AHA ACLSメガコードケースB:頻拍(VT)ーカルジオバージョン(頻拍→VF/無脈性VT→PEA)の話。
不安定なVT患者に対し、酸素投与、静脈路確保、心電図モニターを正確に装着。不安定な症状や兆候は頻拍によるものと認識し、不安定な頻拍であるとチームメンバーに伝える。そしてただちに同期下カルジオバージョンを実施する。
チェックリスト通りですと、こういった流れに成ります。
さて、上記、不安定な頻拍であるとチームメンバーに伝えたのち、まずアミオダロンを投与し、早々に無効と判断し同期下カルジオバージョンを実施した受講生(循環器医)がいました。インストラクターとしてはどのように判断すべきなのでしょうか。
不安定頻拍に抗不整脈薬を投与することは、ACLSでは推奨されておらず是正すべき点であることは異論がないことでしょうが、実技試験という観点においてこの点自体はremediationにする理由になるのでしょうか。インストラクターマニュアルのスキルテストの章には"受講者はACLSコースにない手順や手技の実行を避けるべきである”と記載がありますので、この点を勘案しremediationにすべき、なのでしょうか。
実技試験の明確な基準としてチェックリストの存在があります。チェックリスト的にこの受講生がremediationになる理由は、アミオダロンを投与したこと自体ではなく、"ただちにカルジオバージョンを実施する”の項目にチェックが入らない、ということになります。"ただちに(immediate)"に反するわけです。それでは、"ただちに(immediate)"とはどの程度まで許容されるのでしょうか。
モニター心電図を装着し、不安定頻拍と判断し、
①即座に同期下カルジオバージョンを実施
②1分悩んで同期下カルジオバージョンを実施
③3分悩んで同期下カルジオバージョンを実施
④5分悩んで同期下カルジオバージョンを実施
⑤身体所見をとってから同期下カルジオバージョンを実施
⑥12誘導心電図を記録してから同期下カルジオバージョンを実施
⑦アミオダロンを投与してから同期下カルジオバージョンを実施
ある辞書には、「immediate:即時の、すぐの、じかに接している、すぐ隣の」などと記載されています。モニター心電図を装着し、不安定頻拍と判断したら、他の行為は挟まず、同期下カルジオバージョンを実施するということと解釈できるでしょうか。
①は勿論良いとして、②ー④あたりの時間の境はよくわかりません。他の行為をはさんでいないので、一応immediate?
⑦はダメだとしても、それでは⑤や⑥は? もし⑤⑥が許容されるなら、では⑦は絶対ダメ?
なんか、書いていて、ばかばかしくなってきました(笑)。
実技試験といっても、結局は受講生が十分理解し、今後の臨床に活かせるように促せればよいわけですから、あやふやなところがあればremediationとして、再度確認し十分理解頂いた上で、再試験で仕上げればそれでハッピーです。
しかし、期限切れ受講生のACLS-Rの実技試験は
再試験のチャンスはないので、かなり判断に悩むことがあります。