2011年11月3日木曜日

VT ?




HR150程のQRS幅の狭い頻拍に、アデホス(ATP)5mg を急速投与したところ、装着していた心電図モニター画面全体がこんな波形となり、HR280くらいのデジタル表示になりました。

アデホスでVTになっちゃった???

と一瞬思ってしまうような現象でしたが、何の事はない、心房粗動の心室伝導が低下したことで、鋸歯状波が明瞭となっただけでした。心電図モニターが鋸をR波として認識し、誤カウントしたようでした。おどかすなよー(笑)。





結局は、すぐに元の心房粗動2:1に戻りましたが、何が起ころうとも対処できるように、アデホスを使用するときは除細動器をそばに置いておく事が基本です。

2011年10月31日月曜日

しつこく、手の位置

前回10/23の記事に関し、同じような経験を複数しているという方から御連絡を頂きました。都内の某救命センター。VF,MI,CPAで救命センター搬入され、自己心拍再開、PCIもうまくいったが、その後急速に貧血が進行し、ショックに陥ったそうです。結論としては、肝損傷→腹腔内出血。恐らくは胸骨圧迫によるもの。どのような機序で、肝損傷に至ったか明らかではありませんが、そんな可能性を少しでも減らすべく、正しい手の位置を守ることは、やはり、大切そう。

2011年10月23日日曜日

また、手の位置





半年前にも同じような記事を書いていますが、改めて。

高齢者の心肺停止例。重症ACS➡PEAの病態(なぜか、一度もVFにはなりませんでした。)。皆さん頑張って、必死に、chest compressionしてくれました。G2010のHigh Quality Compressions。少なくとも5cm、少なくとも100回/分。より強く、より速く。ずいぶんと浸透していると思います。


上の画像は、1時間近くのCPRの後のもの。
chest compressionによると思われる、肋骨骨折(右第四)、左気胸、肺胞出血。CPR中、挿管チューブから鮮血が多量に出ていました。その後の採血で、貧血も著明に進行しました(Hb12➡6)。

反省点は、やはり「手の位置」。手の位置が胸骨からずれることが多々あり、これが上記状態を助長したと推測しています。
闇雲に、強く、速く、押しましょう、、、、では絶対にだめなんだと改めて感じました。

いつも繰り返しになりますが、chest compressionは、「胸骨圧迫」と訳されています。言葉通りの実践が大事。
胸骨(下半分)だけに力を集中させるようなcompressionを施して、少しでも臓器損傷の確率を下げることを留意しなければいけません。

また、実際のCPRの現場で是正させようとしても、なかなか難しいです。普段からシミュレーショントレーニングで、意識し続け、そして繰り返し練習をしていないと、現場での実現は難しいと思いました。

2011年9月14日水曜日

院外心肺停止に対するアドレナリンの効果

Effect of adrenaline on survival in out-of-hospital cardiac arrest: A randomised double-blind placebo-controlled trial.
(Resuscitation. 2011 Sep;82(9):1138-43. Epub 2011 Jul 2.)


背景:心肺蘇生においてアドレナリンは長年標準的に使用されているが、生存率改善を示した臨床試験はほとんどない。この研究の目的は、院外心肺停止患者に対し、アドレナリン投与することで生存退院率が向上するか否かを調べることである。
方法:院外心肺停止患者におけるアドレナリンの二重盲検無作為プラセボ対照試験。ALSのガイドラインに従い、傷病者にアドレナリン1mgまたはプラセボ(生理食塩水)を無作為に投与しCPRを行った。一次アウトカムは生存退院、二次アウトカムは病院前自己心拍再開(ROSC)と良好な神経学的予後(CPC1-2)。
結果:研究期間中の4103人の心肺停止の内、601人を無作為に2群にわけた。不十分なデータ例をのぞいた534人が解析対照。プラセボ群262 人、アドレナリン群272人。年齢、性別、バイスタンダーCPRの有無など、両群の患者背景はよく合致していた。ROSCはプラセボ群22人(8.4%)、アドレナリン群64人(23.5%) (OR=3.4;95% CI2.0-5.6)。生存退院はプラセボ群5人(1.9%)、アドレナリン群11人(4.0%) (OR=2.2; 95% CI0.7-6.3)。うち、アドレナリン群2人以外全員はCPCスコア1-2と良好であった。
結論:心肺停止患者に対するアドレナリン投与は、自己心拍再開率を改善させたが、生存退院率改善については統計学的有意差はなかった。



