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2013年7月19日金曜日

心室粗動 Ventricular Flutter

心室粗動 Ventricular Flutterって何ですか?と質問されたら困りませんか?。
僕は困ります笑。

ちょっと調べてみました。


Braunwald  Heart Diseaseには、

「規則正しい大きな振幅のサインカーブを呈した150-300bpm(通常200)の波形です。早いVTと心室粗動の区別は困難で、通常は学問的な関心に過ぎません。ともに、血行動態に破綻します。」

と書かれています

P813に出ている心室粗動のFigureです。確かに、VTと区別つきません。。。




Chou's Electrocardiography in Clinical Practiceには、「VTと心室粗動の相違は、心拍数よりも主に波形の形状に基づいている」「心室複合体(→つまりQRS)の個々の形状が認識出来なくなったとき、心室粗動と診断される」とあります。後者は特によくわかりません。
同本P426に出ている心室粗動のFigureです。一応、QRSは認識できると思うけれど。。??


Up To Dateには、「心室粗動とは、とても速い−通常300bpm程の単形性心室頻拍です。T波は識別不能で、QRS間の基線は認めません。P波はも認めません。」とあります。
VTと区別していないような記載です。VTの一亜形?


本によって、微妙なばらつきがあります。

ということで、質問されたら、

「規則正しい大きな振幅のサインカーブを呈した150-300bpm程の波形です。速い単形性VTとの区別は難しいです。VTと同様に扱えばよいです。」

てな感じで対応してみようと思います。





2013年7月17日水曜日

VT波形が出ています。来て下さい。

先日の当直中、病棟の看護師からPHSが鳴り、AM5時のモーニングコール、ねむ(笑)。
高齢女性、CABG術後数日。


「VT波形が出ています。来て下さい。」





うーん。なるほど。。。。。


【問題】 循環器医として、よくある対応、望ましい対応を選択ください。        
①幅広いQRSで、確かにVTだね。主治医に連絡して対策講じてもらって。

②これはノイズだよ。もっとよく見てくれよ。こんなことで呼ばないでくれよ。

③確かに、QRS幅が広い頻拍、即ちVTに見えるね。VTが否定できないときは呼んでくれて良いよ。呼んでくれてありがとう。でもね、これよく見るとノイズだね。

④確かに、QRS幅が広い頻拍、即ちVTに見えるね。VTが否定できないときは呼んでくれて良いよ。呼んでくれてありがとう。この心電図、一緒に見てみよう。この波形の中のノッチのような部分、どう思う?


お察しの通り、これはノイズです。幅の広いQRS(らしきもの)の中に、元来の洞調律の狭いQRSが混在しています(赤丸)。洞調律にノイズが重なっていることが分かります。

以前も同様の記事を書いています。




結構よくあることです。実は、この日の当直、上記の一件以外にも、もう一件、同様にノイズをVTと認識し、焦ってコールされた事例がありました。

僕は、勿論、どちらも、④で対応しました。


2011年9月14日水曜日

院外心肺停止に対するアドレナリンの効果

Effect of adrenaline on survival in out-of-hospital cardiac arrest: A randomised double-blind placebo-controlled trial.
(Resuscitation. 2011 Sep;82(9):1138-43. Epub 2011 Jul 2.)


背景:心肺蘇生においてアドレナリンは長年標準的に使用されているが、生存率改善を示した臨床試験はほとんどない。この研究の目的は、院外心肺停止患者に対し、アドレナリン投与することで生存退院率が向上するか否かを調べることである。
方法:院外心肺停止患者におけるアドレナリンの二重盲検無作為プラセボ対照試験。ALSのガイドラインに従い、傷病者にアドレナリン1mgまたはプラセボ(生理食塩水)を無作為に投与しCPRを行った。一次アウトカムは生存退院、二次アウトカムは病院前自己心拍再開(ROSC)と良好な神経学的予後(CPC1-2)。
結果:研究期間中の4103人の心肺停止の内、601人を無作為に2群にわけた。不十分なデータ例をのぞいた534人が解析対照。プラセボ群262 人、アドレナリン群272人。年齢、性別、バイスタンダーCPRの有無など、両群の患者背景はよく合致していた。ROSCはプラセボ群22人(8.4%)、アドレナリン群64人(23.5%) (OR=3.4;95% CI2.0-5.6)。生存退院はプラセボ群5人(1.9%)、アドレナリン群11人(4.0%) (OR=2.2; 95% CI0.7-6.3)。うち、アドレナリン群2人以外全員はCPCスコア1-2と良好であった。
結論:心肺停止患者に対するアドレナリン投与は、自己心拍再開率を改善させたが、生存退院率改善については統計学的有意差はなかった。



