あくまでも個人的なイメージですので、あまり細かく考えないでください)。
当然、簡便でかつ精度の高い循環評価の方法が理想です。でも、まだそんな理想的な方法はありません。
上記のようにROSCは連続したスペクトラムです。すなわち「脳灌流を最低限確保」レベルから「全身臓器の至適灌流」レベルまであります。
「頸動脈触知」は特別な器具も不要で、簡便で汎用性に富んだ手技であり、これが一般的な臨床現場でのROSC判断のスタンダードな方法ですが、「脳灌流はざっくり、とりあえずありそう」レベルの判断になります。「脳灌流を最低限確保」レベルへの感度は高くはないかもしれませんし、もちろん、「全身臓器の至適灌流」レベルの判断もできません。

CPR中に動脈圧ラインを挿入、モニターし、平均動脈圧65mmHgを確認できれば、「全身臓器の至適灌流」レベルのROSC判断が可能になります。しかし、CPR中に動脈圧ラインを挿入することは一般的にはかなりハードルが高く、現実的ではありません。
ETCO2も有用ですが、CPR中に気管挿管する必要があり、やはり手間を要します。

「簡便さと精度のバランスの良さ」で現在のROSC判断は頚動脈触知が主流となっているのでしょう。精度の低さを補うのが迅速かつ適切なROSC後の管理です。

「脈拍触知=ROSC」これこそパラダイムです。そうでない考え方もあり得るという、一種のパラダイムシフトを、一連の議論の中で体験した気分です。将来的には、簡便かつ精度の高い、頸動脈触知よりも優れた新しいROSCの判断方法が生み出されるかもしれません。rSO2もその1つかもしれません。「当たり前」を疑うことから、始まります。

※自分で書いていて、自分でも混乱してきました笑。で、2/16ちょっと手直ししました。

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