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2013年6月27日木曜日

教育環境と状況判断

六本木ライブでふと思った事。日本で重症多枝病変にPCIをすることが多い理由は、「日本人はロジカルに物事を考える教育を受ける機会が少ない環境で育ってきたから」、という仮説。

複数の冠動脈に狭窄病変を有していたり(多枝病変)、特に左冠動脈主幹部という重要な部位に狭窄病変を有していたりすると、PCI(カテーテル治療)よりもCABG(冠動脈バイパス手術)が選択されることが世界的には一般的です。生命予後や、再治療を含めた治療回数、非致死的イベント、治療コスト、等が、PCIよりもCABGのほうが少ないからです。要は、良好な経過を辿る確率が高いわけです。
欧米ではそのような考えに基づいて治療選択されますので、CABGの割合が高いです。日本は、PCIの割合が高いです。多様な理由が混在している、例えば、欧米は重症多枝病変が多いとか、病院がセンター化されているので1病院あたりの症例が多く、CABGの技術が高いとか、器用でないのでPCIが上手でないとか、逆に、日本のCABGは症例が少ない施設であると技術が劣るとか、PCIは器用で上手とか、切られるのを避けたい文化とか、、、、。保険制度の相違も1つでしょう。確かに、その環境に応じた判断を最終的に下すことはあり得ることではあります。

日本の教育は、いわゆる受験勉強で、あまり考えない教育。即ち、「答え」があって、それを覚えて、試験で再現できれば成績良好、、、ということが主です、少なくとも我々の時代はそうでした。従って、あまりロジカルに物事を考えて行く習慣が成長過程で促されません。一方、欧米は、グループディスカッションや、ディベート等、自分で考えて、意見する、といった教育がとられていることが多いと理解しています。限られた情報の中で判断し、最善解、即ち相対的に最も確率の高い選択肢を選ぶ。そうでないと、人を説得することはできません。そのような習慣が、幼少時から根付いています。そのような背景がありますので、多枝病変に対する治療は、現在までに蓄積されたデータから判断すると、CABGを選択することが最も確率的に良かろう、という判断が導かれることは、当然のことです。日本は、何となく低侵襲だからPCIが良いのでは、とか、患者が希望しないからとか、一見最もらしい理由でCABGでなくPCIが選択されることが多いです。そこに明確なロジックが存在しない場合が少なくないと感じています。

最近「教育」に接する機会が多いせいか、自分なりに、これまでとは異なった切り口・視点で物事を見ることがたびたびです。

2013年6月26日水曜日

目的を忘れない

もうひとつ六本木ライブネタ。90歳弱の超高齢者、LAD CTOの他、LCXとHLにも病変あり。狭心症症状が増悪傾向、薬物抵抗性とのことで(当然CABGは年齢からムリ)やむなくPCIとなった症例。PCI適応自体は超高齢とはいえ、症状を取ってあげたいし、仕方の無いところです。。主に3つの病変がありますが、どの病変が最も狭心症症状を来しているかは不明です。PCIの目的は、症状を軽減してあげること。 その治療を、CTOから治療を開始することに異論はありません。しかしながら、石灰化と蛇行で思いのほかLAD CTOの治療に苦労しました。術者のCTO MasterのT先生でも、2時間経ってもワイヤー通過しません。ワイヤーは7本使用。 感じたことは、PCI中は「このPCIの目的」を常に忘れてはいけない、ということです。CTOが難渋するなら、他の狭窄病変のみ治療する方針もありでしょう。恐らく、経過からは、元々CTOがあり、それに加え、高度狭窄病変が新規に進行し、症状が強くなった、、可能性のほうが高いようにも思いました。従って、それら狭窄病変を治療すれば、少なくとも、悪化前の状態には戻せるし、QOLも回復することが期待できます。PCIをしていると、いつしか、その病変(今回の場合はLAD CTO)を治療すること、或はガイドワイヤーを通す事、、、が目的にすり替わってしまうことがあります。常に、元来の目的を意識し続けることが大事と感じました。 これは、PCIに限らないですね。人生もそう(笑)。 このライブ症例は、さすがCTO MasterのT先生、苦労の末ガイドワイヤーを通過させ、LADの血行再建に成功しました。さすが名人です。ライブだから、CTO Masterが術者だから、長い時間かけ、多くのデバイスを使い、手技を続けた、とも考えられます。ライブを見ていた聴衆も、自分を含め、T先生が、どのような技術でこの難関を超えるのか、見たかったし、期待もしていました。結果が良くて、良かったですが、結果論です。実臨床でこのような展開になれば、一般的には、CTO治療は断念する可能性が高いと思います。 ライブは、非常によい教育の機会でありますが、その一方で、”ショー”である面があることも否めません。患者さんにデメリットが生じないように留意することが必要です。そんな感想を抱いた症例でした。