アドレナリンには確たるエビデンスはないものの、心肺蘇生においては標準的薬剤とされており、こんなRCT、よくぞ倫理的に許容されたものです。しかしながら、どうやら倫理的問題を提起する意見もあったようで、予定通りに研究を進めることができず、nも予定よりだいぶ減ってしまったようです。RCTとは言え、限界も色々とあるようですが、それでも、もう少しnが多ければ生存退院率に有意差が出た可能性があり、惜しい気がします。もう二度とこんな研究はできないことでしょう。

2010年11月20日土曜日

小児病院

ある小児専門病院の敷地内で心肺停止に陥った成人男性の方がいらっしゃいました。院内緊急コールがなされ、CPR開始、その小児病院の初療室にとりあえず搬送、ACLSを継続したようです。難治性VFで、アドレナリン、アミオダロンも使用され、10回以上の電気的除細動が試みられましたが洞調律に復さず、CPR施行したまま当院に転送されてきました。

結局ACSからのVFで、PCPS、PCI、低体温療法などで対処しました。

小児科の先生方も、ACLSはしっかりとマスターされているようです。さすがです。
自分は、、、、PALS未受講です。うーん。近いうちに、受けようかな。

さすが小児科の先生と思った点。静脈路が確保しずらかったのでしょうか、腸骨と脛骨近位に1本ずつ、計2本の骨髄路が確保されていました。きっと慣れているんでしょう。ぱちぱち。

2010年6月8日火曜日

手動式除細動器の安全確認

心室細動に対して手動式除細動器で除細動する場合、安全確認をします。一般的によく行われている方法として「私離れています、あなた離れています、皆離れています!」と叫んで、放電、が挙げられます。AHA ACLSプロバイダーマニュアルには、この「警告の合図」の一連の作業は5秒以内に終えるべきと書いてはありますが、実際は5秒を超えてしまう場面も多々目にします。
除細動の成功率を上げるために、最後の胸骨圧迫から放電するまで、5秒以内にする、との推奨がなかなか守れないのが現状と思います。

最近、心室細動への手動式除細動器を用いて除細動する際に、自分が実践している方法はこんな感じです。
「胸骨圧迫以外の人は皆離れて下さい!」と警告し、離れていることを確認します。胸骨圧迫はまだ継続しています。パドルを当てて、充電します。充電完了したところで、「胸骨圧迫離れて下さい!」と言います。胸骨圧迫が離れた途端に放電します。そしてすぐに胸骨圧迫再開してもらいます。これですと、最後の胸骨圧迫から放電するまで2秒以内、Handsoff timeは3秒程度も余裕です。もっと短くすることも可能です。もちろん、パッドを使えばよりやり易いです。

安全性も含め、実際の現場で行っても何の支障もないので、先日ACLSコースでそのように教えてみました。皆さん、いとも容易に上記くらいのtimeを打ち出せますし、やっぱり安全性も問題ないように思います。

今のところ、この方法を続けようと思っています。

2010年4月21日水曜日

カテ室で

心臓カテーテル室での話。
重篤なAMIなどの緊急カテの場合は除き、何らかの原因でVT、VFが生じた時でもすぐに電気的除細動を施せますので、復調直後に循環もすぐに回復し、胸骨圧迫を引き続き要することは稀です。ACLSインストラクターとしては、通常のアルゴリズムの通り、カテ室内でも電気的除細動の後はすぐさま胸骨圧迫をするよう推奨していますが、ほとんどの場合はすぐに止めることになります。

