総合病院勤務医の日々の雑感、日常診療、特に循環器領域、BLS ACLSといった心肺蘇生教育等を中心とした日記です。 些細なことでも今日学んだことを皆様と分かち合い、明日に活かせれば良いと思っています。
2012年2月28日火曜日
15-30分、5-10分
If the initial ECG is not diagnostic but the patient remains symptomatic and there is high clinical suspicion for ACS, serial ECGs, initially at 15- to 30-min intervals, should be performed to detect the potential for development of ST-segment elevation or depression. (Level of Evidence: B)
AHA STEMIのガイドライン
If the initial ECG is not diagnostic of STEMI but the patient remains symptomatic, and there is a high clinical suspicion for STEMI, serial ECGs at 5- to 10- minute intervals or continuous 12-lead ST-segment monitoring should be performed to detect the potential development of ST elevation. (Level of Evidence: C)
使い分けは難しい。。。。
5-10分で再検しましょう。その前に可能ならば循環器医を呼ぶことを、個人的には推奨です。
2010年12月19日日曜日
繰り返し。。。
元来健康。胸痛既往なし。
朝9時頃突然胸痛が出現、冷汗あり。その後やや軽減し、鈍痛となるも症状消失せず。10:30救急外来受診。
受診時BP143/93,P86,SpO299%、バイタルサインは保たれており、身体所見では著明な異常所見なし。
対応した研修医はすぐに心電図記録。

研修医は、明らかな異常はないと判断。かつ、トロポニン定性検査陰性。その他採血異常なく、胸部レントゲンも異常なし、、、、、。胸痛の原因はよくわからず。救急外来のベッドで横になってもらいつつ経過観察。
それでも改善しないため、12時頃になり、循環器の当直に連絡がありました。「一応診てもらえますか?」
すぐに救急外来に行き、診察。まだ胸部の鈍痛が持続しているとのこと。ECGは来院時の一度しか記録していなかったのですぐに再検してみました。しかし経時変化なし。来院時同様正常範囲内の所見。しかし胸部正中の圧迫感、鈍痛、即ち虚血性胸痛に矛盾しない症状が持続しており急性冠症候群は否定できません。すぐに心臓超音波検査を施行したところ、下壁領域で壁運動が低下しているように見える部位があります。広範ではありませんが、急性心筋梗塞の可能性十分ありと判断し、すぐに冠動脈造影を施行しました。
右冠動脈#4の末梢病変でしたが、完全閉塞していました。primary PCIし、CCU帰室しました。
結局1.5時間循環器コールが遅れ、その分心筋ダメージが増えたと推測されますが、幸い、合併症なく順調に経過しています。
研修医には、心電図が正常で、心筋マーカー陰性の急性心筋梗塞もいるから、胸痛患者を目の当りにしたら諸検査が正常でもすぐに循環器医を呼びなさい、と再三指導しているのですが、何度言っても、この繰り返しです。循環器医は怖いから呼びづらい、、、との意見は以前から耳しています。この辺は当方も改善せねばいけません(苦笑)。
それ以外にも、以前ちょっと御紹介した本の一説。
人々が知ったことを行動に移さない(移せない)三つの理由
『情報過多』多量の知識を1,2度学ぶより、少量の知識を何度も学んだほうがいい
『ネガティブなフィルター装置』
『フォローアップの欠如』一にも、二にも、三にも、繰り返すこと
この辺にkeyがあるのかなとも思っています。
ガイドライン的にも、胸痛患者で12誘導心電図で明らかな異常がなくとも、ACSの可能性が否定できなければ、5-10分毎に心電図を記録し経時変化をとらえること、とされています。今回は、結果的には経時変化はなかったものの、そんな対策も講じていません。そもそも、初めの12誘導心電図は救急専門医、循環器医と判断すべきと推奨されています。
毎年同じ事言っています(苦笑)。
2010年11月20日土曜日
小児病院
結局ACSからのVFで、PCPS、PCI、低体温療法などで対処しました。
小児科の先生方も、ACLSはしっかりとマスターされているようです。さすがです。
自分は、、、、PALS未受講です。うーん。近いうちに、受けようかな。
さすが小児科の先生と思った点。静脈路が確保しずらかったのでしょうか、腸骨と脛骨近位に1本ずつ、計2本の骨髄路が確保されていました。きっと慣れているんでしょう。ぱちぱち。
2010年11月1日月曜日
外科→耳鼻科→耳鼻科→循環器内科
1-2ヶ月前頃から、歩行すると100m程度で心窩部痛、両側顎下部痛がみられていた。疼痛出現後も歩行を続けていると、少し楽になるときもあり、休むとすぐに疼痛改善見られた。症状の出現はほぼ毎日であった。
相変わらず同症状が出現するため心配になり、かかりつけの外科を受診。腹部エコーにて胆石あり、これによる痛みか、NSAIDsによる症状が疑われ、上部消化管内視鏡を予約し帰宅。また、顎下痛に対して耳鼻咽喉科受診を勧めらたため、2日後近医耳鼻科を経て当院耳鼻科受診。エコー等が予定された。
その2日後の朝、胸痛・心窩部痛で覚醒、起床、冷汗あり、顎下部痛も伴った。改善せず、救急外来受診。
BT 36.1℃ HR 79 BP 162/114 SpO2 98%

