総合病院勤務医の日々の雑感、日常診療、特に循環器領域、BLS ACLSといった心肺蘇生教育等を中心とした日記です。 些細なことでも今日学んだことを皆様と分かち合い、明日に活かせれば良いと思っています。
2009年5月31日日曜日
周産期心筋症
日本人の知らない日本語
『日本人の知らない日本語』というコミックエッセイ。日本語学校教師と外国人生徒の面白おかしいエピソードが満載で、かなり笑えます。やくざ映画好きでそれを教材に日本語を学んできた御上品なフランス人マダムが「おひかえなすって!私、マリーと申します!」と大真面目に自己紹介したり、居酒屋でアルバイトを始めた中国人に「宿題を明日までにやってきて下さい」と言ったら、「はい!よろこんでー!!」と大真面目に言ったり。
原発性アルドステロン症
本日は内科認定医、専門医スタンプラリー(笑)に出席です。学んだことを記しておきます。原発性アルドステロン症(PA)について、慶応大学腎臓内分泌代謝科の伊藤先生が講演して下さいました。内科学会講演ですのでかなりベーシックな内容なんでしょうが、最近頭使っていませんので、僕にとっては有り難いお時間でございます。
2009年5月29日金曜日
突然のAsystole
2009年5月28日木曜日
AsystoleとPEA
Asystoleの定義
2009年5月27日水曜日
Hyperacute T
2009年5月26日火曜日
激しい背部痛
2009年5月24日日曜日
心肺蘇生教育の危機的状況
2009年5月23日土曜日
MONA
2009年5月20日水曜日
TCPパッド貼付位置
心停止アルゴリズムにおける薬剤投与タイミング
2009年5月18日月曜日
Early Consultation
Class I
1. A 12-lead ECG should be performed and shown to an experienced emergency physician within 10 minutes of ED arrival on all patients with chest discomfort (or anginal equivalent) or other symptoms suggestive of STEMI. (Level of Evidence: C)
ACC/AHAのSTEMIのガイドラインでは急性冠症候群(ACS)を疑う患者が救急外来に来たら10分以内に12誘導心電図を記録し、経験豊富な医師に見せる、という方針がクラス1の推奨です。当院は50人を超える研修医が勤務しており、上級医の指導の下、救急外来を守ってくれています。ACSを疑う患者が来たら即座に12誘導心電図を記録してくれます。大変優秀な研修医たちです。しかしながら、経験豊富な医師、即ち循環器医にコンサルテーションするタイミングが遅れることが大変多いです。明らかにSTEMIであればすぐさまコンサルテーションが来ますが、微妙な所見だったりするとコンサルテーションを躊躇するようです。
先日も、研修医相手のクルズスで上記ガイドラインを紹介し、ACS疑いの患者が来たときには12誘導心電図を記録し、(心電図所見がどうであれ)とにかく早期に循環器医を呼ぶ必要がある、と強調しました。ところが、その数日後、救急外来でACS疑いの患者を受けた研修医が12誘導心電図を速やかに記録していながら、心電図所見を自分なりに判断して、STEMIと考えず、トロポニンTやその他の採血、レントゲンなどを一通り情報収集して、2時間近くしてから循環器医にコンサルテーション、その間胸痛が遷延している、、、なんてことが起こりました。循環器医がみれば、その心電図は明らかにSTEMIと判断できますので、迅速な早期再灌流療法が可能なはずでしたが、結局約2時間遅れた再灌流でした。患者さんには申し訳なかったですが、その後は最善の治療をしてあげられています。初期対応としては僕のクルズスも全くの無意味だったということです(泣)。
早期に上級医(含循環器医)を呼ばない理由として、一般的に、可能な限り情報収集してから上級医にコンサルテーションすることが慣習化しているということが大きいようですが、情報を集めてからコンサルテーションしないと上級医に起こられるケースもある、循環器医は近づき難くて(怖くて?)コンサルテーションしずらい(苦笑)、などなど原因は研修医以外にもあることは明らかです。何とか是正しなくていはいけません。
また、頭では分かっていたけど、身体が動きませんでした、ともその研修医は言っていました。教育には"知識"、"技術"、"実践"があるとのことですが、まさにこのケース、知識は伝わっても実践できていない、良い例です。教育手法も考える余地がおおありです。
