総合病院勤務医の日々の雑感、日常診療、特に循環器領域、BLS ACLSといった心肺蘇生教育等を中心とした日記です。 些細なことでも今日学んだことを皆様と分かち合い、明日に活かせれば良いと思っています。
2009年12月30日水曜日
血栓性血小板減少性紫斑病-溶血性尿毒症症候群
瀰漫性の血小板血栓や心臓組織(冠動脈、心筋、刺激伝導系)の出血で心筋梗塞、心不全などを併発することがあり、不整脈、突然死の原因となります。心病変の併発の頻度は明らかにはなっていませんが、TTP-HUSの重要な予後規定因子の一つだそうで。勉強になります。
2009年12月27日日曜日
リフレッシュ
当直明けで寝不足でしたが、たまにはリフレッシュを、ということで久しぶりに大学ラグビーを見に、ぶらりと秩父宮ラグビー場にお出かけ。大学選手権2回戦2試合ですが、結構好カードということで珍しく超満員です。
慶応対法政。慶応が勝ちましたが、慶応の前に出るタックルが陰をひそめているのが気になりました。待って、タックルしています。かつてのような地獄の山中湖合宿で鍛えないと魂のタックルは身に付かないのかな。これでは社会人相手になるとボロ負けでしょう。
早稲田対帝京。予想に反して早稲田が負けました。残念。帝京の外人パワーに屈しました。帝京は昔の大東文化みたいだった。
まあ、ラグビー以前に、日光を浴びながら、緑の芝と青い空を目の当りにするだけで大変気持ちが良かったです。
immediateとは
不安定なVT患者に対し、酸素投与、静脈路確保、心電図モニターを正確に装着。不安定な症状や兆候は頻拍によるものと認識し、不安定な頻拍であるとチームメンバーに伝える。そしてただちに同期下カルジオバージョンを実施する。
チェックリスト通りですと、こういった流れに成ります。
さて、上記、不安定な頻拍であるとチームメンバーに伝えたのち、まずアミオダロンを投与し、早々に無効と判断し同期下カルジオバージョンを実施した受講生(循環器医)がいました。インストラクターとしてはどのように判断すべきなのでしょうか。
不安定頻拍に抗不整脈薬を投与することは、ACLSでは推奨されておらず是正すべき点であることは異論がないことでしょうが、実技試験という観点においてこの点自体はremediationにする理由になるのでしょうか。インストラクターマニュアルのスキルテストの章には"受講者はACLSコースにない手順や手技の実行を避けるべきである”と記載がありますので、この点を勘案しremediationにすべき、なのでしょうか。
実技試験の明確な基準としてチェックリストの存在があります。チェックリスト的にこの受講生がremediationになる理由は、アミオダロンを投与したこと自体ではなく、"ただちにカルジオバージョンを実施する”の項目にチェックが入らない、ということになります。"ただちに(immediate)"に反するわけです。それでは、"ただちに(immediate)"とはどの程度まで許容されるのでしょうか。
モニター心電図を装着し、不安定頻拍と判断し、
①即座に同期下カルジオバージョンを実施
②1分悩んで同期下カルジオバージョンを実施
③3分悩んで同期下カルジオバージョンを実施
④5分悩んで同期下カルジオバージョンを実施
⑤身体所見をとってから同期下カルジオバージョンを実施
⑥12誘導心電図を記録してから同期下カルジオバージョンを実施
⑦アミオダロンを投与してから同期下カルジオバージョンを実施
ある辞書には、「immediate:即時の、すぐの、じかに接している、すぐ隣の」などと記載されています。モニター心電図を装着し、不安定頻拍と判断したら、他の行為は挟まず、同期下カルジオバージョンを実施するということと解釈できるでしょうか。
①は勿論良いとして、②ー④あたりの時間の境はよくわかりません。他の行為をはさんでいないので、一応immediate?
⑦はダメだとしても、それでは⑤や⑥は? もし⑤⑥が許容されるなら、では⑦は絶対ダメ?