先日、PCI中にVFが生じました。十数秒のうちに電気的除細動を施し、すぐに胸骨圧迫をしてもらいましたが、(通常のACLSのプロトコールを逸脱しますが(苦笑))一瞬胸骨圧迫を止めると、除細動は出来ているものの圧は出ていなくて、なんとPEAでした。汗!。胸骨圧迫を継続!。動脈圧ラインでは収縮期圧ですが、100mmHgを超えるほどの圧を確認でき、恐らくは有効であろう良き胸骨圧迫を若者がしてくました。勿論AHA BLS,ACLSプロバイダーです! 胸骨圧迫をしていない時に冠動脈造影をしてみるとほとんど流れが確認できないものが、胸骨圧迫をしている時に造影してみるとそれなりに流れています。当たり前ですが、胸骨圧迫の有用性を視覚的に確認したような気分になりました。数分間の胸骨圧迫、アドレナリン1mgIVで、自己心拍は再開し、その後は問題なく経過しました。

ACLS-RのDVDにも解説されているように、集中治療室等モニタリングが充実しているような環境では通常のACLSアルゴリズムから逸脱する場合が当然あり得ます。カテ室もその一つです。しかしながら、スタンダードを抑えた上での対応であるべきであることを新たに認識しました。
胸骨圧迫の重要性も改めて実感しました。

2010年2月28日日曜日

個人的見解

ルックアップさんよりご質問を頂きました。

「循環器医のための心肺蘇生・心血管救急に関するガイドライン」1372ページの(5)で(だだし、院内CPAで、持続的にモニタリングされている症例に関しては、医師の判断で連続的なショックを行ってもよい)とありますが、これはどのような根拠があって連続ショックなのか教えてください。





鋭いご指摘です。よく読まれていて、感心致します。

循環器医の環境では、心電図モニタリングされている患者が目の前でVFになることが少なくありません。CCUや、或いはカテ室などが代表的です。そのような時に、first shockの後2分間の胸骨圧迫という通常のアルゴリズムから逸脱することは現実的にはあり得ます。
例えば、カテ中にVFになった場合、すぐ隣りに除細動器がありますので十数秒のうちにfirst shockを行えます。除細動できていないと判断出来た場合、2分待たずに(例えばジュール数を上げて)second shockを行ったりすることがあります。VF発症直後の超急性期であり、2分間の胸骨圧迫で除細動タイミングが遅れるより、より早い2度目のshockの方が良いかもしれない、、という考えです。(恐らく)エビデンスはない、現場の判断です。当然、通常のアルゴリズムを理解した上での判断です。勿論、High Quality CPRも忘れてはいけません。
このような判断が、特殊な状況下ではあり得ます、ということかなと推測しますが、いかがでしょう。

2010年2月19日金曜日

失神その②

虚血性心疾患を有し、PCI歴もある高齢者。朝新聞を読んでいる時に突然失神。前兆は無かった。2−3分で自然改善したが、救急車で某病院に搬送。詳細不明だが、点滴などして帰宅となったとのこと。
翌日当院受診。症状再発はなく落ち着いており、心電図も問題なく、





外来管理可能と判断し、検査をいくつか予約して帰宅。
その検査のひとつが、薬物負荷心筋シンチグラフィー。
ジピリダモールを使用し薬物負荷を行ったところ、間もなくpulseless VTとなり(!!)、検査室でCPRを行うはめになりました。AEDを要請し、胸骨圧迫をしている間に自然に洞調律に回復し、自己心拍再開しました。
その後準緊急CAGを行ったところ、冠動脈に高度狭窄あり、PCI施行しました。

今回の失神の原因が、心筋虚血→VTであったという証拠は有りませんが、その可能性は十分考えられます。

虚血性心疾患患者の失神、しかも、前兆ない失神。心原性を疑う要素あり、リスクは高いものと考えるべきであり、某病院での救急対応でとった”帰宅”の方針は、レトロスペクティブに見ると、リスクある対応だったかもしれません。幸い、結果的には問題は生じませんでしたが、一歩間違えると、院外突然死。。。。怖いです。

2010年2月17日水曜日

失神

とある日の未明。中年男性。妻と、自宅でテレビを見ていたら突然失神。2-3分で意識回復したそうですが、心配になり救急車要請。救急隊現着時意識清明、血圧110/60、PR100、SpO2 97%。当院救急外来搬送。バイタルサインは問題なく、採血データや、頭部CTも問題ありません。心電図も問題ありません。幸い、以前の心電図もあり、経時的変化もありませんでした。





