2010年4月20日火曜日

昨日のtachycardia

高齢女性。軽い動悸のみで症候は乏しいが、頻脈あり、とのことで他院から転送されてきた方。他のバイタルサインは問題ありませんが、御指摘のようにHR150bpm程の頻拍。






初期研修医と対応。研修医に質問してみました。
「安定したQRS幅の狭い頻拍ですね。どんな不整脈が鑑別に挙がりますか?」
「・・・・洞性頻脈!」
「他には?」
「・・・・・・・・・・・」

この初期研修医、昨年循環器科をローテートしているし、循環器科が行った不整脈の勉強会にも参加しているはずなのですが。。。。
narow QRS tachycardiaの鑑別、対応法は十分にお伝えしているつもりなのですが、なかなかご理解頂けていないようです。
優秀な研修医が集うとされている当病院。指導医としての伝え方が不十分なのでしょう、きっと(苦笑)。反省。

洞性頻脈の他の鑑別、上室性頻拍(PSVT)、心房粗動(2:1伝導)といった代表的鑑別を解説した後、ATP(アデホス)を急速静注。
鋸歯状波が明確となり、AFL2:1伝導と結論し、ヘルベッサーにて心室応答コントロールの方針に至りました。

教育とは難しいものです。
先日読んだ本の一説。
「一度しか読んだり聞いたりしたことのないものは、ほとんど覚えていられない。だから、「少数のものを何度も」学ぶべきであり、「多数のものを一度、二度」学んでも意味がない。」
情報過多が、知識の実践の障壁になっているとのことです(なぜ、ノウハウ本を実行できないのか ケン・ブランチャード+ポール・J・メイヤー+ディック・ルー著)。




医療の発展とともに”情報過多”が余儀なくされる現状。研修医も、勿論我々ベテラン(苦笑)とされる年代の医師も、なかなか苦労の連続です。

どの科に進んでも遭遇しうる循環器疾患の初期対応。
ベーシックなことを繰り返しお伝えし、身につけて頂く。これが自分の重要な業務の一つと思っています。
この分野においては、AHA ACLS の教育スタンスは、大変有用なmodalityと思っています。

2 件のコメント:

  1. 知っていても実際に出てこなければ意味ないですが、、、、、難しいですね。

    紹介して頂いた本、アマゾンで予約しました!!

    返信削除
  2. Kim先生、有り難うございます。
    この本、すぐに読めて、なかなか面白い本です。

    返信削除