昨日NHKで「プロフェッショナル 仕事の流儀」が復活。復活に先駆け、スペシャル番組としてこれまで出演した人たちの中で、反響の大きかったイチローや宮崎駿など8人が取り上げられました。その中で、慈恵医大血管外科大木隆生教授が大トリで登場!
脳血管への分枝を巻き込んだ大動脈弓部の瘤に対し、ステントグラフトと頚動脈ステントの組み合わせによる新しい手法の治療法に挑む姿が放映されました。途中頚動脈に解離が生じ完全閉塞してしまい絶体絶命の状況に陥いりました。「ちくしょう、、」と声が裏返った動揺したつぶやき。大木先生でも動揺するんだ。。。。。しかしながら、「絶対 なんとしても治してみせよう』と言いながら、諦めずにあらゆる手段をつくし、bail out。「よっしゃ!」の一言。18時間にも及ぶ手術を成功させました。患者は後遺症なく、退院したとのことです。かっこ良過ぎます!
この大手術前、大木先生自身が肺炎を患い、本来1-2ヶ月の入院治療、静養が必要と勧告されます。
しかしながら、上記患者を含め、大木先生の治療を待っているのは、他院で治療を断られた重症ばかり。
自身の入院中のベッドで下記思いを打ち明け、1週間で退院し、上記手術に臨みます。
「患者さんにおいては命を拾ってもらって良かったと そういうものが 自分を突き動かしているわけですよね。そういう期待を裏切ることは、、、裏切ってまで60、70、80まで生きる価値は、僕は ないと」
かっこ良過ぎます!かっこ良過ぎる中に、心底臨床医と感じさせる面が垣間みれて、更にかっこ良い。
大木先生の御家族にとっては複雑な思いでしょう。世界の宝ですから、無理もほどほどにと祈るばかりです。
総合病院勤務医の日々の雑感、日常診療、特に循環器領域、BLS ACLSといった心肺蘇生教育等を中心とした日記です。 些細なことでも今日学んだことを皆様と分かち合い、明日に活かせれば良いと思っています。
2010年4月27日火曜日
J Walk
J Walkといえば、かつて、" 〜夏♪♪♪"、、なんて歌で一世を風靡したJ-POPグループを思い出しますか?僕も大好きで、カラオケでも良く歌いました(笑)。
でも、お薬でつかまっちゃったし、もう、忘れてください。
今は、J Walkといえは、これです(笑)。
正確には、"j.WALK"みたいです。
join the WALK(Wound-care And Limb-salvage coalitation in Keihin)
先日のJETで、済生会横浜市東部病院の平野先生の熱いプレゼンテーションに心打たれました。
糖尿病を初めとする末梢血管疾患、下肢血管病患者さんに対する集学的治療に関する活動です。
足の血管が狭窄、閉塞して、足がくさっちゃうんです。
その治療は一筋縄にはいきません。血流改善のための血行再建、これとて、循環器内科、放射線科、血管外科、、など複数科の協力が必須です。虚血が進行し、皮膚変化があらわれれば皮膚科の関与もあり得ます。壊疽が進行すれば、形成外科、下肢切断が余儀なくされれば、整形外科、幸い良くなれば、再発予防で、当然糖尿病内科など。医師以外にも、看護師によるケア、栄養士や、検査にたずさわる検査技師、、、、、、関わる方々を挙げればきりがありません。
済生会横浜市東部病院では、平野先生の献身的な姿勢により立派なチームが形成されているようですし、それでも不足している面については、神奈川周辺による地域連携”J Walk”により、難治な患者さんを救肢、救命しているそうです。
j.WALKを活用した、涙が出るような、良いお話も披露してくれました。
本当に素晴らしいです。このコンセプトが全国に広がるとよいですね。
でも、お薬でつかまっちゃったし、もう、忘れてください。
今は、J Walkといえは、これです(笑)。
正確には、"j.WALK"みたいです。
join the WALK(Wound-care And Limb-salvage coalitation in Keihin)
先日のJETで、済生会横浜市東部病院の平野先生の熱いプレゼンテーションに心打たれました。
糖尿病を初めとする末梢血管疾患、下肢血管病患者さんに対する集学的治療に関する活動です。
足の血管が狭窄、閉塞して、足がくさっちゃうんです。
