2009年12月8日火曜日

STEMI?

中年女性が突然卒倒。目撃あるも、バイスタンダーCPRなし。救急隊現着時心静止。当院搬入後アドレナリン投与後心拍再開。12誘導心電図ではST上昇あり。



心エコーでは左室心尖部の壁運動低下所見あり。
STEMIを疑い、緊急CAG施行するも、冠動脈に有意狭窄なし。左室造影ではいわゆるタコツボ様。
頭部CTを撮影したところ、派手なくも膜下出血でした。くも膜下出血による心肺停止、タコツボ型心筋症併発、という病態だった可能性が高そうです。心肺停止に至ったくも膜下出血ですから、もともと厳しい病状であったわけですが、CAGの時にヘパリンを使っており、更に追い打ちをかけてしまった可能性があります。
しかしながら、緊急CAGを施行した判断は決して責められるものではありませんし、やむを得ないとも思います。

このようなケースでは、卒倒の状況、その時の随伴症状の有無、救急隊現着時の心電図所見、自己心拍の戻り具合、心エコー所見、心電図所見等の情報を慎重に吟味し、頭部CTを優先するかCAGを優先するか判断する必要がありそうです。

2 件のコメント:

  1. くも膜下出血やギランバレー症候群の患者様に心エコーを当てると,心尖部の壁運動が低下していることをよく目にします.しかし今回のケースはST上昇を伴っているので,たこつぼ心筋症なのでしょう.たこつぼ心筋症自体,症候群ですので,いろいろな原因があって当然ですが.

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  2. 匿名さん、コメント有り難うございます。くも膜下出血に合併する左室壁運動異常も、それ以外のいわゆるたこつぼも、病態的にはstress-induced cardiomyopathyで、病態は同じなんでしょうね。おしゃるとおり”症候群”ですよね。
    自分は、ギランバレーに関しては経験がありません。また教えて下さい!

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