2009年6月15日月曜日

相対的徐脈

relative bradycardia(相対的徐脈) という言葉がAHA ACLSプロバイダーマニュアルに出てきます。”基礎にある状態や原因から期待されるよりも脈拍が少ない状態(P82)”と記載されています。ACLS Resource Text P99には”低血圧、敗血症の患者が心拍数70/分の場合”が例として挙げられています。敗血症の患者なら通常もっと頻拍になっているはずなのですが、70/分しかないので、この患者にとっては遅い心拍である、ということです。
ACLSプロバイダーマニュアルを見る限り、相対的徐脈に対する対処も通常の徐脈アルゴリズムに従うようにも受け取れます。従って、相対的徐脈にもTCPやアトロピンを使う??という疑問も湧いてきます。一般的にはTCPはペーシングレート60/分で開始することになっていますが、70/分の相対的徐脈患者にはいくつで始めればいいの?なんて質問が受講生から出たりします。
この件に関する記載がACLS Resource Text P100にありました。
"It is important to note that attempts to increase the heart rate using chronotropic agents and pacing are not indicated unless drug toxicity or high-degree AV block is complicating the clinical situation."
(相対的徐脈において)薬物中毒や高度ブロックが併存していないのならば、陽性変時薬やペーシングを使用して心拍数を上げようとする適応はないことを頭に入れておくことが重要である。
Textにこのような記載があれば、自分の臨床経験と合致しますので、自然なインストラクションにつながります。
状況的に(昇圧剤として)カテコールアミンは使うことはあるかもしれませんが、それよりも何よりも大事なことは原因、即ちH'and T'の同定と是正でしょう。自分の経験では相対的徐脈は心停止寸前であることが多いですから迅速な対処が望まれます。

0 件のコメント:

コメントを投稿