その治療は一筋縄にはいきません。血流改善のための血行再建、これとて、循環器内科、放射線科、血管外科、、など複数科の協力が必須です。虚血が進行し、皮膚変化があらわれれば皮膚科の関与もあり得ます。壊疽が進行すれば、形成外科、下肢切断が余儀なくされれば、整形外科、幸い良くなれば、再発予防で、当然糖尿病内科など。医師以外にも、看護師によるケア、栄養士や、検査にたずさわる検査技師、、、、、、関わる方々を挙げればきりがありません。
済生会横浜市東部病院では、平野先生の献身的な姿勢により立派なチームが形成されているようですし、それでも不足している面については、神奈川周辺による地域連携”J Walk”により、難治な患者さんを救肢、救命しているそうです。
j.WALKを活用した、涙が出るような、良いお話も披露してくれました。
本当に素晴らしいです。このコンセプトが全国に広がるとよいですね。
2010年4月25日日曜日
第3回Japan Endovascular Treatment Conference(JET)
六本木ヒルズ(うふ)で第3回Japan Endovascular Treatment Conference(JET)が開催されています(4/23-25)。

23日金曜日から参加するつもりでしたが、日常業務が立て込み断念、本日24日土曜日からの参加となりました。頚動脈、腎動脈、大動脈、下肢末梢血管、、、、全身の血管病に対する血管内治療を主体とする学会です。治療技術や各種デバイスの進歩には目を見張るものがあります。日々進化しています。大変有意義な時間を過ごさせて頂き、感謝感謝です。
ただ、心配なのは、その治療適応です。仮にも"学会”のLive demonstrationなのですが、治療適応に疑問が残る症例が少なくありません。腎動脈狭窄、腹部大動脈瘤、下肢動脈狭窄、などなど、至適な治療対象とは思えない症例への治療を行っていました。
腹部大動脈瘤のビデオライブでは、慈恵の大木先生が鋭い指摘をしており、約40mmと決して大きいとは言えないような瘤で、しかも屈曲病変でステントの至適病変ではない症例、しかもしかもendoleakが残るなど完璧ではない仕上がりな治療に対して"犯罪行為”、"マスタベーション”とバッサリ切っていました。one straight lineが確立されている状態での更なる下腿血管へのEVTに対してはその治療への意義の無さを理論的に説明した後、”患者にとっては何の利益も無い、時間の無駄、術者にとっては趣味だからいいけど”(苦笑)。独特の大木節ではありますが、単なる暴言ではなく、理詰めの意見で、説得力がありました。以前、大木先生は自分のことを”インターベンション界の良心”と表現していましたが、その通りかもしれません。表舞台の学会、Live demonstrationという舞台でさえ、こんな感じですから、日々の臨床ではもっともっと不適切な適応での治療が行われていることは間違いありません。雑誌の症例数ランキングを重視するようなC県の某病院は驚愕するような黒いインターベンションを施行していることは皆知っています。患者への不利益、医療財政圧迫などにもつながります。現在の医療崩壊を助長している一つの因子とも言えます。
低侵襲な治療を拡大、普及させることは大変重要なことですが、あくまでも患者の生命予後やQOLを改善させる為に行うことであることを、常に思考の中心に位置づけていたいと改めて思いました。

23日金曜日から参加するつもりでしたが、日常業務が立て込み断念、本日24日土曜日からの参加となりました。頚動脈、腎動脈、大動脈、下肢末梢血管、、、、全身の血管病に対する血管内治療を主体とする学会です。治療技術や各種デバイスの進歩には目を見張るものがあります。日々進化しています。大変有意義な時間を過ごさせて頂き、感謝感謝です。
ただ、心配なのは、その治療適応です。仮にも"学会”のLive demonstrationなのですが、治療適応に疑問が残る症例が少なくありません。腎動脈狭窄、腹部大動脈瘤、下肢動脈狭窄、などなど、至適な治療対象とは思えない症例への治療を行っていました。
