乳児の脈拍チェックは上腕動脈で行うことが推奨されていますが、なぜ頚動脈でないのでしょうか。大腿動脈ではいけないのでしょうか?
経験のある小児科の先生や看護師さんから、乳児の首は短いし、肉々しているから動脈を触れにくいから、、、との御意見は良く聞きます。なるほど、経験に基づいた御意見で説得力があります。
大腿動脈は、衣服やおむつがあるからアプローチしづらいですね。そりゃそうですね。
BLSプロバイダーマニュアルにおける乳児の上腕動脈触知 の引用文献(Crit Care Med. 1983 ;11(3):189-90)によると、1980年のガイドラインで、乳児の脈拍評価は心尖拍動触知 から上腕動脈に変更されたようで,それを確かめるべくデザインされたこの研究でも上腕動脈触知 は心尖拍動触知 よりも容易で正確であった、とされています。アブストラクトだけからは、頚動脈や大腿動脈との比較の情報はありません。
もう少し新しい情報を探ってみますと、ある文献( Paediatr Anaesth. 2006;16:394-8.)では、上腕動脈、大腿動脈、頚動脈で脈拍触知 を比較してみると、大腿動脈が最も触知 しやすかった、との結果であり、現行のガイドライン(上腕動脈触知 )に一石を投じる、としています。
他の文献(Paediatr Anaesth. 2003;13:141-6)では、上腕動脈、大腿動脈、頚動脈、心尖拍動、心尖拍動聴診(耳で)の5つを比較していますが、心尖拍動聴診(耳で)が最も早く正確だった、という結果でした。
上腕動脈は、大腿動脈、頚動脈よりは良かったようです。
別の文献( Pediatr Crit Care Med. 2005;6:212-5)では、上腕動脈、大腿動脈、頚動脈、心尖拍動聴診(耳で)を比較しています。心尖拍動聴診(耳で)が最も早く正確だった、という結果でした。上腕動脈、大腿動脈、頚動脈は同等でした。
整理しますと、以下の如くでしょうか。
上腕動脈は心尖拍動触知 よりは容易で正確である。
上腕動脈が大腿動脈や頚動脈より明らかに優れているというわけではない。大腿動脈がより優れているというデータもあれば、上腕動脈が優れているデータ、同等であったとするデータも存在する。頚動脈が優れているというデータはなかった。
心尖拍動聴診が優れている傾向がある。
上記文献の原文は読んでおらず、アブストラクトのみです(無責任)。
やっぱり、衣服やおむつなどを考慮するとアプローチしやすい上腕動脈が妥当でしょうか。
ただし、心尖拍動聴診は考慮する余地はあるかもしれません。僕はやったことありません。
小児科の先生方の経験論はやっぱり正しそうです。さすが。
100へえ〜です!!勉強になりました!!!
返信削除しかし、大腿動脈は位置が分かりにくいのではないでしょうか?子供はすぐわかるのかな〜。大人は難しいですよね。
だからガイドラインに入っていないと思っていましたが、上腕動脈も難しいですかね。
G2005ガイドライン日本語版P204には、「乳児の場合は上腕、小児の場合は頚動脈か大腿部で触診する」と記載されています。。。なぜ小児のみ大腿部の記載があるんでしょうね???
返信削除おこちゃまは特によくわかりません。