2009年7月7日火曜日

不安定頻脈性心房細動

心房細動ごときで不安定になることは少ないと言ったそばから、来ました、不安定頻脈性心房細動(苦笑)。3時間前からの激しい動悸と胸痛を主訴に来院した高齢女性。後期研修医が対応。HR150bpm程の頻脈性心房細動で血圧60台。
意識清明ですが胸痛症状が強かったとのこと。心エコーでは左室収縮能は保たれており、局所的壁運動異常なし。大動脈弁狭窄症なし、その他器質的異常なし。脱水傾向が疑われ、急速輸液するも血圧70/ほどで、やむなく同期下電気的カルディオバージョンを行いました。二相性30Jでcardioversionできず、50Jでもだめ、100Jで洞調律に回復、しかしその後すぐに再発、アミサリンを投与したところ洞調律に回復し、その後洞調律を維持できました。
血圧も120/ほどになり安定した状態を維持、自覚症状も消失しました。著しいST低下所見を認めたため翌日CAG施行しましたが、冠動脈有意狭窄は認めませんでした。

特に基礎心疾患がない方でも頻脈性心房細動で不安定になりました。なぜでしょうか。わかりません。脱水だったからかもしれません。左室拡張障害が強く、atrial kickに依存していた人だったのかもしれません。いずれにしても、不安定頻脈に対し、電気的cardioversionを選択した後期研修医の判断は正しかったと思われます。結果的にはその後抗不整脈薬を使用せざるをえませんでしたが。
でも、二相性30Jとはいかにも中途半端でした(苦笑)。
二相性除細動器による心房細動への電気的cardioversionの推奨ジュール数は100-120Jから、とACLSプロバイダーマニュアルには記載されています。
単相性除細動器の場合、心房細動への電気的cardioversionの推奨ジュール数はACLSプロバイダーマニュアルには100-200Jから、とされていますが、AHA/ACCの心房細動のガイドラインでは200J以上、と記載されています。
心房細動に対する電気的cardioversionについてのある研究では、除細動成功率が、単相性100Jでは14%、200Jでは39%、360Jでは95%であったとのことです。心房細動は結構除細動されにくいんですよね。

0 件のコメント:

コメントを投稿