2010年5月7日金曜日

とある質問 3

心停止時のCPR2人法で30:2(成人)、15:2(小児) と人工呼吸の頻度が異なっていたものが、挿管されると"6〜8秒に1回"と同一になるのは何故?

以下のように考えていますが、良い御意見有る方はご指導下さい。

高度気道確保がなされている状況下の換気回数(6-8秒に1回)は、静脈還流と酸素化(+換気)のバランスに基づいて設定されていると思われます。
高度気道確保がなされていない状況下のサイクル回数(30:2、15:2)は、冠灌流圧と酸素化(+換気)のバランスに基づいて設定されています。
従って、"30:2や15:2のサイクル"と、"高度気道確保下の換気回数" はともに循環・呼吸動態のバランスを考慮したものではありますが、微妙に異なった視点である、とも言えます。

高度な気道確保がなされている場合、
絶え間ない胸骨圧迫で、高い冠灌流圧が維持できます。
換気も6-8秒に1回行うことで、過換気による静脈還流低下を防ぎつつ、(心停止状況下における)可能な限りの酸素化が期待できる、それは成人でも、小児(乳児)でも同様、ということと思われます。
(成人でも、小児でも、)CPR中の心拍出量は正常値のほぼ25-33%(GL P29)で、肺への血流は実質上低下しており、そのため1回換気量と呼吸数が正常値より低くても適正な換気・血流比を維持でき(GL P28)、6-8秒に1回行うことでこれをまかなうことができると思われます。


ちなみに、非心停止時にも換気回数は5-6秒に1回(成人)、3-5秒に1回(小児) と異なっています。非心停止患者への挿管後の管理はBLS、ACLSコースを逸脱します。参考までにガイドライン2005(P214)には、非心停止小児に高度気道確保した後の人工呼吸は12-20回/分と記載されています。
PALSプロバイダーマニュアルの『蘇生後の管理』の記載によると、蘇生後の人工呼吸器の呼吸数の初期設定は 乳児:20-30回/分、小児:16-20回/分、思春期:8-12回/分 と年代によりやっぱり異なります。


ご指導の程宜しくお願い致します。

2 件のコメント:

  1. 確かに高度な気道確保をすると成人も小児も同じ頻度と言うのは理解しにくいですよね。

    私も答え?を知りたいです!

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  2. Kim先生、有り難うございます。
    なんとなく当たり前にやっていることも、意外と理解していなかったり、勉強不足に気づかせてもらいますので、質問は大変有り難いです。

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