数ヶ月前、当院で経験した症例です。
30代男性、自宅で胸痛の後、心肺停止に陥りました。すぐに妻が救急要請。不完全ながらbystander CPRあり(有効性は疑問)。5分後救急隊到着。CPR開始し、VFでAEDにてショック。CPR継続、難治性。VF、PEA、Asystoleとダイナミックな推移を示し、結局30分以上にわたるCPR施行、計8回のショックを行いました。この間救急隊が行った蘇生処置は心マ、換気、ショックのみです。気管挿管も、エピネフリン投与もされておりません。当院搬入時は自己心拍再開しておりました。ST上昇しており、緊急カテで左前下行枝のAMI、PCI施行、低体温療法を経て独歩退院いたしました。
難治性VFでも8回もの除細動を経て、BLSのみで回復しえた比較的貴重な例かと思われます。
ここまで聞くととても良い話なのですが、実は続きがあります。
この患者さんは元気に独歩退院しましたが、残念ながら多少高次機能障害が残りました。完全社会復帰は難しいかもしれません。また、救急隊員のCPRを検証してみると、一部でG2000時代のごとく、3ショックしているなど、最高のパフォーマンスというわけではなかったようです。もちろん救急隊員の皆さんのお力がなければこの患者さんは救命されなかったわけで、賞賛すべき活動だった思いますが、一方で、厳しい目で見れば、より最高のCPRを提供していれば、患者さんの機能予後はもっとよかったのでは、、、と、つい思ってしまいます。
さいたまの素晴らしいエピソードを聞いて、この救急隊員がAHA instractor,providerだったら、経過が違っていた可能性も、、、と感じた次第でした。
救命のみならず、”後遺症を減らすこと” も極めて重要であり、そのために妥協なく常に最高のCPRを提供できるproviderを一人でも多く作っていきたいですね。
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