腹部大動脈瘤のビデオライブでは、慈恵の大木先生が鋭い指摘をしており、約40mmと決して大きいとは言えないような瘤で、しかも屈曲病変でステントの至適病変ではない症例、しかもしかもendoleakが残るなど完璧ではない仕上がりな治療に対して"犯罪行為”、"マスタベーション”とバッサリ切っていました。one straight lineが確立されている状態での更なる下腿血管へのEVTに対してはその治療への意義の無さを理論的に説明した後、”患者にとっては何の利益も無い、時間の無駄、術者にとっては趣味だからいいけど”(苦笑)。独特の大木節ではありますが、単なる暴言ではなく、理詰めの意見で、説得力がありました。以前、大木先生は自分のことを”インターベンション界の良心”と表現していましたが、その通りかもしれません。表舞台の学会、Live demonstrationという舞台でさえ、こんな感じですから、日々の臨床ではもっともっと不適切な適応での治療が行われていることは間違いありません。雑誌の症例数ランキングを重視するようなC県の某病院は驚愕するような黒いインターベンションを施行していることは皆知っています。患者への不利益、医療財政圧迫などにもつながります。現在の医療崩壊を助長している一つの因子とも言えます。
低侵襲な治療を拡大、普及させることは大変重要なことですが、あくまでも患者の生命予後やQOLを改善させる為に行うことであることを、常に思考の中心に位置づけていたいと改めて思いました。
2009年12月12日土曜日
Kamakura Live Demonstration 2009

昨日は末梢、KNIC、本日はPCI。Kamakura Live Demonstrationに参加しています。湘南鎌倉病院ほどの大病院でも人手不足なのか、EVTのオペレーターは少々物足りなく、おまけにコメンテーターも経験豊富な方が乏しい時間帯もあり、正直学ぶことは少ないEVTライブでした。インターベンションの適応も???の症例も少なくなく、欲求不満の残る内容です。JESのほうが学術的、教育的には遥かに勝っていると感じました。
本日のPCIについては、バーチャル2F PCIは結構衝撃でした。良い面も感じましたが、悪い面も露呈され、勉強になりました。
Kamakura Liveは、"slender"を強調し始めた頃から少々eccentricな世界に進んでいるようで、明日の臨床に役立つライブ、、という感じではなくなってしまったような気がします。充実感では、先日の仙台新東京ライブのほうが遥かに勝っている印象です。といいつつも、明日も朝から参加する予定です(笑)!
2009年11月25日水曜日
2009年10月24日土曜日
カテーテル挿入で患者死亡
カテーテル挿入で患者死亡...大阪医療センター
数日前の報道です。詳細は分かりませんが、重篤な患者で循環呼吸状態が極めて不安定となり緊急でPCPS(経皮的人工心肺装置)を挿入する方針に至ったかと推測します。その際カテーテル挿入中に大腿静脈を裂いて、大量出血を生じたのでしょう。
これは人ごとではありません。PCPSは、心肺停止に至った状態やその寸前で挿入することが多いです。少しでも余裕があれば心臓カテーテル室で透視で確認しながらの挿入としますので比較的安全に手技が行えます。しかし病状の緊急度やその時の設備の使用状況でどうしてもベッドサイドで透視なしで挿入することがあります。その場合は、カテーテルに先立って挿入するガイドワイヤーの挿入位置が正しいかどうか不安になることは少なくありません。誤ったワイヤー位置に沿って脱血、送血管(カテーテル)を挿入すると今回のような致死的事態に容易に陥ります。結構太いカテーテルですし。正しい大腿動静脈にワイヤーを挿入できたか否か、可能な限りエコーでワイヤーの位置を確認していますが、ワイヤー挿入の感触のみで判断しカテーテルを挿入してしまうこともあります。緊急度が高ければ高いほど迅速な挿入が不可欠になりますのでそのように挿入しがちです。
今回のケースも、恐らくはPCPSを入れなければすぐに死に至る極めて重篤な病状であったと推測します。ぎりぎりの状況の中で、最善の策を講じ、その過程の中で生じた合併症。これで、業務上過失致死容疑で大阪府警が捜査を始めたとのこと。。。。同じような業務をしている者としては、厳しい対応と思わざるを得ません。
現場を知るものでないとなかなか理解できないことと思いますし、ましてや一般市民には理解不能のことでしょう。報道の表現を見ると、病院側が当然のように悪く思えてしまいます。もっと中立に表現してもらいたいものです。
医療現場の正当性が証明されることを期待します。
今回のケースから、PCPSを挿入する時は可能な限り透視装置下で挿入することを徹底する必要があると再認識しました。
亡くなった方の御冥福をお祈り申し上げます。
2009年8月29日土曜日
第4回JES 慈恵医大 大木隆生 バッチグー!