対応した当直医は、帰宅させようとも思ったそうですが、念のため経過観察目的で入院させました。

入院7-8時間後。装着していた心電図モニターにて VFが確認されました。





看護師が駆けつけると、呼びかけに反応せず、あえぎ呼吸だったそうです。心肺停止として、CPR開始、AED装着、ショック作動するも戻らず、その後医師がかけつけ、ACLS施行、数回のショックの後にPEAを経て、自己心拍再開しました。
冠動脈造影は正常で、左室機能も正常、器質的異常は認めませんでした。
その他、Brugadaや、QT延長など、原因となる疾患は明らかではありませんでした。

VFのきっかけは、R on Tからtorsades de pointesでした。
Short coupled PVC variant of torsades de pointes なるものが疑われているようですが、この辺はかなり専門的な世界でしょう。

いずれにしても、今回の失神はこの心室性不整脈が原因であったものと思われます。

さて、この失神患者。救急外来の対応は難しい判断と思われます。
一般的に失神の原因として、起立性低血圧、神経調節性失神、心原性、(脳血管)が代表的ですが、心原性失神は最も予後不良と考えられていますので、その鑑別は重要となります。
日本循環器学会のガイドラインによれば、以下の因子を有しているほどリスクの高い失神、(つまり心原性)を疑い、慎重な対応をすべきとしています。
高齢者(65歳以上)、うっ血性心不全の症候、うっ血性心不全既往、心室性不整脈既往、虚血性心疾患、中等症以上の弁膜症、心電図異常、胸痛を伴った失神 

今回のケース、上記の因子はひとつも当てはまりません。
強いて言えば、問診上、その失神が前駆症状を伴わない突然発症であったこと、が心原性を示唆させる要素だったと思われます。
失神は問診が極めて重要です。本人から、目撃していた人から、よーーく話を聞くことが必須です。
心原性を否定できない場合は、循環器医にコンサルトするか、入院させる等慎重な対応が安全です。

2010年2月7日日曜日

歯磨き

最近の心電図モニタのアーチファクトの原因は何?とのご質問をKim先生から頂きましたが、残念ながらわかりません。
お詫びに、原因が特定されているアーチファクトを提示します。





有名な、歯磨きアーチファクトです。300/分くらいで、素早い磨きかと思われます(笑)。

2010年2月4日木曜日

幅の広いQRS頻拍

肺塞栓で入院中の高齢者。
看護師からVT様の波形が出たと、担当初期研修医に連絡がありました。





確かに、一見、幅の広いQRS頻拍。
初期研修医は、研修医なりに考えた結果、上室性頻拍+変行伝導と解釈し、上級医にも連絡しなかったようです。。。。。。うーん。
VTです!!!と上級医に慌てて連絡してきてくれる初期研修医だと安心します。
優秀な人ほど、考えすぎてしまうのでしょうか。これをVTではなく、上室性頻拍と考えしまうことは、危険性を秘めた対処につながります。初期研修医にはシンプルに幅広いQRS頻拍=VTと教えてしまった方がよいかもしれません。

さて、この波形、先日と同様、やっぱりアーチファクト(ノイズ)です。矢印のところに元来の洞調律由来のQRSが重なっていると思われます。
結果的には、VTでなく、患者さんには何の問題も生じていないのですが、、二重の誤りが幸いでした(苦笑)。

2010年2月3日水曜日

しあわせ

失神で入院した高齢者。心電図モニター装着していたらこんな波形が出ました。



VT?? モニターの自動解析は"V-FIB/TACH "すなわち「心室細動/心室頻拍」と解析しています。

VTが出たと思った担当医(非循環器医)は循環器科にコンサルテーションしてきました。「幅の広いQRS頻拍、起源がわからなければVTと考えよ、、」基本的かつ重要な考え方ですから、コンサルテーションに何の問題もありません。
ただ、循環器医としては、この波形を見れば一瞬にしてアーチファクトとわかります。このコンピューターの自動解析はいまいちですから、フィードバックする必要がありますね。
幅の広いQRS(らしきもの)のなかに、元来の洞調律の幅の狭いQRSが混在(赤矢印)していることがわかります。RR間隔はほぼ一定で、正常洞調律にノイズが重なっていることがわかります。