なんか、書いていて、ばかばかしくなってきました(笑)。
実技試験といっても、結局は受講生が十分理解し、今後の臨床に活かせるように促せればよいわけですから、あやふやなところがあればremediationとして、再度確認し十分理解頂いた上で、再試験で仕上げればそれでハッピーです。
しかし、期限切れ受講生のACLS-Rの実技試験は再試験のチャンスはないので、かなり判断に悩むことがあります。
ACLS-Rの気道管理
ACLS-Rは基本的には復習、確認の機会ですから、1時間かけてDVD流して気道管理を過ごすのは冗長過ぎる、、、との意見が少なくありません。DVDを使用しないで30分で行う"短縮セッション”を行う場合もあります。勿論AHAの許可を得ています。
気道の管理はACLSアプローチの"A"と"B"を占めるものだけに日常臨床の中で携わる機会は少なくありません。しかしながら、その割には意外と等閑にされている面があると感じています。心肺蘇生術の際も、胸骨圧迫の質は良くなってきていますが、気道管理の質はまだ不十分と感じることも少なくないです。CPRの質を検証したある論文(Arch Intern Med.2006;166:2375)によると、救急部門勤務の良くトレーニングされたスタッフでさえも、過換気の呼吸管理が多かったとのことです。
また、異論はあるでしょうが、Hands Only CPRの出現も見方によっては気道管理軽視を助長するものと考えてもよいかもしれません。
ということで、ACLS-Rにおいても、基本を改めて見直すという意味で1時間かけて気道管理の知識、技術を復習する方針が、自分としては好きです。
また、BLSインストラクターにも是非どんどんACLS、ACLS-Rの気道管理には参加頂きたいので、早く慣れてもらいたいという観点からも、DVDに沿って同一プログラムで行う方がベターかと思っています。
2009年12月23日水曜日
EDGEクイックコンボRTS小児用
メドトロニック社製の「EDGEクイックコンボRTS小児用」という小児用パッドがあるそうです。
この電極は単に表面積が小さいだけで、減衰器が入っておらず、除細動器が出力したエネルギーはそのまま傷病者に伝わります。従ってこの電極を使えば成人であっても通常エネルギー量の通電が可能です。しかし、電極面積が小さいため電流の集中が起こりやすく、熱傷の危険性が高くなります。
メドトロニックの担当の方に教えて頂きました。
AED小児用パッド
プロバイダマニュアルには、"8歳以上の傷病者に小児用ショックエネルギー量を与えないように注意しなければならない”とか、”8歳以上の傷病者には必ず成人用パッドを使用する”などと記載されています。
コース中「なぜ成人に小児用パッドを使用してはいけないのか?」という質問がありました。
あまり深く考えていませんでしたが、なぜなんでしょうね。
BLSプロバイダーマニュアルには、"低エネルギー量のショックでは効果がない可能性があるから”と記載されています。小児用パッドを使用することで、一般的には放電されるエネルギー量は1/3-1/4程に減るとのことです(メドトロニックのLIFEPAKは1/4になるそうで、即ち200Jなら50J、360Jなら90Jです。フィリップスのFR2も50Jになるそうです)。
成人にAEDを使用する際に小児用パッドを装着するデメリットは、
・VFに対し二相性50Jの通電では除細動されない可能性がある(無駄なショック)
・不成功に終わるかもしれないショックの為に、胸骨圧迫を暫く中断することになる
・何らかの原因でAEDが誤解析し非VF波形に対しショックが行われる場合、低エネルギーの非同期下ショックとなり、かえってVFを誘発する場合があり得る
こんな感じでしょうか。これらの理由で一応は納得できるかと思います。
ところで、VFは50J程の低エネルギー通電(体外式)でどの程度除細動されるのでしょうか、されないのでしょうか。二相性10J程のcardioversion(勿論体外式)で洞調律に復するVTは経験がありますが、VFに対しての低エネルギー通電は経験がありません。体格等で大きく左右されるでしょうが。どなたかご存知の方は教えてください。