2013年6月24日月曜日

六本木ライブの、とあるセッション、CTO症例。コメンテーターの1人がTハートセンターのN先生。ご存知の通り、Tハートセンターは世界を代表するCTO interventionalistsが複数所属するCTOでは世界一といっても良い施設。N先生自身はまだ若手ですが、そのような一流の環境に身を置いているせいか、CTO症例を見る眼が、真剣そのもの。食い入るような目つきは、明らかに他のコメンテーターと一線を画しているように感じました。コメンテーターとしてのコメントも的確で、ライブ術者にとっても貴重な情報も提供されていました。 人は、自分が得意とする分野や、自分が興味ある分野、には本当に真剣になります。他の人には見えないことも、見えてきます。プロとはそういうことなのでしょう。逆に、臨む姿勢が甘かったり、経験や知識が少ないと、見える物も見えません。 また、物事を学ぶには、一流の元で学ぶことが、最も効果的効率的と言えるでしょう。CTOにおけるN先生もまさにそうなのでしょう。CTOを学ぶには、CTOのspecialistから学びを得るのが一番です。カテに限らず、自分が学びたい分野、目指したい分野が明確なら、その分野で世界一の環境に身を置く事が、近道。 僕自身は、そんな環境に身を置いた事がありませんから、無責任な意見といえば、その通り。

2013年6月23日日曜日

六本木ライブデモンストレーション2013

前回投稿が2012年11月。久し振り。 先日久し振りのCTO(慢性完全閉塞病変)治療を行いましたが、「久し振り」ゆえに思うようなアプローチができませんでした。主な理由は「CTOとの接点が足りない」こと、と感じました。 手技向上維持するためには、多くの症例を頻回に経験することが最重要です。そうでなくともライブ等で”疑似”経験することも有用と思っています。当施設はいわゆる”カテ施設”ではありませんし、治療方針決定はガイドラインに近い(標準的)のでCTOの数も多くはありません。つまり、経験数がすくない。また、個人的に最近CTO club等学会やライブにもなかなか参加できず、"疑似”経験も少なめ。 これを是正すべく、昨日は心臓カテーテル治療の六本木ライブデモンストレーション2013に参加しました。心臓血管研究所付属病院からの中継です。心臓血管研究所の先生方は、このような教育的機会を多数開催しており、有り難いです。苦労も多いかと思いますが、カテーテル治療向上に役立っていることでしょう。今後も続けて頂きたいですね。 さて、ライブ内容としてはほぼ全例CTO症例でした。そのため、自分の目的に合致したプログラムで、特に個人的に苦手な順行性アプローチ症例中心でしたので、学ぶところは多々ありました。あまり細かく書いても、マニア過ぎますので書きません。 ただ、ライブ症例や、プレゼンに出てきた症例など、「標準的な治療方針としてはバイパス手術が妥当」、と思われるものが少なくありませんでした。それを、当たり前のようにPCIで治療すること、その点にあまり議論が及ばないこと、に大変な違和感を感じました。これは今に始まったことではなく、カテライブや学会ではいつも感じる事です。 その中で、今回更に衝撃を受けた言葉があります。とあるセッションの座長が 「最近の若い医師は(冠動脈多枝病変の患者に対し)教科書通りバイパス手術の話をしてしまう。残念だ。」 というような趣旨のことを話されました。即ち、「冠動脈多枝病変患者でも、バイパス手術の話などせずに、どんどんPCIで治療しようじゃないか!」ということです(苦笑)。 勿論教科書・ガイドラインが全てではないし、個々の病態や患者背景、環境などを考慮したうえで最終的な治療方針を決めることになりますので、多枝病変をPCIすることは当然有り得ます。しかしながら、限られた情報の中であれ、より良好な成績が期待でき得るバイパス手術の選択肢を提示することは、インターベンショナリスト、循環器内科医の「義務」と思っています。日本を代表するようなインターベンションの先生が、座長が、公の場で、このような発言をすることが、大変残念に感じられました。せっかくのライブデモンストレーションの価値も下げてしまうような、そんな発言と思いました。

