2010年4月27日火曜日

J Walk

J Walkといえば、かつて、" 〜夏♪♪♪"、、なんて歌で一世を風靡したJ-POPグループを思い出しますか?僕も大好きで、カラオケでも良く歌いました(笑)。
でも、お薬でつかまっちゃったし、もう、忘れてください。

今は、J Walkといえは、これです(笑)。

正確には、"j.WALK"みたいです。

join the WALK(Wound-care And Limb-salvage coalitation in Keihin)


先日のJETで、済生会横浜市東部病院の平野先生の熱いプレゼンテーションに心打たれました。
糖尿病を初めとする末梢血管疾患、下肢血管病患者さんに対する集学的治療に関する活動です。

足の血管が狭窄、閉塞して、足がくさっちゃうんです。
その治療は一筋縄にはいきません。血流改善のための血行再建、これとて、循環器内科、放射線科、血管外科、、など複数科の協力が必須です。虚血が進行し、皮膚変化があらわれれば皮膚科の関与もあり得ます。壊疽が進行すれば、形成外科、下肢切断が余儀なくされれば、整形外科、幸い良くなれば、再発予防で、当然糖尿病内科など。医師以外にも、看護師によるケア、栄養士や、検査にたずさわる検査技師、、、、、、関わる方々を挙げればきりがありません。

済生会横浜市東部病院では、平野先生の献身的な姿勢により立派なチームが形成されているようですし、それでも不足している面については、神奈川周辺による地域連携”J Walk”により、難治な患者さんを救肢、救命しているそうです。

j.WALKを活用した、涙が出るような、良いお話も披露してくれました。

本当に素晴らしいです。このコンセプトが全国に広がるとよいですね。

2010年4月26日月曜日

大動脈解離へのEVT

意外と多い急性大動脈解離。

Stanford A型は原則外科的加手術。

Stanford B型は、

合併症がなければ薬物加療。
合併症があれば外科的手術。

合併症とは即ち、破裂か、虚血。

これが、今現在のスタンダード。

Stanford A型の外科的加手術、多くの場合、異論はありません。

Stanford B型合併症なしなら薬物加療、これも異論はありませんが、慢性期に瘤拡大を来せば外科的加療に移行します。ところがどっこい、この成績が悪い。すこぶる悪い。なぜ悪いか?瘤が広範かつ著明に拡大するから。ならば、拡大する前に、対処すれば良いのでは?
拡大しやすいのは、胸部にエントリーがある症例、急性期に40mm以上の拡大がある症例。このような症例に、亜急性期にエントリー閉鎖でステントグラフトしちゃえば良い。なるほど。

B型で、合併症あれば,緊急ステントグラフト、これも症例によっては良き選択枝。特に虚血の場合は、エントリーにステントグラフト+閉塞部位にfenestration(+fenestration後も狭窄残ればステント)。

先日のJETでの、森之宮病院の加藤先生の大動脈解離へのステントグラフト治療の講義には感銘を受けました。

心血管系疾患を日々扱っている医師としては、患者へ少しでも良き治療を施すために、身につけなくては行けない技術かもしれない!、と思ってしまいました。

2010年4月25日日曜日

第3回Japan Endovascular Treatment Conference(JET)