アドレナリンには確たるエビデンスはないものの、心肺蘇生においては標準的薬剤とされており、こんなRCT、よくぞ倫理的に許容されたものです。しかしながら、どうやら倫理的問題を提起する意見もあったようで、予定通りに研究を進めることができず、nも予定よりだいぶ減ってしまったようです。RCTとは言え、限界も色々とあるようですが、それでも、もう少しnが多ければ生存退院率に有意差が出た可能性があり、惜しい気がします。もう二度とこんな研究はできないことでしょう。

2011年7月18日月曜日

あきらめないこと

なでしこJAPAN、ワールドカップ優勝おめでとうございます。

試合をご覧になっていた方は誰もが思っていたと思います、実力の差は歴然。USAの攻撃はスピード、技術、パワー、いずれもJAPANより遥かに上です。

USAチーム、USAサポーターは、まさか負けるとは思わなかったでしょう。
試合を観ていたJAPANサポーターの多くも、正直なところ、(勝ってほしいとは思いつつも)まさか勝つとは思わなかったのではないでしょうか。

天皇杯で、Jリーグチームと高校チームが戦っている感じ(笑)。

でも、泥臭く、頑張りました。あきらめないこと、本当に大事と思いました。

2度リードされながらも、あきらめずに追いつきました。その執念、粘りは、世界一の価値があります。

当たり前ではありますが大事な大事なことを、朝早くから再認識させてもらいました。


もう1つ。
最後のPK戦の前のJAPANチームの円陣のなかで、佐々木監督が抜けるような笑顔をしていたのが印象的でした。勝利のポイントの一つだったかもしれません。

2011年7月17日日曜日

実践

一昨日、昨日と、連日CPRをしつつPCPSを挿入する機会がありました。自分はPCPSを挿入する側であったのでいわゆるCPRには直接関与しませんでしたが、他の方々の懸命なるCPRを横目で見つつ手技を行いました。

以前に比し、" High Quality CPR" "High Quality Compressions"を意識していることは明らかでした。さすが救命センターの面々です。現場も進歩しています。

強く、速く、絶え間なく、のcompressionでした。

ただ、フルリコイルの実践は、この3点より難しそうです。実際の傷病者のリコイルは、マネキンのリコイルと異なり、より確認しずらそうですが、とにかく意識し続けることがまずは大事だと思いました。

手の位置も、いい加減になりがち。"胸骨"圧迫 の意識をもっと持つことが重要と感じました。

参考

もう一つ。いずれの患者も気管挿管しましたが、やっぱり過換気になりがちでした。"過換気を避ける”ことは現場では最も難しいスキルの一つです。油断するとすぐに速くなる(苦笑)。常に、”過換気を避ける”ことも意識していないと実践が難しいと再認識しました。
ちょっと前の文献ですが、こんなものもあります。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17130392

呼吸確認脈拍確認

心肺停止の判断において、頚動脈の脈拍確認は、医療従事者でさえ難しい技術であることは以前から言われていることです。ですから、一般市民には推奨されていません。医療従事者は一応試みますが、時間をかけてはいけません。

AHAのBLS for HCPでは、意識の確認+呼吸をざっと確認→EMS立ち上げ・AED要請→脈拍確認 の流れ。
JRCは、意識の確認→EMS立ち上げ・AED要請→呼吸の確認+脈拍確認 。

JRCガイドラインの記載では、「市民救助者は心停止確認のために脈拍の触知を行うべきでない。医療従事者であってもCPR に熟練していない救助者は同様の対応でよい。一方、熟練救助者は患者の呼吸を観察しながら、同時に頸動脈の脈拍を確認してもよい。」 となっており、呼吸確認と脈拍確認を同時にやりなさい、とは書いてありません。

昨日のICLSコースでは、同時にやるように指導する方針になっていました。ちなみに、呼吸の確認は「見て聞いて感じて」でした。
実際に受講生が同時に行っている姿を拝見すると、ほぼ全受講生、脈拍確認がかなりおざなりになっていました。脈拍確認だけでも難しいスキルなのに、呼吸を見て聞いて感じながら同時に脈拍確認することは相当に難易度が高いと感じました。超熟練救助者限定スキルです(笑)。

AHAの流れのほうが、自然だし、技術的に習得しやすいかなという印象を抱きました。