2012年11月3日土曜日

CCT2012初日のみ

更新皆無でしたが、ふと、覚え書きを兼ねて久し振りの書き込み。 週末はBLSやら、ACLSやら、でつぶれてしまうことが多く、学会やライブデモンストレーションに参加することがなかなか難しいです。ですから、チャンスがある時は積極的に参加するようにしています。今回も11/2-4神戸でCCT2012 (心臓カテーテル治療のライブです)が開催です。11/2のみしか予定がつきませんので、神戸弾丸日帰りで参加です。神戸日帰りで、時間的にも、金銭的にも、非効率的ではありますが、それでもライブで得られるものは大きいです。お金に代えられません。 個人的には昭和大学濱崎先生のcaseが大変勉強になりました。RCAのCTO。LAD septalからのretrograde approach症例でしたが、septalのtip injectionでもよく見えないchannelを、XTRで見事に通過させていました(学び①笑)。Corsairの通過に苦労されていましたが、力技(笑)で通過。さすがです。他のcaseで、同様の状況では①新品のcorsairに変更 ②Finecrossに変更 ③新製品のFinecrossも良さそう、ソルタナもよい  等の意見が出ており、Corsair不通過→Finecross MG楽勝通過でした(学び②笑)。 濱崎先生症例、川崎病既往もあり一部ひどい石灰化がありました。その部位も含め、比較的広範に偽腔通過していましたが、そこへのステント留置も皆さんagree。この判断も勉強になりました(学び③笑)。ステント留置後、末梢flowが消失、造影剤がstainしました。この瞬間にhematomaと判断され、その後anteからの余計な造影は全くしませんでした(学び④笑)。この対処も何ともない事かもしれませんが、大切なことでしょう。IVUSで確認すると偽腔ばかでかいhepatoma。真腔径に合わせた比較的小径のCutting Balloonを素早くinflateし、少し縦方向にひく感じ?で真腔と偽腔の交通を作る技をライブで拝見できました(学び⑤笑)。stainしていた造影剤がその瞬間に消失します。 しかし、その対処だけでは不十分であることも学びました。結局長いステントで対処する方針が早いようです。hematoma部位フルカバーは勿論、hematomaのかなり遠位まで抑えることも重要なことも十分伝わりました(学び⑥笑)。このケースは結局2本のステントを追加留置していました。最終的には素晴らしい仕上がりでした。さすがです。 知識のみの習得でなく、ライブは実際に臨場感のある中で拝見でき、疑似体験にも近い感じで習得できる(つもり)ので、またチャンスを伺い、積極的に参加したいと思いつつ、泣く泣く帰京するのでした笑。

2012年5月20日日曜日

当直明け

昨日、とある心臓カテーテル治療の症例検討の研究会に参加しました。その中症例の1つ。ACSで瀰漫性の動脈硬化病変。PCI適応の判断は難しく、技術的にもPCIはなかなかやりづらい病変。最終的にはPCIを施行して血栓閉塞を繰り返す大変な苦労をされた症例でした(最終的には無事に終了されました)。その治療過程でやや中途半端な判断が血栓閉塞の一因となった可能性が挙げられていました。実はこのPCIの術者の先生は、当直明けのお疲れの状態でしたが上司の指示で(やむなく?)行ったとのことでした。発表の最後のスライドは、「いちど始めたPCIは、もっと気合いを入れてやらなければいけない、、」というようなニュアンスのことが書かれていました。 座長の先生も「もっと気合いいれなきゃ。」とおっしゃっていました。 たしかに、その通りなのですが、本質は違うように思いました。 多くのインターベンショナリスト、いや多くの医師たちは当直明けの疲れた状態でのカテや手術、診療を余儀なくされています。この現状を改善しなくてはいけません。当院は当直明けは半日で帰宅する方針を少しづつ導入しています。以前よりはましな状況になってきています。 先日の、関越道の高速バスの件が人ごとではない、という岩田先生のブログもうなづきながら読みました。 「こころを入れかえて、今後は疲れていても気合いを入れるぞ!」という、新たな決意ほど無力なものはありません。 「長時間勤務後で疲れているし眠いけれど、気合いをいれて運転するぞ!」と言う運転手が運転する深夜高速バスには乗りたくありませんものね。