昨日は第4回Japan Endovascular Symposium(JES)に参加致しました。1日のみの参加でしたが、AAAやTAAに対するステントグラフト、下肢動脈や頚動脈に対するステント治療など色々な学びを得ました。大木先生は朝から晩まで大活躍でそのバイタリティーには感服致します。大木節も健在でした(笑)。外科医不足が社会問題化していますが、大木先生率いる慈恵医大外科学教室は新入医局員24人とのことで大盛況だそうで、その求心力には目を見張るものがあります。良き外科医、血管外科医が続々排出されればよいと思います。僕も血管外科には憧れるなー、入局しようかなーなんて思ったりして(時既に遅し!)。
一点、循環器医として、頚動脈ステントライブを拝見していて感じたこと。大木先生ほどの経験豊富な卓越した血管外科医、血管内治療医でもやはり厳しい狭窄の複雑病変に対する014ワイヤーのデバイス選択や操作に関してはそれほど精通していないように見受けられました。このへんは冠動脈インターベンションでは日常茶飯事のことであり循環器医が一日の長が有りそうです。循環器医として全身の血管病変に対する血管内治療に貢献できる部分は大いにあると実感しました。
そういえば、こんな記事もありました。まさに、小倉の横井先生のおっしゃるとおりです。
2009年7月17日金曜日
TOPIC2009

7月16日〜18日渋谷でTOPICというカテーテル治療の学会が開催されています。元々は心臓カテーテルの学会でしたが、今や下肢動脈や腎動脈、頚動脈など全身の血管治療についても盛んに行われています。今日は夕方前頃からの参加になりましたが、到着時に丁度講演中だった、小倉記念病院の横井先生の頚動脈ステント(CAS)のお話が大変印象的でした。頚動脈の狭窄に行うステント治療のことであり、脳梗塞を予防します。
日本ではCASは主に脳外科医が行っていますが、欧米では循環器医が行っていることが多いです。CASの際には反射で徐脈や低血圧が生じることが多いので循環器医が対応するほうが安全です。特にCASの適応となる患者は冠動脈3枝病変など重症心疾患を有している患者が少なくなく、低血圧が遷延すると容易に致死的事態におちいり得ますので、慎重な対処が望まれます。また使用されているフィルターデバイス(Angioguard XP)は014ワイヤー(細い)であり、冠動脈のワイヤーと同じ太さであり、その扱いは循環器医が圧倒的に慣れています。循環器医以外の血管治療医は035や、細くても018程度までのワイヤーの扱いが中心です。また、一部の血管内治療専門の脳外科医は別として、多くの脳外科医は通常の脳外科業務の傍らCASも行うので、経験症例数も決して多くなく、技術の向上も必ずしも速やかではないと言います。反面、数多くのPCIを施行している循環器医はカテ操作に関しては技術的に優れていることは当たり前のことです。もちろん頚動脈へのガイドカテの挿入など不慣れな面はありますが、基本技術がしっかりしているので上達は早いでしょう。CASの適応となる方は冠動脈以外にも下肢や腎動脈など全身の血管にも問題を生じていることが少なくなく、これらのスクリーニングや必要に応じ治療をすることを考えると、やはり循環器医が対応しやすいとも言えます。またこれらの患者は高血圧、高脂血症やその他の冠危険因子のコントロールが必須です。この辺も循環器が得意とする面です。
などなど、CASを循環器医が行うことの妥当性、必要性を挙げておられました。そして、脳外科の先生方にCASをお任せしていることは患者さんの為にならない、患者さんのために循環器医がCASを行うべきである、というようなニュアンスの結びをしていました。
かなり説得力のあるお話でした。水が上から下に流れるように、循環器医もCASをすべきであると言われているような気がしました(笑)。
脳外科の先生方がお聞きになると、勿論反論はあるでしょうが。。。
決して、脳外科の先生方を非難、卑下するものではありません。脳外科の先生方はただでさえ激務のなか、更に新たな分野の血管内治療にまで手を出すのも大変かとも思います。循環器医と脳外科医が互いに協力することで効率よく最高の治療を提供できれば良いわけです。
というわけで、一時興味があったものの最近は忘れかけていたCASにまた興味が湧きました。
2009年5月8日金曜日
また大木隆生
