2009年6月16日火曜日

三沢光晴2

プロレスラー三沢選手の死因が”頚髄離断”と報道されています。外傷とか整形外科領域のことは疎いのですが、頚髄損傷のひどいやつと解釈しています。外傷性脊髄損傷の入院早期の死亡率は4-20%ほどとのことです。予後を規定する因子として年齢や損傷レベル、神経障害の程度等が挙げられています。頚髄損傷はそのレベル以下の損傷よりも予後は悪くなります。死因は併存外傷によるもの、各種感染症や呼吸不全などが挙げられます。
しかし、受傷直後の死亡となるとやっぱり素人なりに疑問が残ります。損傷の程度によっては受傷直後に呼吸停止することはあるでしょうが、今回のケースはすぐに心肺蘇生術が行われていますし、呼吸停止→心停止に移行してしまうのはタイミングが早い気がします。
脊髄損傷時に血圧低下、徐脈を呈し、それが他に原因となる因子がない場合、spinal shock(神経原性ショック)と言い、通常受傷後数時間から数週間持続するようです。これが受傷直後に心停止にまで及んでしまうような病態を来しうるか、よくわかりません。少なくとも一般的によくあるケースではないような気がします。虚血性心疾患等の併存疾患があり、spinal shockから二次的に心筋虚血を来たし心停止に移行する可能性はあるでしょうが、プロレスラーという極めて運動耐容能の良い心臓が、簡単に二次的に心停止に至ってしまう可能性も低いと思います。頚髄損傷を来すような高エネルギーを受けていますので、頭蓋内損傷も容易に疑えますが、受傷直後話すことができたとのことですので、それも考えにくいかなとも思います。血管損傷等も否定されているのでしょうし。。。
頚髄損傷単独で突然心肺停止に至る機序、、、だれか易しく教えて下さい。

参考:Up To Date:Acute traumatic spinal cord injury

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