なでしこJAPAN、ワールドカップ優勝おめでとうございます。
試合をご覧になっていた方は誰もが思っていたと思います、実力の差は歴然。USAの攻撃はスピード、技術、パワー、いずれもJAPANより遥かに上です。
USAチーム、USAサポーターは、まさか負けるとは思わなかったでしょう。
試合を観ていたJAPANサポーターの多くも、正直なところ、(勝ってほしいとは思いつつも)まさか勝つとは思わなかったのではないでしょうか。
天皇杯で、Jリーグチームと高校チームが戦っている感じ(笑)。
でも、泥臭く、頑張りました。あきらめないこと、本当に大事と思いました。
2度リードされながらも、あきらめずに追いつきました。その執念、粘りは、世界一の価値があります。
当たり前ではありますが大事な大事なことを、朝早くから再認識させてもらいました。
もう1つ。
最後のPK戦の前のJAPANチームの円陣のなかで、佐々木監督が抜けるような笑顔をしていたのが印象的でした。勝利のポイントの一つだったかもしれません。
総合病院勤務医の日々の雑感、日常診療、特に循環器領域、BLS ACLSといった心肺蘇生教育等を中心とした日記です。 些細なことでも今日学んだことを皆様と分かち合い、明日に活かせれば良いと思っています。
2011年7月17日日曜日
実践
一昨日、昨日と、連日CPRをしつつPCPSを挿入する機会がありました。自分はPCPSを挿入する側であったのでいわゆるCPRには直接関与しませんでしたが、他の方々の懸命なるCPRを横目で見つつ手技を行いました。
以前に比し、" High Quality CPR" "High Quality Compressions"を意識していることは明らかでした。さすが救命センターの面々です。現場も進歩しています。
強く、速く、絶え間なく、のcompressionでした。
ただ、フルリコイルの実践は、この3点より難しそうです。実際の傷病者のリコイルは、マネキンのリコイルと異なり、より確認しずらそうですが、とにかく意識し続けることがまずは大事だと思いました。
手の位置も、いい加減になりがち。"胸骨"圧迫 の意識をもっと持つことが重要と感じました。
→参考
もう一つ。いずれの患者も気管挿管しましたが、やっぱり過換気になりがちでした。"過換気を避ける”ことは現場では最も難しいスキルの一つです。油断するとすぐに速くなる(苦笑)。常に、”過換気を避ける”ことも意識していないと実践が難しいと再認識しました。
ちょっと前の文献ですが、こんなものもあります。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17130392
以前に比し、" High Quality CPR" "High Quality Compressions"を意識していることは明らかでした。さすが救命センターの面々です。現場も進歩しています。
強く、速く、絶え間なく、のcompressionでした。
ただ、フルリコイルの実践は、この3点より難しそうです。実際の傷病者のリコイルは、マネキンのリコイルと異なり、より確認しずらそうですが、とにかく意識し続けることがまずは大事だと思いました。
手の位置も、いい加減になりがち。"胸骨"圧迫 の意識をもっと持つことが重要と感じました。
→参考
もう一つ。いずれの患者も気管挿管しましたが、やっぱり過換気になりがちでした。"過換気を避ける”ことは現場では最も難しいスキルの一つです。油断するとすぐに速くなる(苦笑)。常に、”過換気を避ける”ことも意識していないと実践が難しいと再認識しました。
ちょっと前の文献ですが、こんなものもあります。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17130392
呼吸確認脈拍確認
心肺停止の判断において、頚動脈の脈拍確認は、医療従事者でさえ難しい技術であることは以前から言われていることです。ですから、一般市民には推奨されていません。医療従事者は一応試みますが、時間をかけてはいけません。
AHAのBLS for HCPでは、意識の確認+呼吸をざっと確認→EMS立ち上げ・AED要請→脈拍確認 の流れ。
JRCは、意識の確認→EMS立ち上げ・AED要請→呼吸の確認+脈拍確認 。
JRCガイドラインの記載では、「市民救助者は心停止確認のために脈拍の触知を行うべきでない。医療従事者であってもCPR に熟練していない救助者は同様の対応でよい。一方、熟練救助者は患者の呼吸を観察しながら、同時に頸動脈の脈拍を確認してもよい。」 となっており、呼吸確認と脈拍確認を同時にやりなさい、とは書いてありません。
昨日のICLSコースでは、同時にやるように指導する方針になっていました。ちなみに、呼吸の確認は「見て聞いて感じて」でした。
実際に受講生が同時に行っている姿を拝見すると、ほぼ全受講生、脈拍確認がかなりおざなりになっていました。脈拍確認だけでも難しいスキルなのに、呼吸を見て聞いて感じながら同時に脈拍確認することは相当に難易度が高いと感じました。超熟練救助者限定スキルです(笑)。
AHAの流れのほうが、自然だし、技術的に習得しやすいかなという印象を抱きました。
AHAのBLS for HCPでは、意識の確認+呼吸をざっと確認→EMS立ち上げ・AED要請→脈拍確認 の流れ。
JRCは、意識の確認→EMS立ち上げ・AED要請→呼吸の確認+脈拍確認 。
JRCガイドラインの記載では、「市民救助者は心停止確認のために脈拍の触知を行うべきでない。医療従事者であってもCPR に熟練していない救助者は同様の対応でよい。一方、熟練救助者は患者の呼吸を観察しながら、同時に頸動脈の脈拍を確認してもよい。」 となっており、呼吸確認と脈拍確認を同時にやりなさい、とは書いてありません。
