六本木ライブでふと思った事。日本で重症多枝病変にPCIをすることが多い理由は、「日本人はロジカルに物事を考える教育を受ける機会が少ない環境で育ってきたから」、という仮説。
複数の冠動脈に狭窄病変を有していたり(多枝病変)、特に左冠動脈主幹部という重要な部位に狭窄病変を有していたりすると、PCI(カテーテル治療)よりもCABG(冠動脈バイパス手術)が選択されることが世界的には一般的です。生命予後や、再治療を含めた治療回数、非致死的イベント、治療コスト、等が、PCIよりもCABGのほうが少ないからです。要は、良好な経過を辿る確率が高いわけです。
欧米ではそのような考えに基づいて治療選択されますので、CABGの割合が高いです。日本は、PCIの割合が高いです。多様な理由が混在している、例えば、欧米は重症多枝病変が多いとか、病院がセンター化されているので1病院あたりの症例が多く、CABGの技術が高いとか、器用でないのでPCIが上手でないとか、逆に、日本のCABGは症例が少ない施設であると技術が劣るとか、PCIは器用で上手とか、切られるのを避けたい文化とか、、、、。保険制度の相違も1つでしょう。確かに、その環境に応じた判断を最終的に下すことはあり得ることではあります。
日本の教育は、いわゆる受験勉強で、あまり考えない教育。即ち、「答え」があって、それを覚えて、試験で再現できれば成績良好、、、ということが主です、少なくとも我々の時代はそうでした。従って、あまりロジカルに物事を考えて行く習慣が成長過程で促されません。一方、欧米は、グループディスカッションや、ディベート等、自分で考えて、意見する、といった教育がとられていることが多いと理解しています。限られた情報の中で判断し、最善解、即ち相対的に最も確率の高い選択肢を選ぶ。そうでないと、人を説得することはできません。そのような習慣が、幼少時から根付いています。そのような背景がありますので、多枝病変に対する治療は、現在までに蓄積されたデータから判断すると、CABGを選択することが最も確率的に良かろう、という判断が導かれることは、当然のことです。日本は、何となく低侵襲だからPCIが良いのでは、とか、患者が希望しないからとか、一見最もらしい理由でCABGでなくPCIが選択されることが多いです。そこに明確なロジックが存在しない場合が少なくないと感じています。
最近「教育」に接する機会が多いせいか、自分なりに、これまでとは異なった切り口・視点で物事を見ることがたびたびです。
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