BLSコースで、「ペースメーカー植え込み患者に対し、AEDパッドは、ショックの方向がペースメーカーリードと垂直になるように前後に貼ると良い、と学会で聞いたが、そのように貼らなくてよいのか?」と受講生から質問がありました。
ACLS Resource Textに参考になる記載があります。ペースメーカー植え込み患者の心房細動に対するcardioversionの研究です(Eur Heart J 2007;28:1731-8)。
このように貼ることで、電極はペースメーカーから十分に離れているし、かつ、ショックの方向がペースメーカーリードと垂直方向になる。この状態で、二相性100-200J、単相性200-360Jでショックをかけたが、ペースメーカー本体もリードも不具合を生じた例はなかった。」
この記載を根拠に、「ペースメーカーへのダメージの可能性を最小限にするために、可能なら、前後(前胸部と背部)にパッドを貼ることが望ましい。しかし、前後に貼ることにより除細動が遅れるべきではない」としています。
ショックが流れる方向と、ペースメーカーリードの方向が平行になっていると、リードに流れる電流が大きくなりリード自体もしくはペースメーカー本体にダメージを来し易いようです。
リードの走行を考えると、リードと垂直になるためには前後に貼る方法が最も確実と言えます。
受講生の疑問ももっともです。ただ、心肺停止の傷病者の背中にパッドを貼ることは、手間がかかり除細動のタイミングが遅れたり、胸骨圧迫の中断時間が長くなる可能性が極めて高いですから、VFへの除細動時には、原則的には考慮しなくてよいのではないかと思います。
受講生の質問に対しての回答は、「ペースメーカーへのダメージを最小限にするためには前後に貼ることが望ましいようですが、心肺停止の傷病者の背中にパッドを貼ることは、除細動が遅れたり、胸骨圧迫中断時間が長くなる可能性が極めて高いですから、通常のパッドの位置に準じた位置に貼って、迅速な除細動を優先してください。ただしペースメーカーからは2.5cm以上離してください。」が妥当なところでしょう。
勉強になりました!!
返信削除今度聞かれたらそう答えます!!
参考になれば幸いです!
返信削除