稀な状況でしょうが、成人の心肺停止傷病者に対しAEDを装着しようとしたところ小児用パッドしかなく、おまけに成人用パッド入手のメドが立たない場合どうしましょう。自分ならやむなく小児用パッドを装着し解析させ、必要ならショックを行うと思います。運が良ければ50JでVFが除細動されるかもしれません。されなければ、成人用パッド到着までひたすらCPRです。BLSコースでは口が裂けても言えません(笑)。
2009年12月22日火曜日
5秒以上10秒以内
ある受講生が、練習中毎回「1,2,3,4,5」と数えてほぼ5秒で確認していました。当然、5秒ピッタリということはなく、5秒を超えることもあるし、5秒に満たないこともあります。実技試験のチェック項目には"5秒以上10秒以内"という目安がありますから、安心してこれをクリアするために「もう少しだけ余裕をもって5秒以上かけて(例えば7-8秒)確認してはいかがですか?」とインストラクターがその受講生に助言しました。すると、「もし心停止であった場合、少しでも早く胸骨圧迫したほうが良いですから、確認もなるべく短いほうが良いと思うんです。」とのお答え。
なるほど。いいこと言いますね。
それなら、日本のガイドラインのように呼吸と脈を同時にチェックしたほうが、時間の節約になりますね。
自分としては、医療のプロでも脈拍触知が難しいことは良く知られていますので、呼吸と脈拍を同時にチェックするなんて、難易度が更に上がるよなー、やっぱり別に行った方が良いのでは? という"判断の精度"に重きを置いた観点で見ていました。
従って、上記受講生の意見は自分にとっては、少し新鮮でした。究極は呼吸も脈もチェックしないhandsonlyということになりますね。
ただ、実際の現場では、脈拍触知するか否か、5秒以内に判断することは通常あり得ないように思います。脈がないであろうマネキン相手では5秒で脈なしと判断しうるでしょうが、通常なら脈があるであろう人間相手ではまさか脈が無いなんて、、という感じで、もっともっと頚動脈を探ることでしょう。10秒を超えることも多々有るでしょう。だからこその”10秒以内”なのでしょうが。
ということで、BLSコースで、"10秒以内"は重要と思いますが、"5秒以上"にこだわるのはナンセンスなような気がします、臨床現場とはやや乖離があるような気もします。
2009年12月20日日曜日
ACLS リソーステキスト
有用な情報が日本語で得られることは本当にありがたいことです。日本ACLS協会と日本循環器学会に御尽力頂いたようですが、循環器学会はEPコース開催の予定は全くありませんし、ACLS EPコースを推進している日本ACLS協会が、より積極的と推測します。
協会の現状のEPコースなら、1日で30000円になるし、ACLS用マネキンの準備は不要で、必要経費は安く済むし、協会にとっては儲けが多くて、おいしいコースでしょう。EPコースを受講すれば基本的にはACLS更新にもなりますし、ACLS更新コースを開催するより、受講生にとってもオイシイかも(笑)。幅広い、新たなことが学べる機会としては大変素晴らしいですが、EPコース受講してのACLS更新はかなり問題がありますので、複雑ですー。
パンクブーブー
ということで、今夜はほっと一息ついています。M−1グランプリなどという、低俗テレビ番組がついていたので、ついついみてしまいましたが、”パンクブーブー”は最高に面白かったです。腹がよじれて、涙が出ました(笑)。どんな分野でも一等賞は、凄いです。
2009年12月17日木曜日
恐怖のベプリコール
ベプリコール(ベプリジル)は持続性心房細動に適応が認可されています。しかし副作用としてQT延長によるTdPの出現が少なくありません。心房細動への投与にて約1%の頻度で出現するとされますが、基礎心疾患や心不全を有する場合は5%にも及ぶとのデータもあります。しかも、不整脈専門家が慎重に用量調節や心電図チェックをしていても、そのくらい生じるということですから、非専門家が不用意に処方すると、恐らくもっと高率に出現するものと推測します。抗不整脈薬による心房細動のリズムコントロール(洞調律に戻すこと)は生命予後改善のエビデンスはありません。生命予後の改善が明らかでない治療で、致死的不整脈が出現するというのはやはり問題です。よほどの専門家以外はベプリコール処方を避けた方が無難なような気がします。
2009年12月13日日曜日