2月の末に慈恵医大血管外科大木隆生先生に御紹介させて頂いたDAA+TAA切迫破裂の患者さん(http://jblog20090211.blogspot.com/2009/02/blog-post_8132.html)。難易度の高い症例でしたが、ステントグラフトで急場をしのいで頂けました。詳細な報告書を受診直後と、治療直後に頂きました。その後慈恵の外来でフォローされていますが、患者さんは痛みはとれて元気に過ごされているということです。しかしながらendoleakにより瘤が拡大傾向にあり、ステントグラフトによる追加治療が必要とのことでした。先日大木教授からレポート用紙2枚に渡る、上記内容を含めた詳細な記載の経過報告書を頂きました。endoleakが生じた理由とともに、それに対する対処方法を複数(外科的開胸手術を含む)挙げた上で、成功率、合併症、侵襲度、などを総合的に考慮した上で最もバランスがとれた方針がステントグラフトであろう、、というような内容の記載でした。左右の頚動脈にバイパスをつないで、左総頚動脈をjailする形で大動脈弓部にステントグラフトを追加留置するようです。
元々極めて対処が困難な高齢患者ですから、万事うまく行くとは全く思っていませんでしたので、追加治療を要することになることは想定内のことでした。感心したことは、多忙な業務の中で、患者の治療経過を紹介元に逐一詳細な報告をしている大木教授の姿勢です。臨床家として学ぶべきことが多いです。
2009年4月15日水曜日
NHKプロフェッショナル雑感
大木先生は、患者に”有り難う”と感謝されないと一日たりとも外科医はやりたくないだろうと言っていました。彼は”喜ばれるため”に外科医になったと言います。
世のため、人のため、献身的な態度で医療を提供している医師はたくさんいると思われますが、患者の権利意識の高まりなどにより、感謝されないことが増えてきています。結果が伴わないと医療ミス扱いされることもしばしばです。心が折れたり、燃え尽きたりする医師が増えているのも納得です。
大木先生のような超一流でなくとも、自らの命を削って診療をしている医師がたくさん存在し、日本の医療を支えていることに、世の中の人が少しでも気づいて頂けたらいいと思いました。
もちろん、医師としてはおごることなく、患者への思いやりと日々のスキルアップを忘れてはいけません。
NHKプロフェッショナル 大木隆生
4月14日NHKプロフェッショナルに大木隆生先生が登場しました。想像を絶するようなモーレツな忙しさに納得し、それ故の時間を大切にしている姿勢が垣間みられ、尊敬の念を感じずにはいられませんでした。
経済的動機付けではなく、使命感ややりがいをその原動力とし、ことにあたる。それでいて自己の利害、時には命もかえりみない。いわばアマチュアリズムの極地がプロフェッショナルではないだろうか、と発言していました。これからも、彼の生き様を注目していきたいと思います。
身体を酷使しすぎているようで、ちょっと心配になってしまいます。
余談ですが、私が大木先生に御紹介した患者さんが放映されていました。
2009年4月12日日曜日
JET、というよりは大木隆生教授
4月10日にJapan Endovascular Treatment Conference2009に1日だけ参加しました。全身の血管疾患の血管内治療に関する学会で、血管外科や循環器内科、脳神経外科、腎臓内科、放射線科などなど様々な診療科の医師らが一同に会する、貴重な場ではないかと思います。未曾有の高齢化社会が迫っており、"血管とともに老いる”という言葉通り、今後も血管病は爆発的に増えていくものと思われます。
ライブ自体にはあまり目新しいものはなかったのですが、プログラムに掲載されていた慈恵医大血管外科大木教授の記事を興味深く拝見しました。絵に描いたようなアメリカンドリームを成し遂げ、アメリカで確固たる地位を築き、年収も億単位であったそうですが、そのような立場から、敢えて年収1/10の慈恵医大の教授に就任したわけです。人間は地位やお金では満足は得られない。人間はつまるところ衣食足りて「ときめき」を求める、そうです。他人の赤ちゃんのベビーシッティング(外国人の治療や育成)をして高額な収入をもらうのと、年収は1/10でもわが子(日本の患者や慈恵の後輩)の育児をするのとどちらがやりがいを感じるか?
