2009年6月4日木曜日

アデノシン


アデノシンはACLSプロバイダーが頻脈性不整脈の患者へ堂々と使ってもよい唯一の抗不整脈薬です。それだけ安全性が高い薬と言う訳です。
しかし副作用は40−60%で起こるとされています。ほとんどが顔面紅潮、動悸、胸痛、低血圧といった軽い副作用で、半減期が短い(5-10秒以下)ために一過性ですが、まれに重篤な副作用も起こりえます。
元々房室伝導をブロックするために使用するので、当然房室ブロックなどの徐脈性不整脈は生じ得ますが、多くが一過性です。一方、12mgのアデノシン投与で心房細動が12%に生じたとする報告があります。AHA/ACC/ESCの上室性不整脈のガイドラインにも「心房細動が1-15%の頻度で生じる」と記載されています。PSVTの種類でも出易いもの、出にくいものがあるようで、AVRT(WPWが含まれるタイプ)は15%に生じましたが、AVNRT(WPWは含まれないタイプ)は全く生じなかったとのことです。WPW症候群などの副伝導路を有している患者の場合は、心房細動が著しい頻拍化を呈し、心室細動等致死的事態に陥る場合があり得ます。また徐脈からTorsade de pointes(Tdp)、多形性VTに移行することがありますので、QTが延長している患者には慎重に使うことが必要です。ちなみに心室性期外収縮や非持続性VTの出現頻度は66%にも及びます。
亜急性期の心筋梗塞患者に使用する場合は、心房細動や多形性VTが生じやすいので注意が必要です。
ほとんどのケースで安全に使える薬ではありますが、使用の際にはTCP付き除細動器を側に用意しておくことが極めて重要です。ある著名な不整脈専門家はアデノシンを使用するときは除細動器を準備しておかないと怖くて使えない、と言っていました。

※日本の臨床の現場ではアデノシン三リン酸;アデホス を使用しています。薬効はほぼ同等です。

参考:
Up To Date :Major side effect of adenosine
AHA/ACC/ESC Guidelines for the Management of Patients with Supraventricular Arrhythmias

1 件のコメント:

  1. Adenocine may precipitate Atrial fibrillation. What kinde of heart action begin when it administer to the patients with rapid Afib. without WPW. Does the rate of Afib slow down because Adenoscine blocks AV node?

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