Kamakura Live Demonstration 2009 終了
齊藤滋先生の技術の高さは誰もが認めるところで、存分にその凄さを発揮していましたが、周囲のコメディカルや助手に対して怒りを露にしている姿が頻回に目につきました。天才的な、高度かつスピーディーな手技をサポートしていくのは大変なことと思います。朝から晩まで、3日で50例近くのインターベンションを行う肉体的精神的ストレスも想像を絶するものでしょう。確かに気が利かなそうなスタッフも居ました(苦笑)。それでも、世界のスーパードクター齊藤ですから、どんな場面でもゆとりを持って大らかな態度を保っていて頂きたいと思ってしまいます。カテもteam dynamicsが大事と感じました。
2009年12月12日土曜日
Kamakura Live Demonstration 2009
昨日は末梢、KNIC、本日はPCI。Kamakura Live Demonstrationに参加しています。湘南鎌倉病院ほどの大病院でも人手不足なのか、EVTのオペレーターは少々物足りなく、おまけにコメンテーターも経験豊富な方が乏しい時間帯もあり、正直学ぶことは少ないEVTライブでした。インターベンションの適応も???の症例も少なくなく、欲求不満の残る内容です。JESのほうが学術的、教育的には遥かに勝っていると感じました。
本日のPCIについては、バーチャル2F PCIは結構衝撃でした。良い面も感じましたが、悪い面も露呈され、勉強になりました。
Kamakura Liveは、"slender"を強調し始めた頃から少々eccentricな世界に進んでいるようで、明日の臨床に役立つライブ、、という感じではなくなってしまったような気がします。充実感では、先日の仙台新東京ライブのほうが遥かに勝っている印象です。といいつつも、明日も朝から参加する予定です(笑)!
2009年12月11日金曜日
最終波形確認
一方で、心室細動に対する電気的除細動の時は、上記ケース程は特別言及はしません。1秒でも早い放電が望ましいと思っているし、安全確認をしている間に心室細動が自然に洞調律に復する可能性はほぼゼロに近いと思っているからです。
しかしながら、Up To Dateには、「心室細動は稀ではあるが自然に除細動しうる」と記載があります。うーん。やっぱり除細動の時も最終波形は確認したほうが良いのかな?
心室細動が自然に除細動される可能性はどの程度のものなんでしょうか。「稀、、」とは、どの程度のものなのかな?御経験のある方はコメントください。
2009年12月10日木曜日
アミオダロンの除細動閾値への影響
後日K大学の不整脈専門家K先生とそのケースのお話をする機会がありました。K先生の御経験では、不安定頻拍性心房細動を呈しているケースに対しアミオダロンを静注することで洞調律に復し、難を逃れることが少なくないとのこと。しかしながら、アミオダロンを投与することで除細動閾値を上げてしまうことはやはりあり得るので、電気的除細動閾値を下げる目的ならニフェカラントの方がよいでしょう、とおっしゃっていました。
11月21日のケースで、アミオダロンを投与しても洞調律に戻らず、かつ電気的除細動も無効であり、依然不安定の状態が続いているなら、ニフェカラントを使用し除細動閾値を下げた上で電気的除細動を施行する手もあったのでは?と貴重な意見を頂きました。プロフェッショナルの世界の話です。非不整脈専門医は真似しないほうが無難かも(笑)。非循環器医は真似してはいけません(笑)。
アミオダロンの除細動閾値上昇作用はICDで使用される比較的小エネルギーのレベルのことであり、体外式の除細動のレベルではあまり影響の無い程度のもの(8/23)、と聞いたこともあるのですが、本当のところはどうなんでしょう。
今回のケース以外にも、以前VTにアミオダロンを投与しかえってcardioversionできなくなったケースがありました。たった2回だけですが、臨床現場での経験はimpressiveです。経験的には、体外式の除細動でも影響がありそう、、、と思ってしまいます。
2009年12月9日水曜日
EMalliance Blog
”夢と、若さと、情熱で日本の救急医療を変える!EMalliance Blog"
HPが立ち上がったばかりのようですが、今後が楽しみです。
2009年12月8日火曜日
STEMI?