2011年3月7日月曜日

倉敷ライブ

先週末は、当初予定していなかったが急遽倉敷へ。

第20回倉敷PCIライブデモンストレーションコース



倉敷中央病院は、大変教育的なライブを毎年開催しています。健康上の理由から光藤先生はコースディレクターから退き、門田先生が重責を引き継ぎました。しかし、、蓋を開けてみれば、まだまだ光藤先生の独壇場(笑)。スーパーテクニックを披露しまくっていました。
だれがどう見ても、CABGでしょ、、、というcomplex症例も、淡々と、丁寧な手技で、奇麗に仕上げていました。
常に、ペースを保ち、平穏(を装う?)な様相は、他のオペレーターと一線を画します。結構好きです。


個人的には、珍しく体調不良。。。。先週末の新潟ICLSインフルエンザ(疑)事件の余波か。。。?

金曜夜なのに、ライブ終了しだいそそくさホテルへ。

しばし寝た後、やっぱりとふらふら郷土料理やへ。

大好物、乙島シャコ。



タコのたまご?



先週末の新潟ICLS参加時に、魚市場でみかけた ”タコのたまご”と同一か。饅頭みたいな外観だったが。。。

ビール、地酒も呑んだが、やはり本調子でなく、ホテルへ帰宅。夜中もうなされた(汗)。

一晩に、ペットボトル500mlx5本飲んだ。たまたま持参したロキソニン錠剤飲みまくり。

翌朝、ずいぶんまし。



気持ちよい朝日。




気持ちよい青空。倉敷の町並み。


不謹慎とも思われたが、せっかくの倉敷、人里離れた二階席の隅の席で、光藤テクをこっそり堪能しました。ごめんなさい。

2010年12月15日水曜日

Boston Scientific Guidewire Kinetix 使用禁 詳細


ようやく、時間がとれたので少し詳しく書きます。

RCA#1distal-#2distalのCTOへのPCI。LAD-Septal経由のRetrograde approachで、CorsairをCTO遠位端まで持ち込み、Reverse CARTでRetroのMiracle3gをRCA近位の真腔に進ませようとしましたが、少し引っかかるので、よりソフトなGWのほうがよいかなと思い、サンプル使用で出していたBonston Kinetixに変更、RetroのCorsairに挿入し操作していたら突然stuck! 全く動かなくなりました。何が起こったか分かりませんでした。押すこともできない、引くことも出来ない。しばし操作するも、Kinetixの先端がCorsairから出るか出ないかくらいの位置から、微動だにしませんでした。仕方ないので、かなり強い力で引っ張ったところ、"ブチッ”という音とともにKinetixが抜けてきました。切れたかと思いましたが、幸い? 切れていませんでした。原因はよくわからないと思いつつも、今度はRunthrough NSを挿入しようとしましたが、途中でつっかえて進まなくなり、Runthrough NSをCorsair先端から頭を出すことができませんでした。Corsairが詰まっているようでした。試しに、Conquest proも挿入してみましたが、これも途中で当たり、Corsair先端から頭を出すことができませんでした。えいえい、と強めに突いてもだめでした。Corsair内に何かが詰まっているか、閉塞しているか、でした。Retrograde のCorsairは機能不全に陥り、結局泣く泣く抜きました。抜いたあとも、Corsair内を水をフラッシュすることはできませんでした。

その後、antegrade approachに際しても、別のCorsairにKinetixを入れて操作する機会がありましたが、またまたStuck。これも同様に、その後Corsairは糞詰まりになり使用不可となりました。

このPCIでは、他にRunthrough NS Floppy、FielderFC、Conquest pro、Miracle3g、、など多くのGWを使用していましたが、Kinetix以外のGWでは全くstuckするような現象は生じませんでした。

ちなみに、ACTは30分毎に測定し、300秒以上を維持していました。

Kinetixだけが、2度も同じ事態が生じるとは、やっぱり、Kinetixのせいと思ってしまいます。原因を解明してもらいたいものです。それまでは絶対にKinetix+Corsairは使用しないほうが安全です。

Bostonの担当者に聴けば、湘南鎌倉病院でも同様のstuckが生じて、同院ではKinetix不採用となったとのこと。その一件の後、Kinetixの膨張実験なども施行したそうですが、明らかな異常は呈さず、原因は不明のままと。
Kinetixが原因と言い切れずとも、そのようなことが有ったのなら、予め教えておいてほしいものです。
危険となりえる事象が生じていたにもかかわらず。それを伝えずに使用を促している態度が、問題です。
自分の情報収集不足とはいえ、しばらくBostonのものは使いたくありません。。。

2010年12月10日金曜日

絶対に!

