2011年4月30日土曜日

徐脈ですが、徐拍ではない

中年男性。自宅血圧計で、脈拍が30台/分と遅いので心配、、、とのことで救急外来を受診されました。脈が遅い、というだけで、それ以外の自覚症状はありません。
研修医の先生が対応してくれまして、バイタルサインは安定、自覚、他覚症状ともに問題ありません。心電図を記録して、当直の私まで連絡をくれました。

「ご自宅では30台/分の徐脈のようでしたが、今は60台/分に戻っています。PVCsが出ています」





なるほど。洞調律ですが、PVCs(心室性期外収縮)の二段脈となっています。正常洞調律とPVCs合わせて、心拍数60台/分となっているようです。ただ、末梢動脈を触知してみると、正常洞調律時はしっかり触知するものの、PVCsの時はごく微弱か、殆ど触知できません。
つまり、自宅でも洞調律+PVCsの二段脈で心拍数はおおよそ60台/分だったものの、自宅血圧計ではPVCs時の脈拍をカウントできずに、30台/分と表示してしまったものと推測されます。
病歴と諸検査よりPVCsの原因となる、急を要する疾患はなさそうで、無症候性"徐脈"、無症候性PVCsであり、とりあえず経過観察で帰宅としました。
徐脈ですが、徐拍ではない、とでも言うのでしょうか。"徐拍”という表現はあまり一般的ではないですね。。。
まあ、心拍数は必ずしも脈拍数と同じではないということです。

このような二段脈で、PVCsの拍動が極めて弱く、めまいなどの徐脈症状を呈することもあるそうです。私は遭遇したことはないですが、先日不整脈専門家先生が言っていました。

2 件のコメント:

  1. 私も気になっているのですが、、、、

    2005年のテキストから徐拍と言うのが出てきていますよね。手元にないので確認できませんが、AHAのテキストには徐脈とありますが、日本のテキストには徐拍とあったような、、、、、心拍と脈拍は違うものなんでしょうが、徐拍と徐脈は同じもの???

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  2. Kim先生、有り難うございます。見返してみますと、御指摘のようにG2005AHA ACLSプロバイダーマニュアルには"徐拍"という言葉は出てきますね。slow PEAを"徐拍性PEA"と訳しています。
    Bradycardiaは、"徐脈"と訳していますね。
    やっぱり、"拍"は心拍、"脈"は脈拍ってことみたいですね。

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