2011年3月1日火曜日

アトロピン

G2010ではnon shockable rhythm(PEA/asystole)へのアトロピンのルーチン投与は推奨されなくなりました。
CJにそれに関連する論文が掲載されました。やはりアトロピンの有効性は否定的な結果でした。

Circ J 2011; 75: 580 –588

英語が苦手な方は以下を参考にして下さい。


背景
G2005ではnon shockable rhythm(PEA/asystole)にアトロピンの投与が推奨されていたが、臨床的なデータは十分ではない。

方法と結果
SOS-KANTO研究のnon shockable rhythmを呈した成人患者7448人において、アトロピンの効果を検証した。主要評価項目は心停止30日後の神経学的予後良好。Asystole6419人において、アドレナリン+アトロピン投与群(n=1378)は、アドレナリン単剤投与群(n=5048)に比し有意に自己心拍再開率が高かった(調整オッズ比1.6(95%CI 1.4-1.7,P<0.0001)。しかし、30日後の神経学的予後良好においては2群間で有意差はなかった(調整オッズ比0.6 (95%CI 0.2-1.7,P=0.37)。PEA1029人において、自己心拍再開、30日後の神経学的予後良好については共に2群間で有意差はなく、アドレナリン+アトロピン投与群は、アドレナリン単剤投与群有意に30日後の生存率が有意に低かった(調整オッズ比0.4(95%CI 0.2-0.9, P=0.016)。

結論
non shockable rhythmによる院外心停止患者へのアトロピン投与は、長期神経学的予後改善には寄与しない。アトロピンはPEAを呈する成人には有用でない。

2 件のコメント:

  1. 心拍再開率が高いのに生存率が低いと言うのはいつも思いますが、不思議ですよね。

    蘇生に使う薬がどんどん少なくなって良い事だと思いますが、医師の立場がだんだん低くなる気もしますね(笑)。

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  2. 確かにそうですね。良いことですが、うんちく披露する場が減りますね(笑)。

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