コンサルテーションしてきた先生は、救急にもたずさわる大変優秀な方でしたので意外でした。

自分も、他科の先生方からすると”当たり前!”というようなことを日々コンサルテーションさせて頂いていることを改めて認識します。皆、助け合ってより良い医療を提供できているのでしょう。お互い相談し合える今の環境は恵まれていると思います。感謝、感謝。

2010年2月2日火曜日

適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて

アミオダロンの適応外使用に関する件。
Heart View2010年2月号薬剤溶出ステント(DES)の特集の文献の一つ(On labelとOff label(適応内使用と適応外使用)加藤義紘、木村剛)に関連記事がありました。DESも現実的には適応外使用が多く行われています。

平成11年発行された「適応外使用に係る医療用医薬品の収扱いについて」において、
「外国において、既に当該効能又は効果等により承認され、医療における相当の使用実績があり、その審査当局に対する承認申請に添付されている資料が入手できる場合、既に当該効能又は効果等により承認され、医療における相当の使用実績があり、国際的に信頼できる学術雑誌に掲載された科学的根拠となり得る論文又は国際機関で評価された総説等がある場合、は臨床試験の全部又は一部を新たに実施すること
なく、当該資料により適応外使用に係る効能又は効果等が医学薬学上公知であると認められる場合には、それらを基に当該効能又は効果等の承認の可否の判断が可能であることがある、、、」

要するに、適応外(オフラベル)使用が必ずしも”否”というわけではなさそうです。ただ、保険償還されるか否かは別問題です、当然。

2010年1月31日日曜日

アミオダロン300mg

ACLSコースでは、治療抵抗性VFに対して抗不整脈薬を考慮する場合、「アミオダロン300mg!」と当たり前のように受講生から指示が出ます。皆さんよく勉強しています。しかし、現場でアミオダロン300mgをボーラスで使用している方や、施設はかなり少数派と思われます。
治療抵抗性VFに対するアミオダロン300mgはevidence basedの用量ではありますが、日本は勿論、米国でもオフラベルです。

日本のガイドラインの1つである「救急蘇生法の指針2005医療従事者用」では、”欧米では初回投与量として300mgの1回投与、追加投与量として150mgが推奨されている。我が国では2007年1月に静注製剤が認可されたが、現時点ではVF/無脈性VTに対する投与量は確定していない。」と我が国での推奨投与量の記載は有りません。

先に御紹介した、「循環器医のための心肺蘇生・心血管救急に関するガイドライン」では「初回150~300mgを静脈路/骨髄路からボーラス投与する.その後もVF持続する場合,2度目は追加150mgを1回だけ3~5分間かけて追加投与」と記載されています。注記として、「静注用アミオダロンは我が国においては心停止に対してはオフラベルである.使用量,投与方法についてはAHAのガイドラインの推奨およびVTに対する我が国の用品を勘案した.我が国でのデータを蓄積し検証する必要がある」と記載がありますが、我が国での一応の推奨投与量が150-300mgと記載されていることは驚きです。
AHAガイドライン通り、或いはそれに少しでも近い投与法が現場で発揮されやすい環境を助長してくれることが期待できます。

かつて、ある救急医が難治性VFにアミオダロン300mgを投与したら循環器医に「多過ぎる!」と叱られたというエピソードがありました。そんなことも起こりづらくなるかもしれません。

2010年1月15日金曜日

STEMI?

寒い日が続きます。そんな中、なかなか興味深い心電図を目にしました。
高齢者。意識障害で救急搬送。搬送中に心室細動になりました。電気的除細動等で対処、VFは繰り返しましたが、その後PEAを経て自己心拍再開しました。そして記録した12誘導心電図。




STEMI→VF??カテか!?なんて話になりましたが、情報を集めてみると、なんと体温23度。
ST上昇して見えますが、これは貫壁性虚血ではなく、J wave(Osborne wave)なのでしょうか。
J wave(Osborne wave)とは、低体温の時等に見られるQRS終末とST部分の早期の間あたりに見られる波のことを言います。
心エコーでも明らかな局所的左室壁運動異常は認めませんでした。