一部では有名な話らしいのですが、知りませんでした。今日かなり痛い目を見ました。
BostonのKineticsなるguidewireは、絶対にCorsairと使ってはいけません。相性超悪です。

2010年12月5日日曜日

Kamakura Live Demonstration 2010



今年もまた、Kamakura Live Demonstration に参加です。
Slender PCIには限界を感じ、最近、少々飽きてきた(笑)のですが、やはり大御所齋藤滋先生の技術は目に見張るものがありますから、ついつい見に行ってしまいます。今日も色々勉強させてもらいました。

Slender clubを厚くバックアップしている齋藤先生ですが、10wireをバッサリ切っていましたね。ワイヤーの進歩がないと、slender PCIの将来は暗いかもしれません。IVUSしない斎藤先生は、slender guidecathe.+14wireで、さくさくやっていますが、自分的にはIVUS必須ですからやはり日常のslender system使いにはまだまだ壁が有ります。4F OCTには少々驚きましたが、まだ問題も多々ありそうです。

本日のライブ中、LADへのPCIでステント留置し、最終造影をした直後、理由は分かりませんが、突如VFになりました。外回りの面々が瞬時に大挙患者に押し寄せ、胸骨圧迫、電気的除細動、、、すごい速さでした。適切な処置で事なきを得ました。大変教育が行き届いていると思われます。
そんな中、VFになっても、眉一つ動かさず、平然としている齋藤先生。ガイドワイヤーはしっかり保持しつつ、ガイドカテをLMTから外していました。ガイドカテはslenderですから、LMへのウェッジや、損傷が原因のVFではありませんでしたが、これは冷静な対処です。脳虚血で痙攣を生じたり、CPRによる体動でガイドカテが動いて、LMTを損傷したりすることも有り得るでしょうから、そんなリスクを避けるべく些細ながらも素晴らしい対処です。ライブは、トラブルが起こった時こそ、学ぶことが多々あります。

2010年8月24日火曜日

CVIT2010

8/22-24仙台でCVIT2010が開催されました。心臓カテーテル治療に関する学会です。新規オープンしたウエスティンホテルでの開催です。奇麗でしたが、さすがに狭く、エレベーターが大行列だし、今ひとつ過ごし心地は良くありませんでした。インターベンションに関して印象に残っているのは、手技を行う際に、組織病理(Histopathology)をイメージすることが、CTO治療の進歩に大きく寄与した、と複数の"master"の先生方が仰っていたこと。
無造作に操作してはいけません。繊細な操作とともに、Histopathologyを意識し、少しづつワイヤーを進めていくんですね。マレーシアからのCTOライブ中継では、Histopathologyの"H"も感じられないような大雑把なワイヤー操作でしたが(笑)。

個人的には、北里大学の猪又先生の、急性心不全の急性期でも(慎重に症例を選択し)積極的にβ遮断薬を投与していく(と予後が良い)という話や、国循宮田先生のHITのお話など、ランチョンが思いのほか勉強になりました。

いちばん、印象に残ったのは、牛タン屋 「閣」の牛タンのたたきです(笑)。仙台歴の長い方曰く、仙台で一番おいしい牛タン。
ちょっと食べかけですが、記念写真とりました。

2010年7月20日火曜日

CTOに対するRetrograde approachの定義

CTOに対するRetrograde approachは、様々なテクニックが乱立していて混乱してしまいます。定義を統一することを目指したsessionがありました。落合先生の提言は以下の表の感じです。subintimaとか、intima、trueとか、IVUS所見を含んだ定義は望ましくなく、それらとは独立した整理をしています。





Dilatation of CTO body には、balloonは勿論、CorsairなどのMicrocatheterやNnuckled wireも含まれます。

大変シンプルで分かり易いきがしました。

2010年7月18日日曜日

TOPIC2010終了。

TOPIC終了です。色々と大変勉強になりました。学んだことも多かったですが、感じたことも多かったです。
様々な先生方のpresentationを拝聴しました。皆さん経験豊かで、良きメッセージをお持ちなわけですが、presentation技術に大きな差があると感じました。
印象に残ったpresentationは、USAで活躍の前原先生です。CTO病変のangio、IVUS、CT、病理像の関連をお話頂きました。プロフェッショナルな態度で、理論的。分かっていることと分かっていないことを明確にし、clearな表現で非常に分かり易い。多くの先生は、presentation中はスクリーンを見ていたり、手元のPC画面を見ていますが、前原先生は、聴衆に目を配り、目で聴衆を惹き付けていました。講演内容も大変originalityに富んでおり、impressiveでした。たいしたものです。このCTOのセッション、大御所落合先生と、角辻先生、前原先生とそろった場は圧巻でした。世界を背負う活躍を期待します。