心エコーでは左室心尖部の壁運動低下所見あり。
STEMIを疑い、緊急CAG施行するも、冠動脈に有意狭窄なし。左室造影ではいわゆるタコツボ様。
頭部CTを撮影したところ、派手なくも膜下出血でした。くも膜下出血による心肺停止、タコツボ型心筋症併発、という病態だった可能性が高そうです。心肺停止に至ったくも膜下出血ですから、もともと厳しい病状であったわけですが、CAGの時にヘパリンを使っており、更に追い打ちをかけてしまった可能性があります。
しかしながら、緊急CAGを施行した判断は決して責められるものではありませんし、やむを得ないとも思います。
このようなケースでは、卒倒の状況、その時の随伴症状の有無、救急隊現着時の心電図所見、自己心拍の戻り具合、心エコー所見、心電図所見等の情報を慎重に吟味し、頭部CTを優先するかCAGを優先するか判断する必要がありそうです。
2009年12月6日日曜日
2009年12月5日土曜日
食事
やはり、糖質ゼロの食事(10/29,10/30)は学術的には疑問視されているようです。
糖尿病ではなくとも、過食、運動不足等により多くの人が知らないうちにIGT(耐糖能障害)に陥っています。IGTになると、動脈硬化が促進され、DMに匹敵するほどの割合で心血管イベントを生じてきます。40歳代のACSは良く目の当たりにしますし、30歳代のACSも珍しくありません。そのような人はIGTやDMを有していることが多いです。人ごとではありません。早いうちからの生活習慣是正が極めて重要です。腹が出てきた人、少し血圧が高めの人、少しコレステロールや中性脂肪が高めの人、などは要注意であり、、”少し”であっても、危険な兆候のようです。そのような人は75gOGTTを施行して、IGTの有無をチェックするとよいと思われます。IGT+上記の軽度異常は、相乗的に動脈硬化を促進させます。要はメタボリックシンドロームですね。。。
糖質の至適割合に関してはまだcontroversialとのことで、心血管イベント予防のための"バランスの良い食事”とは何が理想かわかりませんが、IGTの方には、日本食 + αGI が良いとK先生は言っていました。
自分は、食事においては糖質は少なめを心がけていますが、相変わらずビールや日本酒は飲んだくれで、これにより程よい糖質摂取となり、結局バランス良くなっていると思っています(苦笑)。1日1食生活はまだ続いており、元の体重から4-6kg減を維持しています。
2009年12月4日金曜日
難しいけれど
先日も急性大動脈解離の患者が背部痛を訴え、整体に行ってマッサージをしてもらっていたというエピソードがありました。胸や背部、肩などの痛みで、整形外科を受診した急性大動脈解離や急性冠症候群の方も稀ではありません。
整形外科医、按摩マッサージ指圧師、柔道整復師、整体師など背部や肩、腕の症状を訴える方を目の当たりにする機会の多い方は、急性冠症候群や急性大動脈解離などの致死的心血管疾患を頭の片隅に入れておくことは大変重要と改めて感じた次第です。肩や背中の不調を訴える方は星の数ほどいらっしゃいますので、頻度は稀でしょうが、、、。
2009年12月2日水曜日
死戦期呼吸?死線期呼吸?