六本木ヒルズ(うふ)で第3回Japan Endovascular Treatment Conference(JET)が開催されています(4/23-25)。




23日金曜日から参加するつもりでしたが、日常業務が立て込み断念、本日24日土曜日からの参加となりました。頚動脈、腎動脈、大動脈、下肢末梢血管、、、、全身の血管病に対する血管内治療を主体とする学会です。治療技術や各種デバイスの進歩には目を見張るものがあります。日々進化しています。大変有意義な時間を過ごさせて頂き、感謝感謝です。
ただ、心配なのは、その治療適応です。仮にも"学会”のLive demonstrationなのですが、治療適応に疑問が残る症例が少なくありません。腎動脈狭窄、腹部大動脈瘤、下肢動脈狭窄、などなど、至適な治療対象とは思えない症例への治療を行っていました。
腹部大動脈瘤のビデオライブでは、慈恵の大木先生が鋭い指摘をしており、約40mmと決して大きいとは言えないような瘤で、しかも屈曲病変でステントの至適病変ではない症例、しかもしかもendoleakが残るなど完璧ではない仕上がりな治療に対して"犯罪行為”、"マスタベーション”とバッサリ切っていました。one straight lineが確立されている状態での更なる下腿血管へのEVTに対してはその治療への意義の無さを理論的に説明した後、”患者にとっては何の利益も無い、時間の無駄、術者にとっては趣味だからいいけど”(苦笑)。独特の大木節ではありますが、単なる暴言ではなく、理詰めの意見で、説得力がありました。以前、大木先生は自分のことを”インターベンション界の良心”と表現していましたが、その通りかもしれません。表舞台の学会、Live demonstrationという舞台でさえ、こんな感じですから、日々の臨床ではもっともっと不適切な適応での治療が行われていることは間違いありません。雑誌の症例数ランキングを重視するようなC県の某病院は驚愕するような黒いインターベンションを施行していることは皆知っています。患者への不利益、医療財政圧迫などにもつながります。現在の医療崩壊を助長している一つの因子とも言えます。
低侵襲な治療を拡大、普及させることは大変重要なことですが、あくまでも患者の生命予後やQOLを改善させる為に行うことであることを、常に思考の中心に位置づけていたいと改めて思いました。

2010年4月21日水曜日

カテ室で

心臓カテーテル室での話。
重篤なAMIなどの緊急カテの場合は除き、何らかの原因でVT、VFが生じた時でもすぐに電気的除細動を施せますので、復調直後に循環もすぐに回復し、胸骨圧迫を引き続き要することは稀です。ACLSインストラクターとしては、通常のアルゴリズムの通り、カテ室内でも電気的除細動の後はすぐさま胸骨圧迫をするよう推奨していますが、ほとんどの場合はすぐに止めることになります。

先日、PCI中にVFが生じました。十数秒のうちに電気的除細動を施し、すぐに胸骨圧迫をしてもらいましたが、(通常のACLSのプロトコールを逸脱しますが(苦笑))一瞬胸骨圧迫を止めると、除細動は出来ているものの圧は出ていなくて、なんとPEAでした。汗!。胸骨圧迫を継続!。動脈圧ラインでは収縮期圧ですが、100mmHgを超えるほどの圧を確認でき、恐らくは有効であろう良き胸骨圧迫を若者がしてくました。勿論AHA BLS,ACLSプロバイダーです! 胸骨圧迫をしていない時に冠動脈造影をしてみるとほとんど流れが確認できないものが、胸骨圧迫をしている時に造影してみるとそれなりに流れています。当たり前ですが、胸骨圧迫の有用性を視覚的に確認したような気分になりました。数分間の胸骨圧迫、アドレナリン1mgIVで、自己心拍は再開し、その後は問題なく経過しました。

ACLS-RのDVDにも解説されているように、集中治療室等モニタリングが充実しているような環境では通常のACLSアルゴリズムから逸脱する場合が当然あり得ます。カテ室もその一つです。しかしながら、スタンダードを抑えた上での対応であるべきであることを新たに認識しました。
胸骨圧迫の重要性も改めて実感しました。

PAT,PSVT

つまらない話なのですが、へえ、と思ったこと。PALSのプロバイダーマニュアルを読んでいて、目についた一文。
「上室頻拍(SVT)には、古い用語として、発作性心房頻拍(PAT)や発作性上室性頻拍(PSVT)が含まれる」

PATとか、PSVTって、用語としては過去のもの? 現役かと思ってました。

2010年4月20日火曜日

昨日のtachycardia

高齢女性。軽い動悸のみで症候は乏しいが、頻脈あり、とのことで他院から転送されてきた方。他のバイタルサインは問題ありませんが、御指摘のようにHR150bpm程の頻拍。






初期研修医と対応。研修医に質問してみました。
「安定したQRS幅の狭い頻拍ですね。どんな不整脈が鑑別に挙がりますか?」
「・・・・洞性頻脈!」
「他には?」
「・・・・・・・・・・・」

この初期研修医、昨年循環器科をローテートしているし、循環器科が行った不整脈の勉強会にも参加しているはずなのですが。。。。
narow QRS tachycardiaの鑑別、対応法は十分にお伝えしているつもりなのですが、なかなかご理解頂けていないようです。
優秀な研修医が集うとされている当病院。指導医としての伝え方が不十分なのでしょう、きっと(苦笑)。反省。

