2009年8月26日水曜日

たまには徐脈。

ふらつきとのことで受診された中年男性。やや徐脈とのことで循環器後期研修医が対応、
来院時血圧80台、心拍数50前後だったらしいのですが、12誘導心電図を記録してみると完全房室ブロック。
この時点では心拍数30/分前後となるも、自覚症状は強くなく、アトロピン0.5mgIVし、そのまま心エコーを施行。左室収縮は良好でSTEMIは否定。その後目の前で一度失神。意識清明に回復するも心拍数20/分前後。
慌てて除細動器を取り寄せるも、TCPのケーブルを忘れて、取り付けられず。結局心拍数20/分のままカテ室に搬入。この時点で僕も合流。
経静脈ペーシングを挿入準備をしつつ、ようやくTCPを装着、100mAほどでペーシング可能となったが、激痛を訴え、耐えきれず一旦中断。鎮静剤を用意したものの、すぐに経静脈ペーシングを挿入できたため、結局使用せず。

結果的には大きな問題となりませんでしたが、危うい橋をわたっています。

完全房室ブロック、特に補充調律が幅広いQRSの場合は油断できません。症候性ならなおさらです。心筋梗塞の有無を評価することも大事ですが、まず最優先にTCPを準備することが安全です。アトロピンの効果は期待できません。後期研修医には色々フィードバックしました。

一般的にTCPが本当に必要となる時はかなり切羽詰まっている時であることが多いですから、日頃からその操作に慣れていないと、肝心な時にうまく扱えないということが多いです。
この後期研修医は1−2年前にAHA ACLSコースを受講しているんですが。
いろいろな意味で考えさせられる出来事でした。



2 件のコメント:

  1. ダイナミックな記事ありがとうございます!

    大変勉強になります。よくTCPがまだ準備できていません、、、と言うシナリオをやっていますが、本当にあるんですね。自信がつきました!!

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  2. 除細動器を台ごと持っていけばよかったのに、台の上の本体のみ(とバッド)持っていったもんだから、台の引き出しに入っていたケーブルを忘れてしまったみたいです(苦笑)。

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