復温後の心電図です。



ST付近の変化も軽減致しました。
都会では重症低体温の頻度は恐らくあまり多くはないと思いますので、勉強になりました。

2009年12月2日水曜日

難治VF

中年男性、院外CPA、難治性VF患者に遭遇しました。救急隊のAED無効で、当院搬入後も二相性200Jの除細動を繰り返しましたが無効、質の高いBLSしつつ、気管挿管、アドレナリン、アミオダロン、リドカイン、メイロン等使用しましたが難治。PCPSをプライミングして、挿入寸前に自己心拍再開しました。
緊急CAGでは右冠動脈閉塞、左前下行枝90%の2枝病変でした。右冠動脈にPCIを施行しました。PCI中冷却輸液やアイスノンで冷却しましたが、先日の「RhinoChillデバイス」があれば良いかもしれないなあ、、と思いました。
冠動脈から吸引した憎き血栓です。

2009年8月23日日曜日

難治性VFに対するamiodarone

amiodaroneは難治性VFに対して投与を考慮する抗不整脈薬です。院外発症難治性VF患者にamiodaroneを投与したところ生存退院率が増加したというARREST Trial(NEJM1999;341:871-878)なる研究があり、ClassIIbの推奨です。
一方で、amiodaroneは除細動閾値を上げる作用があると聞きます。なぜ、除細動閾値が上がるのに、難治性VFの治療効果が上がるのでしょうか。
ある専門の先生にお聞きしましたところ、概ね以下のごとくご説明頂きました。
amiodaroneは確かに僅かながらに除細動閾値を上げ得る。ただ、その上昇は、経胸壁除細動のエネルギーとしてはごく僅かである。一方で、一度除細動できた場合は再発予防の効果はある。院外VFにアミオダロンを投与することで生存入院率を上げた要因は、除細動後のVF再発を減らしたことであると思われる。必要エネルギー数を解析してみたら、必要除細動エネルギーは上がっているかもしれない。へえ。

ACLSコースで、除細動閾値を下げるためにamiodaroneを投与しましょう、と言ってしまうことがあると思われますが、正確に言えばそれは誤りで、難治性VFの除細動閾値を下げるではなく、除細動後のVF再発を減らす、ということみたいです。

勉強になります。

2009年5月17日日曜日

胸骨圧迫中断からショックまでの時間





ご理解されている方にとっては、何を今更、、の話かもしれません。
Studies have shown that a reduction in the interval between compression and shock delivery by as little as 15 seconds can increase the predicted shock success.(ACLS Resource Text P3)
最後の胸骨圧迫からショックまでの時間を15秒程までに短くすればショックの成功率が上がり得る。
For greatest success,deliver shock 5 seconds or less after last chest compression.(AHA ACLS renewal Course DVD)
ショック成功率を上げるために、最後の胸骨圧迫から5秒以内にショックせよ。

絶え間ない胸骨圧迫はBLSにせよ、ACLSにせよ、コア中のコアであることは周知の事実です。ACLSにおいてマニュアル式除細動器でショックをする場合も、当然Hands off timeをなるべく短くするように指導はしてきました。しかし、恥ずかしながら上記のように、数秒短縮することでその時のショックの成功率が上がる、という認識に欠けていました。
ショック施行直前に行う安全確認の言葉(私離れてます、、、、云々)も5秒以内にすべし、とACLSプロバイダーマニュアルに書いてありますが、5秒という数値も上記のこととも関連しているのかもしれません。やけに長い安全確認でショックまでにずいぶん時間がかかってしまう受講生は気になりますよね。パドルを使用する場合、パドルを胸壁につけてから充電開始しつつ安全確認の言葉を発し(胸骨圧迫中断)、150-200Jなら通常3秒程の充電時間ですから、この3秒の間に安全確認を済ませ、充電終わった途端に放電、放電直後に胸骨圧迫再開という流れが理想なんでしょう。Hands off timeは最短3秒位になります。充電中も胸骨圧迫を続けた方が尚良いかもしれませんが、そこまではAHAは言っていませんし、体勢的にもちょっと辛いところです。パッドを使えば、充電中の胸骨圧迫も楽々ですし、胸骨圧迫からショックの時間も、Hands off timeも究極までに短くし得るですね。
AEDも解析後の充電中に今まで以上に胸骨圧迫したい気分になってしまいます(誤解析につながり得る機種がありますから充電中は胸骨圧迫はしないで下さい)。