凡人には理解は遠く及ばないわけですが、それでも共感を覚える行動、言葉です。
以下はプログラムに掲載されていた記事(ドクターズマガジン2008年11月号の記事)からの抜粋です。
資本主義の宿命とも言えますが、アメリカは全ての側面で短期決戦の国。そのため、企業においては成果主義、経済的インセンティブで社員に競争させ、近視眼的な成果を求める。その結果、社員同士の連帯感は薄れ、個人主義がはびこる。社員は評価対象とならない仕事からは「Not my job」と言って手を引き、組織への帰属意識の薄れも手伝い、会社を転々とすることでキャリアップを図ります。このように本拠地を持たない社会、自己中心がまかり通る社会がアメリカです。人間の普遍的な欲望は人から感謝されることなのに、彼らは短期決戦で富を得るのと引き換えに、仲間からの感謝や社会への貢献による満足感を捨ててしまった。ですから経済的に恵まれていても、アメリカ人で本当に幸せで、心穏やかに暮らしている人は驚くほど少ないのです。個人の利害関係でつながっているゲゼルシャフトたるアメリカ。その集団の虚しさを知っているからこそ、利害とは無縁の友愛をベースにつながっているゲマインシャフト、いわば村社会を、慈恵医大の外科講座で形成していきたいと思っています。それは、アメリカの指向する物質主義や個人主義に対する僕のアンチテーゼであり、生涯をかけて求めるものでもあります。
抜粋終わり。
個人のスキルアップに励むことは大変重要ですし、現代社会を生きていく我々には絶対に必要なことと思います。しかし”人間はつまるところ衣食足りて「ときめき」を求める”ということを凡人達も胸にしまっておく必要があると思います。自分としては地位もお金もありませんが、「ときめき」を感じやすい職業であり、いままで胸に詰まっていたわだかまりがちょっとだけ解けたような気がしました。
2009年2月25日水曜日
慈恵医大血管外科大木教授
大木隆生教授率いる、慈恵医大血管外科に患者さんを紹介させて頂きました。かなりハイリスクな解離性大動脈瘤の患者です。本日午前中に慈恵でCTを撮影しその後大木教授の外来を受診、そして緊急入院をさせて頂きました。予約で満杯なはずにもかかわらず、早々にステントグラフト治療を行って頂けるようで、迅速な対処に大変感謝しています。
驚いたことは、外来受診後早々の、午後12時30分にはレポート用紙3枚にもわたる詳細な報告書がFAXで届きました。CTのみならず問診、診察などから得られた詳細な情報と、治療方針とその方針の根拠などが詳記されています。超多忙にもかかわらず患者さんを非常によく診ていらっしゃること、なおかつ驚くほどの早さで詳細な報告書を作成、送信していることに感激しました。
全国からたくさんの紹介患者がいることと思いますが、各々このような報告書を作成しているかと思うと驚愕せずにはいられません。またこのようなシステムを構築していることに感心致しました。また紹介させて頂きたい気分にもなります。
最近大活躍の大木先生ですが、その新たな魅力を感じさせて頂いた一日でした。
あとは、患者さんの経過が良いことを祈るばかりです。
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