2009年5月17日日曜日
胸骨圧迫中断からショックまでの時間
2009年5月16日土曜日
コメディカルICLSインストラクター
2009年5月14日木曜日
BVMで換気がうまくいかない場合
2009年5月13日水曜日
TCP追記
2009年5月12日火曜日
TCP著効
ちょっと前の日のこと。70代男性。主訴嘔吐、失神。救急隊現着時バイタルがHR30台と徐脈、血圧70台とショックであることから循環器への救急搬送となりました。救急外来で予め除細動器+TCPを準備し待機していましたが、救急外来搬入時はHR90の洞調律で、血圧も160/と高めで、自覚症状も改善していました。ただ、救急隊の心電図記録をみると、HR30ほどの完全房室ブロックでした。12誘導心電図記録したところ、洞調律でしたが、1度房室ブロック、右脚ブロック、左軸偏位でした。おまけにV1-4でST上昇しているようにもみえ、研修医が静脈路確保を試みましたが、難渋。その間心エコーを施行、左室の局所的壁運動異常は明らかでなく、STEMIではなさそうでした。エコーを始めて数十秒ほどしたところで突如左室運動が停止、モニターをみたらP波のみの波形、いわゆるventricular standstillという状態でした。全く補充収縮が出ません。患者は意識消失し痙攣。CPRを開始しつつ、すぐにパッドを貼って、TCPを作動させました。100mAほどでペーシング捕捉。脈も触れるようになりました。しかしながら、患者さんはTCPの刺激に著しい苦痛を訴え悲鳴をあげていました。でも、TCPやめると心停止となってしまうし、静脈路はまだとれていなくて鎮静鎮痛もできないし、アトロピンやカテコールアミンも投与できません。大変困惑しました。我慢してくださーい!と励ますしかありません(苦笑)。その後ようやく静脈路も確保でき鎮静剤投与可能となりましたが、このころ自脈もHR30ほどでしたが出現してきており、スタンバイペーシング状態にしTCPをoffとして、そしてカテ室で経静脈ペーシングを入れました。次いでCAGを施行しました(3枝病変でしたが、ACSの明らかなる責任病変は認めませんでした。少なくともST上昇を説明しうる病変はありませんでした)。虚血とブロックの関連は判然としませんので、後日permanent pacingを植え込みました。
ということで、久しぶりにTCP様々という症例に遭遇しました。この事例の初療のポイントは
1.完全房室ブロックへの対応はやはり油断できません。
2.TCPを準備していたことがきわめて効果的でした。CPRは最小限で済みました。
3.状態悪化時、患者の状態は心停止、波形はventricular standstillで、asystoleの範疇に入ると思われますが、このような特別なケースではTCPが著効します。
4.TCPの刺激に耐えきれないほどの痛みを訴えるが、静脈路確保に難渋、TCP止めると心停止。このジレンマに悩みました。
一般的に循環器医は経静脈ペーシング挿入にも長けていますし、TCPを軽視する傾向にありますが、さすがにこのようなケースはTCPの準備をしていないと焦ると思います。ACLS講習会に携わるようになり、TCPがそれまで以上に身近になり、このような状況も無難に乗り越えることができ、よかったです。
旅客機内での緊急医療行為
2009年5月10日日曜日
新潟大学ACLS
2009年5月8日金曜日
また大木隆生
2009年5月6日水曜日
2009年5月3日日曜日
OPA,NPA
気管挿管で思い出しました. G2005においては心肺蘇生開始初期の10分程は高度気道確保の重要性は乏しいとされ、ACLSコースでは気管挿管手技は指導することはほぼなくなりました。そのかわりairway使用が推奨されています。頭部後屈顎先挙上でも十分な気道確保ができなければ積極的に使用しましょう、という方針です。意識がなく、咽頭反射等がなければ原則第一選択はOPA(口咽頭エアウェイ)です。意識があったり、反射が残っている場合はNPA(鼻咽頭エアウェイ)を使用することになります。コースをやっているとわかることは、多くの医療施設でNPAのみ使用し、OPAはあまり普及していないということです。NPAは細いですから、気道をしっかりと確保するという意味ではOPAのほう効果的なのかもしれません。OPAを使用してもうまく気道確保ができない時、NPAとの兼ね合いはどうするのだろうかと、疑問がわいて、Up to Dateを調べてみますと、なかなか興味深い記載でした。