2009年12月22日火曜日

5秒以上10秒以内

AHA BLS for HCPでの話。呼吸の確認や脈の確認は、ご存知のように5秒以上10秒以内で行うことが推奨されています。
ある受講生が、練習中毎回「1,2,3,4,5」と数えてほぼ5秒で確認していました。当然、5秒ピッタリということはなく、5秒を超えることもあるし、5秒に満たないこともあります。実技試験のチェック項目には"5秒以上10秒以内"という目安がありますから、安心してこれをクリアするために「もう少しだけ余裕をもって5秒以上かけて(例えば7-8秒)確認してはいかがですか?」とインストラクターがその受講生に助言しました。すると、「もし心停止であった場合、少しでも早く胸骨圧迫したほうが良いですから、確認もなるべく短いほうが良いと思うんです。」とのお答え。
なるほど。いいこと言いますね。
それなら、日本のガイドラインのように呼吸と脈を同時にチェックしたほうが、時間の節約になりますね。
自分としては、医療のプロでも脈拍触知が難しいことは良く知られていますので、呼吸と脈拍を同時にチェックするなんて、難易度が更に上がるよなー、やっぱり別に行った方が良いのでは? という"判断の精度"に重きを置いた観点で見ていました。
従って、上記受講生の意見は自分にとっては、少し新鮮でした。究極は呼吸も脈もチェックしないhandsonlyということになりますね。

ただ、実際の現場では、脈拍触知するか否か、5秒以内に判断することは通常あり得ないように思います。脈がないであろうマネキン相手では5秒で脈なしと判断しうるでしょうが、通常なら脈があるであろう人間相手ではまさか脈が無いなんて、、という感じで、もっともっと頚動脈を探ることでしょう。10秒を超えることも多々有るでしょう。だからこその”10秒以内”なのでしょうが。
ということで、BLSコースで、"10秒以内"は重要と思いますが、"5秒以上"にこだわるのはナンセンスなような気がします、臨床現場とはやや乖離があるような気もします。

5 件のコメント:

  1. るっくあっぷ2009年12月22日 20:35

    J先生、いつも勉強させて頂いています。
    私なんぞには難しいかもしれませんが、先ほどシェパードでACLSリソーステキスト注文しました。
    さて、5秒以上10秒以内の重要性はわかるのですが、私は常日頃、受講生には「常に気道確保(頭部後屈)を意識ながらされるといいですね。」とお伝えすることを心掛けています。また、数を数えるのを否定はしませんが、「呼吸はあるかな?呼吸はあるかな?呼吸はあるかな」、「脈はあるかな?脈はあるかな?脈はあるかな?」と、それぞれ3回繰り返えして意識されたらどうでしょうかともいったりします。

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  2. 5秒以上10秒以内については私も思うところがたくさんありますが1点だけ。

    AHAのHCPやHSコースでは実技評価項目に入っていますから強調しますが、
    ファミリー&フレンズや普通救命講習のときは10秒程度とだけ話してます。

    「ないものを無いって確信するのは難しいですよね。いつまでたっても結論が
    でない。だから10秒たって自信が持てなければ「無い」と判断していいって意味なんですよ」

    無いものを無いって証明するのが難しいから、未だに死後の世界だとか、
    UFOだとかそんなことが言われているんですねぇ、、、

    とまでいうと言い過ぎですけど。

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  3. るっくあっぷさん、コメント有り難うございます。受講生へ色々な伝え方があるんですね。勉強になります。私もリソーステキスト注文しました!

    めっつえんばーむさん、非常に重要なコメント有り難うございます。私もいつも以下のように説明しています。
    ”「5秒以上10秒以内」というのは、5-10秒で呼吸や脈拍の有無を正しく判断しなさい、という意味ではありません。5-10秒の間確認してみて、明らかに”ある”と思えなければ、無いものとして対処しましょうという意味です。”
    死後の世界、UFOはimpressiveなたとえですね!また色々教えてください。

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  4. 貴重な記事ありがとうございます。勉強になりました。

    私は5秒以上は重要ですと教えています。呼吸が1分間に10回であれば6秒に1回であり、5秒の確認では見逃す危険があります。が、呼吸がある人に人工呼吸をしても全く問題ないと思います。

    脈拍は数秒で十分だと思います。実際の臨床であのように確認した事は一度もありません。心停止?で呼ばれた時には、いきなりPrimaryのCから入ります。

    ただ、以下の事の応用で、5秒以上確認する練習をすべきと思います。

    模擬診療では、患者さんの話をまず3分間黙って聞きなさいと言われます。多くの臨床医が、そんな時間はないと反論するようですが、インストラクター?は、3分間黙って話を聞く訓練をした事がない人は、時間があっても話を聞けませんと言われるそうです。

    5秒以上確認する練習をすれば、短くする事は簡単でしょう!

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  5. Kim先生有り難うございます。確かに、脈と呼吸でまた違いますよね。
    貴重な御意見、大変勉強になります。

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