洞性頻脈の他の鑑別、上室性頻拍(PSVT)、心房粗動(2:1伝導)といった代表的鑑別を解説した後、ATP(アデホス)を急速静注。
鋸歯状波が明確となり、AFL2:1伝導と結論し、ヘルベッサーにて心室応答コントロールの方針に至りました。

教育とは難しいものです。
先日読んだ本の一説。
「一度しか読んだり聞いたりしたことのないものは、ほとんど覚えていられない。だから、「少数のものを何度も」学ぶべきであり、「多数のものを一度、二度」学んでも意味がない。」
情報過多が、知識の実践の障壁になっているとのことです(なぜ、ノウハウ本を実行できないのか ケン・ブランチャード+ポール・J・メイヤー+ディック・ルー著)。




医療の発展とともに”情報過多”が余儀なくされる現状。研修医も、勿論我々ベテラン(苦笑)とされる年代の医師も、なかなか苦労の連続です。

どの科に進んでも遭遇しうる循環器疾患の初期対応。
ベーシックなことを繰り返しお伝えし、身につけて頂く。これが自分の重要な業務の一つと思っています。
この分野においては、AHA ACLS の教育スタンスは、大変有用なmodalityと思っています。

2010年4月18日日曜日

昨日のTCP

中年男性。気分不良を主訴に近医診療所を独歩受診、脈拍が20bpmくらいしかなく、対応した先生が驚愕して、当院に慌てて転送してきてくれました。




完全房室ブロックで、補充調律が20-30bpm程と結構遅いです。血圧は110/くらいあり。つらそうではありますが、意識は清明です。著明なST変化は認めず、少なくともSTEMIはなさそう。直ぐに施行したちょい当て心エコーでも左室壁運動異常は認めませんでした。
症候性徐脈で、しかも完全房室ブロックであり、とりあえずTCPということで、新人後期研修医の先生にやって頂きました。パッドは、いわゆる除細動時と同じ位置に貼りました。とりあえず鎮静鎮痛せずに、出力を上げていったところ、50mAくらいまでは、「大丈夫です」。80mAくらいから、「結構来てます!」、100mA超えると、「先生、痛いです!」、140mAでようやくcaptureしたのですが、もはや「耐えられません!!!!」。
やむを得ず、TCPをoffとして、いつでも再開できるようなstand-by状態にしました。鎮静鎮痛剤を使用してTCPを再作動させることも考えましたが、その血行動態、呼吸状態への悪影響もちょっと心配だし、症候性徐脈といえど、最低限の循環動態を何とか保った状態だし、直ぐに経静脈ペーシングを入れる準備もできたこともあり、そのままHR20bpmの状態で早々にカテ室搬入としました。速やかに経静脈ペーシングを挿入して、一安心となりました。
ついでにCAGもしてしまいましたが、冠動脈に有意狭窄はなく、その他薬剤や電解質異常はど可逆的原因は明らかではありませんでした。恒久的ペースメーカーが必要そうです。

TCPの使用について、ACLSプロバイダーマニュアルには、「大部分の覚醒患者にはペーシング前に鎮痛薬を投与すべきである」「鎮痛薬を投与する必要がある」などと、よほど状態が悪い場合を除き、原則鎮痛薬を使用することを推奨しています。ACLSコースでもそのように指導しています。

ACLSコースと、現場での対応に乖離がないように、教育しつつ、自分でもそのような行動を心がけています。

しかし、その一方で、今回のような現場での対応。
後期研修医のon the job trainingの良い場面でありながら、循環器医としての、”まあ大丈夫でしょ。”の気持ちから、スタンダードな、ACLSプロバイダーに推奨されるような対応をしていない場面をお見せしてしまったことに、自分自身の矛盾さを感じました。
真似をされると、あまりよくないことでしょう。

循環器医とそうでない者で対応が異なってくることは当然のことではありますが、非循環器医や若い先生達に標準的な対応をして頂きたいと考えるのであるならば、自分が行って見せなければいけません。
そういえば以前も似たような記事かいていたみたい(笑)。反省不足(苦笑)。