V1-4でST上昇みられ、STEMIと診断、CAG施行し、左冠動脈前下行枝の完全閉塞認め、primary PCI、ステント留置し早期再灌流療法を施行しました。その後経過は順調でした。
8月からの症状は心筋虚血による労作性狭心症だったようです。危なかったです。心窩部痛は、やっかいです。顎への放散もくせ者です。かつて同様のケースで歯科を受診してしまった方もいました。いずれも、虚血性心疾患も頭の片隅にいれておく必要があります。後出しジャンケンですが、このような経験を皆で共有することが大事です。
循環器に限らず、その分野を専門としない者も、致死的となりうる病態を見逃さない視野の広さが求められます。人ごとではありません。気をつけましょう。
2010年3月15日月曜日
ST上昇していなくてもSTEMI
高齢男性。胸痛にて救急外来受診。心電図は前胸部誘導で著明なST低下。

対応した当直医は、心筋虚血を疑いCCUに入院させたものの、STは上昇しておらず、STEMIに対する早期再灌流療法を意識しなかったようです。その後幸い上級医が介入する機会があり、結局緊急CAGを施行しました。左冠動脈回旋枝の完全閉塞で、PCI、早期再灌流療法を施行しました。
後壁領域の急性心筋梗塞は、貫壁性虚血であってもST上昇しないことが多々あります。前胸部誘導で著明なST低下を認める場合は、後壁領域の"STEMI"を頭に入れておくことが必要です。
V1-3付近のR波増高、V2-3付近の先鋭T波、V1の陽性T波などが参考になります。
通常の12誘導ではST上昇していなくても、V7-9ではST上昇します。
2010年2月9日火曜日
いまさらMONA
ECCハンドブック2005 P28を見ると、MONAの投与順は酸素、ニトロ、アスピリン、モルヒネ、と明記されていました。
ECCハンドブック2008 P28には、酸素、ニトロ、アスピリン、モルヒネの順に記載されてはいますが、2005版と異なり"投与順"とは明記されていません。
書いてあることが微妙に異なるんですね。受講生は混乱しそうです。
我々の周囲では、アスピリンは酸素、ニトロより後に投与することが多い、といった意見が主流です。
リソーステキストの記載については、アスピリンを救急隊が所持していたり、救急箱に入っていたりと、日本より普及している背景の相違があるのかもしれません。
2010年1月15日金曜日
STEMI?
高齢者。意識障害で救急搬送。搬送中に心室細動になりました。電気的除細動等で対処、VFは繰り返しましたが、その後PEAを経て自己心拍再開しました。そして記録した12誘導心電図。

STEMI→VF??カテか!?なんて話になりましたが、情報を集めてみると、なんと体温23度。
ST上昇して見えますが、これは貫壁性虚血ではなく、J wave(Osborne wave)なのでしょうか。
J wave(Osborne wave)とは、低体温の時等に見られるQRS終末とST部分の早期の間あたりに見られる波のことを言います。
心エコーでも明らかな局所的左室壁運動異常は認めませんでした。
復温後の心電図です。

ST付近の変化も軽減致しました。
都会では重症低体温の頻度は恐らくあまり多くはないと思いますので、勉強になりました。
2010年1月8日金曜日
とあるSTEMI

2,3,aVFでST上昇、3,aVFではQ派も伴い、明らかに下壁心筋梗塞って感じですが、循環器専門医が対応し、心臓超音波検査で壁運動異常なく、心筋マーカー陰性。急性冠症候群ではないとして帰宅しています。ホントかな(汗)??、、、という気もしますが。その先生はエコーの本も出版しているくらいの専門家ですから本当だったはずです。
まあ、いずれにせよ、その後全く問題なく経過していたようです。
今回胸痛を主訴に救急外来再受診されました。心電図。

