2009年6月27日土曜日

右冠動脈の急性心筋梗塞

緊急入院となった中年男性、STEMI患者。バイタルサインは安定。CAGを行い右冠動脈完全閉塞ですが、何てことのない1枝病変。型通りにPCIを施行。血栓吸引を行い再灌流した途端、モニター上HR100→20ほどの洞性徐脈となり、呼びかけに反応なくなり、頚動脈触知不能、PEAとなりました。カテの動脈圧は20mmHgほどだったと思います。すぐに胸骨圧迫開始。先日AHA BLS、ACLSコースを受講した後期研修医が高品質の胸骨圧迫をしてくれました。数十秒の後に意識回復したため胸骨圧迫を中止しました。血圧、心拍数は徐々に回復しました。
右冠動脈の急性心筋梗塞の時に強い迷走神経亢進状態を呈し、徐脈や低血圧に陥ることはよくあり、Bezold-Jarish reflexと呼ばれています。今回の現象もBezold-Jarish reflexによるものと考えられますが、PEAになってCPRが必要になるようなことはそれほど多くはないと思います。
PEAに対するACLSを行ったわけですが、病態的にエピネフリンよりもアトロピンを優先して使用しました。その判断が正しかった否か分かりませんが、結局エピネフリンは使用するまでもなく回復しました。
その後何事もなかったようにカテーテル治療は行われました。ところがステント留置後に今度はVFになりました。また先ほどの彼が高品質の胸骨圧迫をしてくれて、早々に電気的除細動がなされ、洞調律に回復しました。
その後の経過は極めて良好です。
右冠動脈の急性心筋梗塞のカテーテル治療は、様々なトラブルが起こりえて、右冠動脈には魔物が棲んでいると言われることもありますが、正にそんな感じのカテでした。

3 件のコメント:

  1. 右冠動脈の閉塞は、上腹部痛をきたしたりと色々あるんですね。

    2回も心停止、、、、大変でしたね。お疲れ様でした!!

    これからも勉強させて下さい。

    返信削除
  2. このコメントは投稿者によって削除されました。

    返信削除
  3. kikimura99さん、いつも有り難うございます。
    そうそう、右冠動脈のMIは心窩部痛で来院することありますね!見逃されたり診断が遅れること、結構あります。見逃して医師側が訴訟になって敗訴したケースもあるみたいですね。。。。。

    返信削除