若手相手の教育的なセッションにも少し顔を出しました。日本の中堅所の先生方のlectureでしたが、、、、、、、、。全般的に、内容も、presentation skillも、needsに見合うものではなかったように思いました。若手interventinalistも欲求不満だったのではないかと思います。

何のpresentationもしていない自分が言うのもなんですが(笑)、更なるskill upが必要と感じてしまいました。

学会のたびに感じますが、最近は、日本の学会でも海外の先生方が多く参加され、英語でのdiscussionも普通に行われます。日本語でのpresentationもまだ行われてはいますが、ユニクロや楽天の世界が自分たちの日常にも降りかかってくるのはもうすぐです。

2010年7月16日金曜日

TOPIC2010初日 心配、Slender PCI!

恒例のTOPICです。大都会東京、渋谷、おしゃれなホテル、セルリアンで開催される心臓カテーテルに関する学会です。






近所での開催ですので、仕事を早く切り上げ夕方から参加しました。平日にも関わらず多くの参加者でにぎわっていました。
会場到着直後、とりあえず目の前で行われているセッションを拝聴しました。最近盛り上がりを見せているSlender PCIの、"Slender Video Live"。Slender PCIには以前より大変興味がありますので、食いつきました(笑)。会場内は立ち見が出る程の盛況振りでした。
途中からの参加ですので、なんとも言えませんが、見た範囲では、うーんという感じ。
有名な某先生のビデオライブでしたが、CTOへの5F PCI。5Fでおこなったからこそ不成功で終わる手技。6-8Fなら問題なく成功でしょう。うーん。
2nd sessionで中途6Fに切り替え成功しましたが、その手技後引き続き行った他枝病変へのPCI(これもCTO)では偽腔へのステント留置という雑な仕上がりのPCIでした。ガイドワイアー通過が、true-false-tureならまだしも、true-falseのままステント留置です。常識では考えられません。長期のpatencyはあまり期待できないのではないでしょうか。
ビデオ後のdiscussionも消化不良です。不成功のPCIを許容するような意見が多かったですが、説得力が全くありません。残念です。
患者さんのことを考えると、複雑な思いを抱かざるを得ません。"Slender"を否定するわけではありませんが、こんな手技を続け、また、こんな手技を許容するような議論を続けるようですと、未来は暗いのではないかと思ってしまいます。
ライブを行っている先生は一流の先生ですので、まだ善し悪しの判別がつくでしょうが、聴衆には若い先生方も大変多い会場でした。"Slender PCI"は若い先生の注目度が高いのでしょう。子供が大人の危険な遊びを真似すると、非常に問題があります。危ない。""Slender"の世界は危険と隣り合わせだと思います。Slender系の学会に参加するたびに同じような思いを感じます。Slenderの世界を応援するからこその心配事です。倫理的にもきちんとしたステップを踏んだ"Slender PCI"の普及を望みます。

お子様にとっては、現状ではSlenderPCIは、せめて非CTO病変に限定する方針が宜しいと思います。PCIにおいて、CTOは、やはり別物です。患者のことを本当に思うなら、個人的には、CTOは落合先生の主張通り、FA 8Fが最善と思っています。

2010年7月2日金曜日

POP LIVE in Wakayama

日々やることが多くて首が回らない状態です。ワールドカップも重なり、究極の寝不足です。
それでも今日は当直の代休でした。わーい。でも寝て過ごす暇はありません。この代休を利用して、強行日程、朝4時起きで羽田関西空港経由、和歌山に来ています。目的はPOP LIVE !(笑)。なかなかシャレたネーミングですが、音楽のライブではありません。

「Physiology Oriented PCI Live Demonstration Course in Wakayama」の略です。




赤坂先生率いる和歌山県立医大循環器内科が主となって行うPCIライブです。
難易度の高い症例を、高い技術で成功させる通常のライブとは異なり、FFR等、狭窄の機能的評価によりPCIの適応やエンドポイントを決定する、他とは趣が異なるライブです。FFRの勉強のために、生まれて初めて和歌山の地に足を踏みいれ、初参加しました。
会場の大学は大変広く、きれいで、人は少なく、開放的です!要するに田舎です(笑)!