自分としては、AHAの日本語版マニュアルに記載されているように、当然のように「死戦期呼吸」と思っていました。
”死と戦う”死線期か?”死の線上”の死線期か? 考えてみれば、どちらでもいいような気がしてきます。
新潟のある先生によると、消防関係では圧倒的に「死線期呼吸」が使われているとのこと。
「死戦期呼吸」をGoogleで検索すると、1160000件ヒットします。
「死線期呼吸」をGoogleで検索すると、20700件ヒットと上記より遥かに少なく、おまけに、”もしかして:死戦期呼吸”といったコメントも現れます。
同様にYahooでは、「死戦期呼吸」731000件、一方「死線期呼吸」は13000件と少なく ”死戦期呼吸ではありませんか?” のコメントも出ます。
世の中においては、AHAのプロバイダーマニュアル日本語版に記載されているとおり、「死戦期呼吸」が主流のようです。
学術的には不明確な面はありそうで、学会レベルでの用語統一が望ましいとは思います。
難治VF
緊急CAGでは右冠動脈閉塞、左前下行枝90%の2枝病変でした。右冠動脈にPCIを施行しました。PCI中冷却輸液やアイスノンで冷却しましたが、先日の「RhinoChillデバイス」があれば良いかもしれないなあ、、と思いました。
冠動脈から吸引した憎き血栓です。
2009年11月30日月曜日
早期脳冷却CPR
通常CPR群の31%に対し、冷却CPR群では46.7%が生存退院し、神経学的状態もより良好であった(21.4%vs36.7%)。心停止後10分以内に蘇生が開始された137人では、通常CPR群の29.4%に対し、冷却CPR群では59.1%が生存退院し、退院時に神経損傷のない患者の割合も高かった(17.6%vs45.5%)。VF患者では生存率が高く、本試験に登録された56人のVF患者では、通常CPR群の47.6%に対し冷却CPR群では62.5%が生存退院し、退院時の神経損傷のない割合も高かった(28.6%vs50%)。
治療により3例の鼻血、13例の鼻の変色を含む18例の有害反応を認めたが、変色は生存した患者全員で回復した。
早期脳冷却CPRは結構有効性が期待できる方法のようです。
2009年11月29日日曜日
心タンポナーデの心電図モニター
確かに、慢性的に貯留した心嚢液によりタンポナーデに陥った場合は頻拍になるものと推測されます。しかしながら突如貯留した心嚢液によりタンポナーデに陥った場合は、(恐らくは迷走神経反射亢進が生じ)いきなり徐脈になることが多いのではないでしょうか。最近たびたび登場した急性大動脈解離Stanford A型により心タンポナーデに陥ったケースにおいても頻脈になった経験は全くありません。突然徐脈になります。
2009年11月28日土曜日
2009年11月25日水曜日
2009年11月22日日曜日
独歩来院
2009年11月21日土曜日
不安定頻拍性心房細動
2009年11月16日月曜日
CPRの中断
2009年11月15日日曜日
2人の救助者による乳児のCPR
2009年11月13日金曜日
基本
2009年11月12日木曜日
また、、、
2009年11月11日水曜日
specific diagnosis
2009年11月10日火曜日
恐怖の経鼻胃管挿入
2009年11月9日月曜日
QRS幅の広い頻拍
2009年11月8日日曜日
モニター
2009年11月6日金曜日
阪神淡路大震災から14年
先日当院で「災害医療の原点へ」という講演が行われました。阪神淡路大震災に関する講演です。もう14年前のことですが、思いは全く薄れていない、講演でした。
2009年11月5日木曜日
キター!