昨日のICLSコースでは、同時にやるように指導する方針になっていました。ちなみに、呼吸の確認は「見て聞いて感じて」でした。
実際に受講生が同時に行っている姿を拝見すると、ほぼ全受講生、脈拍確認がかなりおざなりになっていました。脈拍確認だけでも難しいスキルなのに、呼吸を見て聞いて感じながら同時に脈拍確認することは相当に難易度が高いと感じました。超熟練救助者限定スキルです(笑)。
AHAの流れのほうが、自然だし、技術的に習得しやすいかなという印象を抱きました。
見て、聞いて、感じて
昨日はICLSに参加しました。
普段はAHAコースに関与しているので、AHAガイドラインに目を通すことが多いです。昨日はICLSですから、JRCのガイドラインをちょいとみる機会がありました。以前公開されていたドラフト版では、医療従事者の呼吸の確認は、” 呼吸の確認時に気道確保を行い、「見て、聞いて、感じて」呼吸の観察を行う ”となっていました。ところが、最近公開された確定版では、” 呼吸の確認時に気道確保を行う。” の記載のみで、「見て、聞いて、感じて、、、、」の記載は削除されていました。おお、消えてる(笑)。
AHAは、”「見て、聞いて、感じて」を削除”を明確に打ち出していて、やることは好ましくない、、的なニュアンス。JRCは、ひっそりと記載が消えている(笑)。やっても良いけど、やらなくても良いよ、、、的感じ。微妙にニュアンスが異なります。
「見て、聞いて、感じて」を行うか、行わないかで、予後か変わるというエビデンスはないわけですから、どちらが正しいか誤りか、ということではありません。
大事なことは、死線期呼吸を見逃さないこと、時間をかけずに、次なるステップに進むことです。
普段はAHAコースに関与しているので、AHAガイドラインに目を通すことが多いです。昨日はICLSですから、JRCのガイドラインをちょいとみる機会がありました。以前公開されていたドラフト版では、医療従事者の呼吸の確認は、” 呼吸の確認時に気道確保を行い、「見て、聞いて、感じて」呼吸の観察を行う ”となっていました。ところが、最近公開された確定版では、” 呼吸の確認時に気道確保を行う。” の記載のみで、「見て、聞いて、感じて、、、、」の記載は削除されていました。おお、消えてる(笑)。
AHAは、”「見て、聞いて、感じて」を削除”を明確に打ち出していて、やることは好ましくない、、的なニュアンス。JRCは、ひっそりと記載が消えている(笑)。やっても良いけど、やらなくても良いよ、、、的感じ。微妙にニュアンスが異なります。
「見て、聞いて、感じて」を行うか、行わないかで、予後か変わるというエビデンスはないわけですから、どちらが正しいか誤りか、ということではありません。
大事なことは、死線期呼吸を見逃さないこと、時間をかけずに、次なるステップに進むことです。
2011年7月6日水曜日
心臓マッサージと胸骨圧迫
"心臓マッサージ" ? "胸骨圧迫" ? どっち?といった話題は以前も出ました。
今更(笑)ですが、AHA ECC公式日本語サイトの右上から入れる、"CPR 50周年記念シンポジウム動画配信"には分かり易い情報があります。まだ見ていない方は、一度ご覧下さい。
胸骨圧迫は直接心臓を圧迫して心拍出を得ている、というよりは、胸腔内圧を上げることにより心拍出を得ている、という話です。
心肺停止となると、循環系(血管内)全体の圧は10mmHg程になります。胸骨圧迫すると胸腔内圧が75mmHgだけ上がり 胸腔内の血管全てにこの圧がかかり、10+75=85mmHgに上がり、これにより大動脈へ血液が拍出されます。静脈系は、静脈弁により血液が拍出されません。
この解説に使われている、下記の図、結構お気に入りです。
つまり、胸腔内の圧の変化がchest compressionの効果の機序であり、決して心臓をマッサージしているわけではないのです。
従って、"心臓マッサージ" はやはり不適切と考えるのが妥当でしょう。胸骨圧迫でよろしいと思います。
自分の関わるコースでは極力"心臓マッサージ" "心マ”は使用を控えるように言っています。
かといって、いちいち"胸骨圧迫"っていうのもちょい長くて、いいずらい。ついつい"compression"と言ってしまうことが多いのが現状。
今更(笑)ですが、AHA ECC公式日本語サイトの右上から入れる、"CPR 50周年記念シンポジウム動画配信"には分かり易い情報があります。まだ見ていない方は、一度ご覧下さい。
胸骨圧迫は直接心臓を圧迫して心拍出を得ている、というよりは、胸腔内圧を上げることにより心拍出を得ている、という話です。
心肺停止となると、循環系(血管内)全体の圧は10mmHg程になります。胸骨圧迫すると胸腔内圧が75mmHgだけ上がり 胸腔内の血管全てにこの圧がかかり、10+75=85mmHgに上がり、これにより大動脈へ血液が拍出されます。静脈系は、静脈弁により血液が拍出されません。
この解説に使われている、下記の図、結構お気に入りです。
つまり、胸腔内の圧の変化がchest compressionの効果の機序であり、決して心臓をマッサージしているわけではないのです。
従って、"心臓マッサージ" はやはり不適切と考えるのが妥当でしょう。胸骨圧迫でよろしいと思います。
自分の関わるコースでは極力"心臓マッサージ" "心マ”は使用を控えるように言っています。
かといって、いちいち"胸骨圧迫"っていうのもちょい長くて、いいずらい。ついつい"compression"と言ってしまうことが多いのが現状。
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