2009年10月8日木曜日

過去の心電図

循環器医の方は読まなくてよい記事です(笑)。
動悸、胸部不快を主訴に救急外来に独歩来院した中年男性。血圧120/80程、心拍数200bpm。
12誘導心電図はRR間隔整のQRS幅の広い頻拍。ちょっとドキッとしますよね。
ACLSコースでは「上室性であると確信が持てなければ、心室頻拍として対処しましょう。」と指導しています。これは大変大事なことです。
一般的に、幅の広いQRS頻拍が上室性か心室性かの判断は循環器医にとっても難しいこともありますし、非専門医やコメディカルの方にとっては尚更です。難しいアルゴリズムを使った鑑別法もありますが、非専門医が覚える必要はありません。
そんな時、まず是非とも欲しい情報は以前の心電図です。この方の場合、、、ありました、過去の心電図!ヨカッタ(笑)。

洞調律ですが、確かに以前から右脚ブロックです。今回の心電図とQRSの形や極性は変わっていません。これで、今回の心電図は上室性頻拍+右脚ブロックと結論できます。PSVTか心房粗動の可能性が高そうです。
安心して”安定したQRS幅の狭い頻拍のアルゴリズム”に準じて対処できます。そこで、、バルサルバ手技を行って頂きました。が、びくともしません。アデホス10mgを急速静注しました。HR180bpmくらいまで低下しましたが、止まらず、また200bpm程に戻ってしまいました。20mgの急速静注をしたところ、洞調律に戻りました。
もとの洞調律波形と同じ波形です。めでたし、めでたし。今回の頻拍はPSVT+右脚ブロックだったということで、アブレーションをお勧めして、お帰り頂きました。
救急外来の初期研修医は多忙をきわめ、他の患者にかかりっきりで、この症例にはたずさわれませんでした。初期研修医にとってはそれなりに勉強になるケースだったので残念でした。
ひとりぽっちで、対処して少し寂しかったです(笑)。

2 件のコメント:

  1. 貴重な症例の紹介ありがとうございます。

    確かに昔の心電図と比べるのは大事ですね。コースではこう言った事はあまり強調しませんが、カルテを、、、と言ってもらう様にしないといけないのでしょうかね。

    まあon the jobで覚える事かも知れませんね。

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  2. Kim先生、コメント有り難うございます!
    確かに、コースでは原則的にはこのようなことには触れませんね。
    よほどデキル受講生なら言っても良いかもしれませんが。

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