2009年11月4日水曜日
返事
アナフィラキシーにおけるエピネフリン
2009年11月3日火曜日
新ダイエット法
2009年11月1日日曜日
また大たこ
2009年10月31日土曜日
予想外
2009年10月30日金曜日
糖質制限
2009年10月29日木曜日
1日1食
2009年10月27日火曜日
2009年10月25日日曜日
2009年10月24日土曜日
カテーテル挿入で患者死亡
2009年10月23日金曜日
アナフィラキシーショック
2009年10月22日木曜日
スキャンで軽々
2009年10月21日水曜日
インフルエンザ陽性がーん。
2009年10月20日火曜日
伝説の神奈川ECCトレーニングサイト(ひとりごと)
なんか最近混迷。つぶやき。
2009年10月15日木曜日
心タンポナーデ
2009年10月14日水曜日
当たり前のことですが
2009年10月13日火曜日
2009年10月12日月曜日
2009年10月11日日曜日
幅広いQRSの頻拍にアデホス
2009年10月9日金曜日
リドカインで停止するQRS幅の広い頻拍
2009年10月8日木曜日
過去の心電図
2009年10月7日水曜日
出血
2009年10月6日火曜日
元気の源
2009年10月4日日曜日
忘れちゃいけない喘ぎ呼吸
2009年10月3日土曜日
船頭多くして、船、山に登る
2009年10月2日金曜日
2009年10月1日木曜日
いまさらteam dynamics
2009年9月30日水曜日
つまらないことですが。
2009年9月29日火曜日
体重とエネルギー量 小児と成人
2009年9月28日月曜日
体重とcardioversion
2009年9月27日日曜日
昨日の写真
2009年9月25日金曜日
難治性心房細動へのcardioversion
2009年9月24日木曜日
みんな仲良く。
2009年9月23日水曜日
2009年9月22日火曜日
EPコースのちょっと印象的だったこと
2009年9月21日月曜日
EPコースで ACLS Provider更新
AHA ACLS-EPコースを修了すると、ACLS provider資格も更新になるみたいです。
2009年9月20日日曜日
AHA ACLS EPコース
2009年9月18日金曜日
2009年9月17日木曜日
妊婦のBLS
2009年9月16日水曜日
ペースメーカー植え込み患者へのcardioversionの際に
2009年9月15日火曜日
cardioversionのペースメーカーへの影響
2009年9月14日月曜日
除細動のショックの方向とペースメーカーリード
2009年9月13日日曜日
2009年9月10日木曜日
三環系抗うつ薬過量服薬による心肺停止
2009年9月9日水曜日
経時的心電図変化
STEMIのガイドラインでは急性冠症候群(ACS)を疑う患者が救急外来に来たら10分以内に12誘導心電図を記録するのはクラス1の推奨です。
しかし、その心電図で診断がつかない場合も少なくありません。
そんなとき、循環器医としてはすぐさま心エコーで壁運動異常を評価するものと思います。しかし非循環器医としては、なかなか難しいかもしれません。
ACLS Resource Textには、「もし初めの心電図で診断がつかない場合は、経時的心電図記録を推奨する。心電図再検のタイミングを決める必要があるが、少なくとも初めの心電図から1時間以内には再検しなければならない。患者の症状が持続している場合や、臨床的にSTEMIを強く疑う場合は5−10分以内に再検せよ。」とあります。
初めの心電図でST上昇していると思いましたが、症状は消失しているし、心エコーで明らかな壁運動異常は認めませんでしたので、リスクは高くないと思いのんびり対処してしまい、経時的心電図記録は少々遅れてしまいました。提示されている経時的心電図は初めの心電図から30分後のものです。
ST上昇も軽減し、T波終末陰転化も認めますし、まさに経時的変化ありです。症状と合わせて考えれば、心筋虚血を来していた可能性は極めて高いと判断できます。
心エコー等せずに、さっさと5分後に経時的心電図を記録していれば次なるアクションはもう少し早かったかもしれません。
まあ、このケースは緊急カテせずとも、予後は変わらないでしょうが。
研修医や非循環器医の先生方も、経時的心電図の重要性を理解している方は少なくありませんが、症状が残存している時でもそのタイミングが遅いことが多いと感じています。
5−10分後の再検をこころがけましょうねん。