2009年8月31日月曜日

院外VF

路上で倒れていた中年男性。通りがかりの女性(看護師)がCPR(Hands Only)を施行。救急隊現着時VF。除細動施行し、2分のCPRの後自己心拍再開。当院搬入時は意識レベルはほぼクリア。バイタルサインは安定し、心電図では2,3,aVFでST上昇。緊急冠動脈造影施行、右冠動脈は閉塞しており、primaryPCIを施行しました。全く後遺症ない回復が期待できます。

以前は、このような素晴らしい救命の連鎖が行われると嬉しくて興奮したものですが、最近は頻度も増え、珍しいことではなくなり、以前より冷静に見ることができます。

とは言っても、バイスタンダーCPRのなされない心肺停止例は山のように搬入されてきます。
今回のこのような事例を元気の源にして、地道な心肺蘇生教育活動は続きます(笑)。

2009年8月30日日曜日

横浜スタジアム転落事件

8月27日プロ野球横浜対阪神の試合で観客が外野スタンドから転落。救急車で病院に搬送されましたが、29日にお亡くなりになったそうです。4-5mの高さから頭から落ちたとのこと。泥酔されており、約1mのフェンスを乗り越えての転落だそうで、自業自得とも言えますが、気の毒ですね。御冥福をお祈り致します。

さて、スポーツニュースで転落直後の映像が流れていたのですが、傷病者はぴくりとも動かなかったように見受けられました。係員らにそのまま担架にのせられ、退場していきました。
中日新聞には、”応急処置をした横浜球団のトレーナーは「心肺停止で意識がない状態だった。心臓マッサージなどで心臓と脈拍が戻ったところで救急隊員に託した」と説明した。”と書かれています。
転落直後に心肺停止に陥っていた可能性がありますが、どうだったんでしょうか。頚髄損傷から心停止もありえますね(参考:プロレスラー三沢選手の死因  1    2 3)。その場ではなんの処置もされていないように見えました。
まあ、正確な情報が分からないのであまり云々言えませんが、初期対応に少し疑問を抱いた映像でした。

CPR後一時意識回復したとの情報もあるようですが、これもどこまで正しい情報なのかわかりません。

2009年8月29日土曜日

心筋梗塞早期診断

心筋トロポニンの新しい高感度アッセイを用いて、胸部症状を訴えて救急外来を受診した患者の心筋梗塞の診断率を調べたところ、従来の心筋マーカーより精度が高く、特により早期(3時間以内)の診断が可能となり得る(NEJM2009;361:858-67)、とのこと。
実用化されれば、急性冠症候群の診断に迷うことがより少なくなりそうですね。
医学は本当に日進月歩です。

第4回JES 慈恵医大 大木隆生 バッチグー!


昨日は第4回Japan Endovascular Symposium(JES)に参加致しました。1日のみの参加でしたが、AAAやTAAに対するステントグラフト、下肢動脈や頚動脈に対するステント治療など色々な学びを得ました。大木先生は朝から晩まで大活躍でそのバイタリティーには感服致します。大木節も健在でした(笑)。外科医不足が社会問題化していますが、大木先生率いる慈恵医大外科学教室は新入医局員24人とのことで大盛況だそうで、その求心力には目を見張るものがあります。良き外科医、血管外科医が続々排出されればよいと思います。僕も血管外科には憧れるなー、入局しようかなーなんて思ったりして(時既に遅し!)。
一点、循環器医として、頚動脈ステントライブを拝見していて感じたこと。大木先生ほどの経験豊富な卓越した血管外科医、血管内治療医でもやはり厳しい狭窄の複雑病変に対する014ワイヤーのデバイス選択や操作に関してはそれほど精通していないように見受けられました。このへんは冠動脈インターベンションでは日常茶飯事のことであり循環器医が一日の長が有りそうです。循環器医として全身の血管病変に対する血管内治療に貢献できる部分は大いにあると実感しました。

そういえば、こんな記事もありました。まさに、小倉の横井先生のおっしゃるとおりです。

2009年8月28日金曜日

循環器医も脳梗塞tPA

循環器専門医の試験が先日あったのですが、受講した先生に聞いたところによると、脳梗塞に対するtPA治療の適応についての問題が出たそうです。循環器医も知らなくてはいけないことみたいですね。

2009年8月26日水曜日

房室ブロックとアトロピン

昨日の完全房室ブロックの件。心電図が小さくて見えないかもしれませんが、来院時の心電図は心室レート(QRS)は30/分ほど、心房レート(P)は75/分ほどでした。アトロピン0.5mg IV後、心室レート(QRS)は20/分ほど、心房レート(P)は100/分ほどになりました。心房レート(P)が上がったのはアトロピンの影響でしょう。なぜ、補充調律(心室レート)が下がったのでしょう。単に、病状が自然に悪化していった結果なのでしょうか。

G2000ACLS プロバイダーマニュアルには、”アトロピンは3度房室ブロック、広いQRS幅の心室補充調律やMobitzII型の2度房室ブロックには適応はない。アトロピンは心房レートを速め、房室ブロックを悪化する可能性がある。”と書かれています。確かにアトロピンにより2度が3度になったり、高度ブロックの伝導比が低下したりすることはあると思われますが、心室補充調律への悪影響はないのでしょうか。

上記の補充調律(心室レート)の低下にアトロピンが関与していることはあり得ないのかな?と思って手元にある本などを調べてみていますが、まだ結論がでません。だれか教えて下さい。心臓生理学の理解が浅いですから(苦笑)。

たまには徐脈。

ふらつきとのことで受診された中年男性。やや徐脈とのことで循環器後期研修医が対応、
来院時血圧80台、心拍数50前後だったらしいのですが、12誘導心電図を記録してみると完全房室ブロック。
この時点では心拍数30/分前後となるも、自覚症状は強くなく、アトロピン0.5mgIVし、そのまま心エコーを施行。左室収縮は良好でSTEMIは否定。その後目の前で一度失神。意識清明に回復するも心拍数20/分前後。
慌てて除細動器を取り寄せるも、TCPのケーブルを忘れて、取り付けられず。結局心拍数20/分のままカテ室に搬入。この時点で僕も合流。
経静脈ペーシングを挿入準備をしつつ、ようやくTCPを装着、100mAほどでペーシング可能となったが、激痛を訴え、耐えきれず一旦中断。鎮静剤を用意したものの、すぐに経静脈ペーシングを挿入できたため、結局使用せず。

結果的には大きな問題となりませんでしたが、危うい橋をわたっています。

完全房室ブロック、特に補充調律が幅広いQRSの場合は油断できません。症候性ならなおさらです。心筋梗塞の有無を評価することも大事ですが、まず最優先にTCPを準備することが安全です。アトロピンの効果は期待できません。後期研修医には色々フィードバックしました。

一般的にTCPが本当に必要となる時はかなり切羽詰まっている時であることが多いですから、日頃からその操作に慣れていないと、肝心な時にうまく扱えないということが多いです。
この後期研修医は1−2年前にAHA ACLSコースを受講しているんですが。
いろいろな意味で考えさせられる出来事でした。