2010年5月12日水曜日

また幅広いQRS頻拍にアデホス

動悸で来院した高齢男性。意識、血圧は問題ありませんが、頻脈。循環器後期研修医が12誘導心電図を記録したところ、どきっ。



自他覚症状は安定しており、安定した幅広いQRS頻拍。HR200bpm程。一般的には、幅広いQRS頻拍はVTと考え対応することが安全です。この方、高血圧性心不全の既往もあるようで、そのような背景を考慮すると、、、、やっぱりVTの可能性が高いかもしれません。
ただし、以前の心臓超音波検査によると左室収縮能は良好のようです。
非循環器医なら、酸素、点滴して除細動器を用意しつつ循環器医コンサルテーションでしょう。
不幸にも、循環器医がいない状況なら、アミオダロン点滴でしょう。同期下電気的カルディオバージョンも有力な選択肢です。

以前の心電図を見たいところです。幸いありました。



洞調律時と、頻拍時の四肢誘導の極性が変わっていません。循環器医としては、上室性頻拍の可能性が高いと疑うわけです。
試しに迷走神経刺激手技としてValsalva手技を試みてもらいましたが、反応はありませんでした。
そこで、アデホス(ATP)を投与してみたところ、、、



粗動波様のものが見えました。
やはり上室由来の頻拍、心房粗動1:1伝導であったようです。アブレーションを考慮すべきでしょう。

ということで、研修医数人がいる前で、循環器後期研修医が、幅広いQRS頻拍にATPを投与しましたが、非循環器医はすべきでなく、まねしちゃいけません、これは循環器医ならではの対処であることをお伝えしました。


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2 件のコメント:

  1. 専門医だからやってよい事、非専門医がやるべき事、区別して教える事は難しいですよね。しかし、治療と言うのは奥が深いですね!

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  2. KIm先生、有り難うございます。
    循環器後期研修医と、一般の初期研修医を同時に教育する時には、誤解が生じないように気を使います。。。

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