2009年7月17日金曜日

TOPIC2009


7月16日〜18日渋谷でTOPICというカテーテル治療の学会が開催されています。元々は心臓カテーテルの学会でしたが、今や下肢動脈や腎動脈、頚動脈など全身の血管治療についても盛んに行われています。今日は夕方前頃からの参加になりましたが、到着時に丁度講演中だった、小倉記念病院の横井先生の頚動脈ステント(CAS)のお話が大変印象的でした。頚動脈の狭窄に行うステント治療のことであり、脳梗塞を予防します。
日本ではCASは主に脳外科医が行っていますが、欧米では循環器医が行っていることが多いです。CASの際には反射で徐脈や低血圧が生じることが多いので循環器医が対応するほうが安全です。特にCASの適応となる患者は冠動脈3枝病変など重症心疾患を有している患者が少なくなく、低血圧が遷延すると容易に致死的事態におちいり得ますので、慎重な対処が望まれます。また使用されているフィルターデバイス(Angioguard XP)は014ワイヤー(細い)であり、冠動脈のワイヤーと同じ太さであり、その扱いは循環器医が圧倒的に慣れています。循環器医以外の血管治療医は035や、細くても018程度までのワイヤーの扱いが中心です。また、一部の血管内治療専門の脳外科医は別として、多くの脳外科医は通常の脳外科業務の傍らCASも行うので、経験症例数も決して多くなく、技術の向上も必ずしも速やかではないと言います。反面、数多くのPCIを施行している循環器医はカテ操作に関しては技術的に優れていることは当たり前のことです。もちろん頚動脈へのガイドカテの挿入など不慣れな面はありますが、基本技術がしっかりしているので上達は早いでしょう。CASの適応となる方は冠動脈以外にも下肢や腎動脈など全身の血管にも問題を生じていることが少なくなく、これらのスクリーニングや必要に応じ治療をすることを考えると、やはり循環器医が対応しやすいとも言えます。またこれらの患者は高血圧、高脂血症やその他の冠危険因子のコントロールが必須です。この辺も循環器が得意とする面です。

などなど、CASを循環器医が行うことの妥当性、必要性を挙げておられました。そして、脳外科の先生方にCASをお任せしていることは患者さんの為にならない、患者さんのために循環器医がCASを行うべきである、というようなニュアンスの結びをしていました。
かなり説得力のあるお話でした。水が上から下に流れるように、循環器医もCASをすべきであると言われているような気がしました(笑)。
脳外科の先生方がお聞きになると、勿論反論はあるでしょうが。。。
決して、脳外科の先生方を非難、卑下するものではありません。脳外科の先生方はただでさえ激務のなか、更に新たな分野の血管内治療にまで手を出すのも大変かとも思います。循環器医と脳外科医が互いに協力することで効率よく最高の治療を提供できれば良いわけです。
というわけで、一時興味があったものの最近は忘れかけていたCASにまた興味が湧きました。

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