2009年2月21日土曜日

急性大動脈解離

2008年1月にあるMLに流したメールの一部です。

最近、当院でも急性大動脈解離stanford A型(上行大動脈に及んだ解離)による心タンポナーデが2件院内発症しました。いずれも胸背部痛を主訴に救急外来に救急搬送されてきた方で、搬入時は血圧は高値。初療医は急性大動脈解離を疑い、造影CTを撮影。CTで急性大動脈解離stanford A型を認め、CT室から救急外来に戻ってきた途端にPEAになりました。CTでは有意な心嚢液は認めません。CT撮影後に解離が進行し、心タンポナーデになったわけです。心嚢穿刺含め、CPRを施しましたが、結局2例とも救命できませんでした。心臓マッサージをしながらの心嚢穿刺は実に難しいものです。 
当院でのこの2例の共通点は、初療医が大動脈解離を疑ったにもかかわらず、すぐに治療を始めずに、血圧が高いままCTを撮影しに行ったことです。急性大動脈解離は常にこのような致命的状況に陥る可能性がありますので、そのような確率を少しでも下げるために、大動脈解離を少しでも疑ったならその時点で強力な降圧治療をすぐに開始し、降圧した後(しながら)にCTなどの検査をすべきであると、研修医には教育しています。結果的に大動脈解離でなくても、それは悪いことではありませんし。

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