肝心のライブは、4症例のみと、症例数を絞りじっくりと吟味する趣向です。初めの3症例は正直、FFRの良さが活かしきれない症例で、しかもカテ技術も??という感じでしたが、4症例めは非常に印象的な症例でした。右冠動脈#3の75-90%の症例。シンチはequivocalですが、angio上は明らかなる有意狭窄で、RCA dominantで結構大きい。FFRは0.8台。ATP持続静注をどんどん増量し、かつ冠動脈注入も併用したり、hyperemiaにかなり気を使っても、やっぱりFFR0.79のボーダーライン。OCTで形態的評価を加え、赤坂先生は平然と、「PCIは控えて、薬物治療で対処。これが我々の通常のスタンスです」。

もちろん深いディスカッションの上での判断ですが、日本の、いや世界のインターベンショナリストで、90%狭窄を前にして、平然とワイヤーを抜いて保存的治療に移行できる人がどれくらいいるでしょうか。エビデンスに基づき、患者の為に、無駄なことはしない。患者に、循環器医に、医療経済に、やさしい判断です。
今回のこの症例の経過やディスカッションを拝聴しただけでも和歌山に来た甲斐がありました。
十分なHyperemiaが得られているのかを考慮することも大変重要なことが分かりました。

夜は、おいしい地魚たべました。メニューでたまたま見かけた和歌山名物(らしい)梅わさびも。刺身にあえていただきます。つーん!からい(涙)! 




そして、密かな第二の目的、マニア温泉を満喫(笑)。(密かに尊敬する人:郡司勇、松田忠徳(笑)) 



鉄分が多い、赤いお湯です。26度の少々冷たい源泉と、加温した40度程の湯船を交互にはいることが推奨されています。
お風呂の出口には、源泉が出てくる蛇口が設置されており、自由に飲んだり、タンクに入れて持ち帰ったりすることができます。大変良心的です。

明日も半日ですが、和歌山でお勉強です。

2010年6月13日日曜日

CTO Club 2010

今回もCTO Clubは大変勉強になりました。慢性完全閉塞病変に対し、数々の治療法がありますが、CTO Masterの大先生方の多大なる努力、技術の進歩、デバイスの進歩などにより徐々に治療が標準化してきました。特に、各種ガイドワイヤー、Corsairの果たす役割は極めて大きいです。
勿論、まだまだvariationはありますが、概ねの流れとしては、

Antegrade approach
①Fielder XT等のtapered wire
②Wizard3g/Ultimate bros.3など少々固めのwire
③Conquest pro/Miracle12gなど更に硬いwire
④parallel wire technique
⑤IVUS guidance

④−⑤あたりでうまく行かない場合、Retrograde approachを考慮します。
①Collateral channnelが比較的まっすぐの場合、Fielader FC、コークスクリュー様であればXTやSion
②RetrogradeからCTOに進ませるべく、必要に応じ3g等に変更、場合によりConquest pro やMiracle6-12g
③Reverce CART(この辺はまだまだvariationがある)
④Externalization
⑤antegradeからballooning、stent


IVUS guideの重要性が強調されていました。様々な局面でIVUSをこまめに活用することが手技成功への一つの鍵とも言えます。
また、様々なな特性を有したガイドワイヤーを、その局面に応じてこまめに変更する必要があることも強調されていました。Conquestなどで硬いfibrous capを破ったら、すぐにまたsoft wireに戻す、といった" step down"が重要のようです。CTO Master 鈴木先生は、Conquestでは5mm以上進ませるな!とおっしゃていました。

CTO病変の病理学的な検討と各種imagingとの相関も興味深かったです。MRIが有用な可能性も指摘されていました。
その他、角辻先生のDonor Artery occlusionの恐ろしい話、その対処法などなど、興味深い話が多数ありました。復習して、理解を深めたいと思います。

2010年6月11日金曜日

CTO Club




今年も来ました、CTO Club
冠動脈のカテーテル治療、特に慢性完全閉塞病変に対する治療に特化する学会です。自分としては、最も楽しみにしているライブデモンストレーションです。
そういえば、昨年は参加できませんでしたので、2年振りの豊橋です。
一昔前は、単なるマニアの会でしたが、retrograde approachによる治療が確立されたこともあり、徐々に一般化されつつあるような気がします。とはいいながらも、治療対象となる症例は、通常であればCABGが当然といったものばかり。ちょっとおかしい(苦笑)。abnormalな世界に感化されずに、常に標準的治療を頭にいれつつ、良いところだけ吸収するスタンスで臨む必要があります。

今日は朝一番の新幹線に乗り、8:30の開会から参加、先ほど22時前まで参加していました。明日も7:30からのmorning sessionから参加予定です。楽しみです!

