2009年5月18日月曜日

Early Consultation

Class I

1. A 12-lead ECG should be performed and shown to an experienced emergency physician within 10 minutes of ED arrival on all patients with chest discomfort (or anginal equivalent) or other symptoms suggestive of STEMI. (Level of Evidence: C)


ACC/AHAのSTEMIのガイドラインでは急性冠症候群(ACS)を疑う患者が救急外来に来たら10分以内に12誘導心電図を記録し、経験豊富な医師に見せる、という方針がクラス1の推奨です。当院は50人を超える研修医が勤務しており、上級医の指導の下、救急外来を守ってくれています。ACSを疑う患者が来たら即座に12誘導心電図を記録してくれます。大変優秀な研修医たちです。しかしながら、経験豊富な医師、即ち循環器医にコンサルテーションするタイミングが遅れることが大変多いです。明らかにSTEMIであればすぐさまコンサルテーションが来ますが、微妙な所見だったりするとコンサルテーションを躊躇するようです。





先日も、研修医相手のクルズスで上記ガイドラインを紹介し、ACS疑いの患者が来たときには12誘導心電図を記録し、(心電図所見がどうであれ)とにかく早期に循環器医を呼ぶ必要がある、と強調しました。ところが、その数日後、救急外来でACS疑いの患者を受けた研修医が12誘導心電図を速やかに記録していながら、心電図所見を自分なりに判断して、STEMIと考えず、トロポニンTやその他の採血、レントゲンなどを一通り情報収集して、2時間近くしてから循環器医にコンサルテーション、その間胸痛が遷延している、、、なんてことが起こりました。循環器医がみれば、その心電図は明らかにSTEMIと判断できますので、迅速な早期再灌流療法が可能なはずでしたが、結局約2時間遅れた再灌流でした。患者さんには申し訳なかったですが、その後は最善の治療をしてあげられています。初期対応としては僕のクルズスも全くの無意味だったということです(泣)。


早期に上級医(含循環器医)を呼ばない理由として、一般的に、可能な限り情報収集してから上級医にコンサルテーションすることが慣習化しているということが大きいようですが、情報を集めてからコンサルテーションしないと上級医に起こられるケースもある、循環器医は近づき難くて(怖くて?)コンサルテーションしずらい(苦笑)、などなど原因は研修医以外にもあることは明らかです。何とか是正しなくていはいけません。

また、頭では分かっていたけど、身体が動きませんでした、ともその研修医は言っていました。教育には"知識"、"技術"、"実践"があるとのことですが、まさにこのケース、知識は伝わっても実践できていない、良い例です。教育手法も考える余地がおおありです。

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