現場に訪室してみると、確かにまだHR150bpm程の頻拍性心房細動で血圧も70台でした。患者さんは鎮静が効いており寝ていました。胸部にはジェルパッドが貼ってあり、パドルを使用しての手技だったようです。
除細動器はベッドサイドの右側、即ち患者の右側にありました。しかも患者はベッドのやや左寄りに寝ており、ベッドの右縁から患者の左側胸部はそれなりの距離がありました。恐らくこの距離であると、十分な圧力でパドルを胸壁に押し付けられないのでは?と瞬時に思いました。また貼ってある心尖部側のジェルパッドが、やや前方に位置しており、両ジェルパッド間の距離が近い印象を受けました。至適な除細動手技が行えていない可能性を疑いました。
除細動器をベッドの左側、即ち患者の左側に移動させ、患者に対し近づけ、パドルを無理無く十分押し付けられる位置に変えました。また心尖部側のジェルパッドを外側、中腋窩線上にずらしました。しっかりと心臓を挟むイメージで、両パドルをググッと十分胸部に押しつけ、200Jで再度cardioversion施行したところ、洞調律に復しました。おおーとの歓声(笑)。血圧は120/ほどにすぐに回復しました。
処置をしてくれた後期研修医には、心房細動は除細動されずらく、二相性100-120Jから開始するのがスタンダードであることはお伝えしましたが、それよりも、パドルを押し付けるだけのしっかりした力が入る位置取り(除細動器と自分の身体)が重要であること(除細動器は患者の左側に置くのが原則)、その上で十二分にパドルを胸部に押し付けること、パドルの位置は心臓を挟むイメージで、具体的には胸骨右縁・右鎖骨下と中腋窩線の腋窩下5-8cmの位置で行う方法が効率的なショックにつながること、をお伝えしました。
個人的には、ACLSコースでも、このへんはこだわりがあるところです。
コース以上に現場においては、目の前で結果が異なることをお示しできると更に説得力があります。
この方法なら200Jまで上げなくても戻ったかもしれません。
最近のこのブログネタからすると、エネルギーは必要最小限がよろしいですから(笑)。
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