2010年3月22日月曜日

落合先生

先日某社の会議室で、ベイエリアレトログレードコースなる会に参加させて頂きました。CTO治療の第一人者、昭和大学北部病院の落合教授のCTOに関する講演をたっぷり3時間聞ける、お得な会です。普段の学会の10−20分ほどのお話では聞けないようなことも聞けて、大変感銘を受けました。CAGの撮影の仕方から、手技中の基本的な注意事項、retrograde approachのtipsまで、ひとつひとつに論理的根拠があり、説得力がありました。
彼のCTO治療に対する信念にもうなずきました。可能な限り成功率を高めるという考え、特殊な事情がなければ全例8F FA両刺し、なるほどです。
一部で流行っているCTOへのSlender PCIをばっさり切っていました。聴衆の中には、Slender PCIの第一人者の先生もいらっしゃいましたが、論争にはなりませんでした(苦笑)。
頑強な信念をもって治療に挑んでいる落合先生に、更に尊敬の念を覚えました。

この本の改訂版も御執筆頂けるようだと、うれしいですが。

2010年3月14日日曜日

FFR

この週末は箱根で開催されたFFRワークショップに参加しました。
FFRとは冠血流予備量比(Fractional Flow Reserve)のことで、冠動脈疾患患者に対し、心臓カテーテル室でプレッシャーワイヤーというガイドワイヤーを使用して測定します。冠動脈狭窄がどの程度機能的に悪影響(虚血)を与えているか、が分かります。
冠動脈は、狭い=要治療 というわけではありません。狭く見えても、機能的に血流が保たれていれば、虚血を来していなければ、治療する必要はありません。虚血を来していない病変を治療することは、無駄なだけではなく、むしろ害にもなってしまうこともあります。
狭くみえる病変を、虚血の有無にかかわらず片っ端からカテーテル治療(PCI)を行ってしまう病院が少なくありません。中には、極めて非常識な治療をしてカテ件数を稼いで、儲けている病院もあります。同業者として本当にがっかりしてしまいます。
今回のワークショップの参加者は、FFRを実践している(今後しようとしている)方ばかりで、無駄な医療はしない、本当に患者さんのために良い医療を提供することを追求している、"良き医師集団”のように感じました。
大変勉強になった2日間でした。
4月からはPCIのみならずCAGの時も保険診療で使用可能になるとのことで、今後まずます普及していくものと推測されます。我々の施設でも積極的に行っていきたいと思いました。

2010年2月27日土曜日

倉敷ライブデモンストレーション



倉敷ライブデモンストレーションに参加しています。
例年、光藤先生が淡々とほぼ全症例をこなしていましたが、今回は光藤先生以外の術者が多くを担当しています。光藤先生の健康上の理由のようで、少々心配です。次回以降の倉敷ライブは光藤先生はコースディレクターから降板し、今後ライブの術者もほとんどやらないとのことでした。
今回担当された他の術者の方も経験豊富な先生方でしたが、光藤先生の技術、経験、精神力の強さを逆に感じてしまいました。圧倒的な存在感、たいしたものです。
CTOのバイプレーンの考え方や、ランデブー法のtipsなど、勉強になりました。一症例一症例丁寧にディスカッションされ、映像もあまり端折りがなく、良いライブデモンストレーションだと思います。本日も楽しみです。

昨夜は、大好きな乙島しゃこをたくさん食べました。揚げしゃこ、ゆでしゃこ、お刺身。揚げしゃこは絶品ですが、刺身も甘くておいしかったです。その他の地魚の刺身や、タコの卵、タコの肝といった珍味系もおいしく、地酒がすすみました。
その後は、倉敷の一駅隣の温泉宿に泊まって、のんびり入浴しました。循環温泉のようでしたが、pH9のアルカリ性の湯でつるつるお肌になりました(笑)。