前回と比し少々変化がありますね。今回は心臓超音波検査で壁運動異常を認め、心筋マーカーも上昇しており、ホントに急性冠症候群で、緊急CAG、RCAへのprimary PCIが施行されました。
1年前、本当にSTEMIではなかったのか、わかりませんが、もしそうだとすると、心電図の奥深さに驚嘆せざるをえません。
2009年12月20日日曜日
2009年12月8日火曜日
STEMI?

心エコーでは左室心尖部の壁運動低下所見あり。
STEMIを疑い、緊急CAG施行するも、冠動脈に有意狭窄なし。左室造影ではいわゆるタコツボ様。
頭部CTを撮影したところ、派手なくも膜下出血でした。くも膜下出血による心肺停止、タコツボ型心筋症併発、という病態だった可能性が高そうです。心肺停止に至ったくも膜下出血ですから、もともと厳しい病状であったわけですが、CAGの時にヘパリンを使っており、更に追い打ちをかけてしまった可能性があります。
しかしながら、緊急CAGを施行した判断は決して責められるものではありませんし、やむを得ないとも思います。
このようなケースでは、卒倒の状況、その時の随伴症状の有無、救急隊現着時の心電図所見、自己心拍の戻り具合、心エコー所見、心電図所見等の情報を慎重に吟味し、頭部CTを優先するかCAGを優先するか判断する必要がありそうです。
2009年12月4日金曜日
難しいけれど
先日も急性大動脈解離の患者が背部痛を訴え、整体に行ってマッサージをしてもらっていたというエピソードがありました。胸や背部、肩などの痛みで、整形外科を受診した急性大動脈解離や急性冠症候群の方も稀ではありません。
整形外科医、按摩マッサージ指圧師、柔道整復師、整体師など背部や肩、腕の症状を訴える方を目の当たりにする機会の多い方は、急性冠症候群や急性大動脈解離などの致死的心血管疾患を頭の片隅に入れておくことは大変重要と改めて感じた次第です。肩や背中の不調を訴える方は星の数ほどいらっしゃいますので、頻度は稀でしょうが、、、。
2009年11月1日日曜日
また大たこ

2009年10月27日火曜日
2009年10月13日火曜日
2009年9月9日水曜日
経時的心電図変化
STEMIのガイドラインでは急性冠症候群(ACS)を疑う患者が救急外来に来たら10分以内に12誘導心電図を記録するのはクラス1の推奨です。
しかし、その心電図で診断がつかない場合も少なくありません。
そんなとき、循環器医としてはすぐさま心エコーで壁運動異常を評価するものと思います。しかし非循環器医としては、なかなか難しいかもしれません。
ACLS Resource Textには、「もし初めの心電図で診断がつかない場合は、経時的心電図記録を推奨する。心電図再検のタイミングを決める必要があるが、少なくとも初めの心電図から1時間以内には再検しなければならない。患者の症状が持続している場合や、臨床的にSTEMIを強く疑う場合は5−10分以内に再検せよ。」とあります。
初めの心電図でST上昇していると思いましたが、症状は消失しているし、心エコーで明らかな壁運動異常は認めませんでしたので、リスクは高くないと思いのんびり対処してしまい、経時的心電図記録は少々遅れてしまいました。提示されている経時的心電図は初めの心電図から30分後のものです。
ST上昇も軽減し、T波終末陰転化も認めますし、まさに経時的変化ありです。症状と合わせて考えれば、心筋虚血を来していた可能性は極めて高いと判断できます。
心エコー等せずに、さっさと5分後に経時的心電図を記録していれば次なるアクションはもう少し早かったかもしれません。
まあ、このケースは緊急カテせずとも、予後は変わらないでしょうが。
研修医や非循環器医の先生方も、経時的心電図の重要性を理解している方は少なくありませんが、症状が残存している時でもそのタイミングが遅いことが多いと感じています。
5−10分後の再検をこころがけましょうねん。
2009年9月8日火曜日
STEMIのふとした疑問


2009年8月29日土曜日
心筋梗塞早期診断
2009年8月21日金曜日
2009年8月19日水曜日
高齢者ACS



