総合病院勤務医の日々の雑感、日常診療、特に循環器領域、BLS ACLSといった心肺蘇生教育等を中心とした日記です。 些細なことでも今日学んだことを皆様と分かち合い、明日に活かせれば良いと思っています。
2010年12月15日水曜日
Boston Scientific Guidewire Kinetix 使用禁 詳細
ようやく、時間がとれたので少し詳しく書きます。
RCA#1distal-#2distalのCTOへのPCI。LAD-Septal経由のRetrograde approachで、CorsairをCTO遠位端まで持ち込み、Reverse CARTでRetroのMiracle3gをRCA近位の真腔に進ませようとしましたが、少し引っかかるので、よりソフトなGWのほうがよいかなと思い、サンプル使用で出していたBonston Kinetixに変更、RetroのCorsairに挿入し操作していたら突然stuck! 全く動かなくなりました。何が起こったか分かりませんでした。押すこともできない、引くことも出来ない。しばし操作するも、Kinetixの先端がCorsairから出るか出ないかくらいの位置から、微動だにしませんでした。仕方ないので、かなり強い力で引っ張ったところ、"ブチッ”という音とともにKinetixが抜けてきました。切れたかと思いましたが、幸い? 切れていませんでした。原因はよくわからないと思いつつも、今度はRunthrough NSを挿入しようとしましたが、途中でつっかえて進まなくなり、Runthrough NSをCorsair先端から頭を出すことができませんでした。Corsairが詰まっているようでした。試しに、Conquest proも挿入してみましたが、これも途中で当たり、Corsair先端から頭を出すことができませんでした。えいえい、と強めに突いてもだめでした。Corsair内に何かが詰まっているか、閉塞しているか、でした。Retrograde のCorsairは機能不全に陥り、結局泣く泣く抜きました。抜いたあとも、Corsair内を水をフラッシュすることはできませんでした。
その後、antegrade approachに際しても、別のCorsairにKinetixを入れて操作する機会がありましたが、またまたStuck。これも同様に、その後Corsairは糞詰まりになり使用不可となりました。
このPCIでは、他にRunthrough NS Floppy、FielderFC、Conquest pro、Miracle3g、、など多くのGWを使用していましたが、Kinetix以外のGWでは全くstuckするような現象は生じませんでした。
ちなみに、ACTは30分毎に測定し、300秒以上を維持していました。
Kinetixだけが、2度も同じ事態が生じるとは、やっぱり、Kinetixのせいと思ってしまいます。原因を解明してもらいたいものです。それまでは絶対にKinetix+Corsairは使用しないほうが安全です。
Bostonの担当者に聴けば、湘南鎌倉病院でも同様のstuckが生じて、同院ではKinetix不採用となったとのこと。その一件の後、Kinetixの膨張実験なども施行したそうですが、明らかな異常は呈さず、原因は不明のままと。
Kinetixが原因と言い切れずとも、そのようなことが有ったのなら、予め教えておいてほしいものです。
危険となりえる事象が生じていたにもかかわらず。それを伝えずに使用を促している態度が、問題です。
自分の情報収集不足とはいえ、しばらくBostonのものは使いたくありません。。。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